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第七話「因縁」
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神仏郷。今日も神々で賑わっていた。神々で賑わう街。しかし、そこへ、妖しい影が。
厭魔「ふん。嘆かわしい。実に嘆かわしい。何が、神仏の住む街だ。そんなものなど、一瞬にして、消し去ってやる。」
そう。部下の巨大妖怪群の不甲斐なさに苛立った厭魔が、単独で神仏郷に潜入したのであった。そして、因縁の相手である、仏ナオトを抹殺しようと企んだのだ。
ーーー神仏第一塾。ナオトは、カノンとともに、通常通り通所していた。行く途中、レンとコウが、ナオトとカノンを待っていた。そして、4人で塾に向かう。
コウ「おはよう、ナオト、カノン!」
レン「おはようさん!ほな、今日も頑張ろか。」
ナオト、カノン「おはよう。」
教室に入るナオトたち。ナオト、カノン、レン、コウは4人で仲良く話し合っていた。そこで、レンは言う。
レン「ほな、お前さんら、二人で力合わせて戦ってたみたいやな。かっこよかったで。」
コウ「そうだよ!なんせ、あのカンゼノンの威力!すごいよ!すごすぎる!」
どうやら、レンとコウは、ナオトとカノンが連携しながら、ノロイドケイを倒したことを知っていた模様だ。
カノン「まあ。私たち、神仏を守るために戦っていたんだもの。だから、それなりの活躍は、果たすわ。」
ナオト「そうだよ。僕たちは、神仏の希望になる存在なんだ。」
レン「せやな~。わても早く、アミーダに乗りたいのぅ。」
コウ「アミーダに乗ってるお前たち、羨ましすぎるぅ~~~。」
ナオト、カノン「はははは。」
すると、委員長のサキが、声をかける。
サキ「みんな~。先生が来るわ。席について。」
先生が来る。サキの号令とともに、授業を開始する。
サキ「起立!礼!着席!」
授業を始めるナオトたち。そんな中、厭魔が校舎の外までやってきては、不敵に微笑んでいた。
厭魔「ふっふっふっふっ。」
ーーーその間、羅刹城では、厭魔不在のために、魔子が羅刹兵に対し、教育的指導をしていた。
魔子「あんた達。よく聞いて。知ってのとおり、厭魔様はあんた達の巨大妖怪群が役に立たないから、代わりに神仏郷に出ることになったわ。だから、今日は、私があんたたちを指導するわ。」
羅刹兵「魔子様…いつにもまして恐ろしい。」
魔子「では、聞こうかしら?何故あんた達は、神仏ごときに負けるような、へっぽこな巨大妖怪群しか作らないわけ?」
難しい尋問をする魔子
羅刹兵「あっ…それはその…。」
ボコっ!ボコっ!ボコっ!
無能な羅刹兵たちに対し、拳や蹴りを入れる魔子。
魔子「まあ、言わずとも分かるわ。あんた達には、厭魔様に仏界を献上する忠誠心がないというわけね。」
羅刹兵「ううっ…魔子様ぁ…!」
魔子「あんた達は分かっているのかしら?ましてやね、神仏たちは、私たち羅刹団に対してアミーダを建立して手を打ってきているのよ。だから、あんた達も、それを打破できる、巨大妖怪群を造らなければならない。そういう事なの。」
羅刹兵「魔子様、お許しを!」
魔子「私ね、無能な奴らは信用しないわ。信用できるのは、偉大なる厭魔様だけ。雑魚どもに構っている必要なんて、ないの。」
目を鋭くする魔子。彼女は、無能な部下たちには、一切容赦しなかったーーー。
ーーーそして、下校時間。ナオトとカノンは、レンやコウたちと分かれ、帰路についた。
コウ「じゃなあ!ナオト!カノン!」
レン「ほな、今度家に遊びにこい!」
ナオト、カノン「じゃあ、また明日!」
ナオトとカノンは、二人で帰っていく。その背後から、厭魔は二人の様子を凝視していた。そこで、何を思ったか厭魔。
厭魔「あの小娘の肉を喰らえば、私は強大な霊力を持つ妖怪になれるのだ。しかし、一緒にいる坊主は、私の計画には障害となる存在だ。なんとしても消えてもらわなければ、ならないな…。」
なんと、厭魔は恐ろしい計画を試みたのだ。カノンの肉を食らい、強大な妖怪になるといったことだった。その計画の障害となるナオトの排除を試みたのだった。
ーーーサヤのマンションに着くナオト。
ナオト「ただいま。」
ーーーそして、カノンも、自身の家宅に着く。カノンは、羽織や制服を脱ぎ、部屋着に着替える。彼女がゆっくりしているその時のことだった。
すると…
ガチャッ…
カノン「…!」
玄関には、厭魔が立っていた。 カノンは不審な目で、厭魔を見つめる。
カノン「あなたは…!」
厭魔「これはこれは。観音菩薩の孫娘。」
お辞儀をしながら、カノンに詰め寄ってくる厭魔。カノンは怯えながら、抵抗する。
カノン「いや、来ないで…!」
厭魔「抵抗しても無駄だ。私は貴様の生肉が欲しい。だから、私の糧になってもらいたい。ただ、それだけだ。」
カノン「やめて…!」
壁際まで逃げるカノン。しかし、逃げ場は、もうどこにもない。厭魔は、ひたすらに、カノンを追い詰め続ける。
厭魔「残念だが、このようにして逃げても無駄だ。私は、逃げるものは、女子供であろうとも容赦しない。大人しく私の言う通りにしてもらうのが、無難だぞ。」
カノン「うっ…うぅっ…!」
怯えるカノン。次の瞬間、厭魔は、カノンの股間を強く握りつぶした。
グチュウッ!!
カノン「ああぁぁぁぁぁ…!!」
あまりの激痛に声を上げるカノン。股間が抉れ、大量出血する。
厭魔「ふふふふふっ…。」
不敵に笑う厭魔。そして…。
カノン「きゃああああーーーーーーっ!!」
カノンは、悲鳴を残し、部屋から消えたーーーー。
ーーー司隊本部の司令室。ユイら隊員たちが、モニターで、神仏郷の街の様子を確認していると…。
ビビビビビビ…
ユイ「えっ?何?」
アキト「なんだ!何が起きたんだ!」
シンイチ「なんだ!何なんだよ!」
突如として、モニターにノイズが走る。そして、そこに写ったのは、街中で、カノンを捕らえている厭魔の姿であった。驚く隊員たち。
隊員たち「うわあ…!!」
アキト「こ、こいつは…!」
ユイ「間違いありません!」
シンイチ「獄堂厭魔だ!!」
厭魔「司隊の隊員どもに告ぐ。観音菩薩の孫娘は、この私が捕らえた。知っての通りだが、私は、最強の妖怪になるためにこの小娘の肉を食らう。釈迦如来のクソ坊主が貴様らのアミーダを使い、この私と闘うと言うのならば、この小娘は解放してやる。私からは以上だ。夜までは待とうか。はっはっはっはっ。」
厭魔は、伝言を言うとそのままモニターから姿を消した。
ハクシ「くっ。なんて卑怯な奴なんだ。」
サヤ「まさか、こんな事があるなんて。」
ゴウ「有り得ないな。」
ーーーその頃、ナオトは帰宅し、サヤのマンションでゆっくりしていた。すると、電話が鳴る。
ナオト「もしもし?」
サヤ「ナオト。急な伝言でごめん。カノンが攫われたらしいの。」
ナオト「えっ?」
サヤ「誰だか検討はつくかもしれないけど、獄堂厭魔。ついに神仏郷へ潜入したみたいなの。どうやら、厭魔は、あなたと闘いたいんだわ。だから、お願い。至急司隊本部へ来て。」
ナオト「分かった。」
ナオトは、至急、司隊本部へ向かった。そして、ゴウから指示を受けた。
ゴウ「ナオト。よく来てくれた。サヤからも伝言があったと思うが、カノンが厭魔に攫われた。彼女を救出できるのは、君しかいない。奴が抵抗を試みるならば、アミーダの手で殺してかまわん。」
ナオト「了解しました。漣隊長。必ずやカノンを救出し、ここで決着を付けます。そして、仏界を救います。」
ゴウ「よし。いい覚悟だ。では、これより、ブッダリアを配備する。君は、パイロットスーツに着替え、アミーダへの搭乗を急いでくれ。」
ナオト「はい。」
ナオトは、パイロットスーツに着替え、ブッダリアに乗り込む。ブッダリアの発射準備を開始する隊員たち。そして、ブッダリアの発射準備を完了させると…。
ゴウ「アミーダ、出陣!!」
ナオト「阿弥陀仏っ!!」
ヒューーーーーーーッ!!
その間、厭魔はカノンを攫い、空中を飛んでいた。どうやら羅刹城に向かっている模様だ。
厭魔「さっそく獲物は捕らえた。我が城で料理にしてくれる。」
カノン「やめて!離して!」
厭魔「ええい!うるさい!騒ぐな!」
カノン「ううっ!」
もがくカノンを黙らせるかのように、腕で腹部を圧迫する厭魔。
すると、背後から…。
ナオト「待てーーーっ!!」
厭魔「ん?」
振り返る厭魔。そこへ、ナオトを乗せたブッダリアが追跡してくる。
ナオト「お前が獄堂厭魔だな!カノンを離せ!」
厭魔「ほう。実に可憐な登場だな。仏ナオト。この娘を取り返しにきたのだな?」
ブッダリアの中から叫ぶナオト。
ナオト「お前のせいで、僕の家族は死んだんだ!それに、仏界をめちゃくちゃにした!そんな奴は、僕は許さない!!!」
厭魔「随分とでかい口を叩くな。それに、貴様の祖父が私にした仕打ちもまだ忘れていないぞ。先に私を貶したのは貴様らの方だ。貴様ら神仏どもが、私を貶したりしなければ、こんな事にはならなかったのだよ。」
ナオト「言わせておけばこんな事を…!」
厭魔の発言に憤りを見せるナオト。ブッダリアは牙をむいた。
厭魔「威勢だけはよいな。しかし、私の力は計り知れずだ。」
厭魔の全身から、紫色の煙が出てくる。すると、次の瞬間、厭魔は黒と紫を基調にした体色に、背中には巨大な翼、白い鬣を生やしたブッダリアよりも一回り巨大な竜の姿に変身する。カノンを右手に捕らえたまま、竜に変身した厭魔は挑発する。
厭魔「さあ、来い!」
ナオト「はあああーーーーっ!」
ブッダリアが、厭魔に攻め込む。しかし、厭魔は巨体に見合わぬ俊敏な速度で、それを交わす。そして、厭魔は、口から火炎放射を吐き出してくる。それを交わしながら、ブッダリアは、厭魔に攻め込んでいく。
ヒュルッ!ヒュルッ!ヒュルッ!
ナオト「くっ!速い!はああっ!!」
すると、ブッダリアは頭部の角の間から、電撃光線を放ちながら攻め込んだ。しかし、厭魔の屈強な身体に、吸収されてしまう。
厭魔「ふんっ!がぱあッ!!」
口から三発のエネルギー弾を放ってくる厭魔。それを交わし、急所へつこうとする。
ひたすらに、厭魔と空中戦を繰り広げるブッダリア。しかし、エネルギーが次第に消耗していき、装甲の青のラインが緑に変色する。
厭魔「貴様の弱点は知っている。神の掟により、短時間しか闘えないことだ。この強大な霊力を持つこの私とは違い、活動時間は実に短いはずだ。さあ、どうする仏ナオト!」
ナオト「ぐっ!でやああああーーーーーーっ!!」
気合いを入れるナオト。虹刀で厭魔の胴体を勢いよく斬りつけた。
厭魔「ぐはああああーーーーっ!!」
すると、厭魔は言う。
厭魔「くっ、くくっ。まさか、こんな攻撃を喰らうとはな。貴様も実に手強い奴だな。釈迦如来の孫とはいえ、こんなにも強大な力を持っていたとはな。まあいい。今回はこの辺にしといておこう。この小娘も返そう。しかし、また会う時は、必ずや…。」
厭魔は、潔く何かを悟ったかのように、その場から姿を消した。カノンを手放し、そのまま消える。
カノン「きゃああああっ!!」
落下しかけるカノン。それを、ブッダリアが上手くキャッチする。
ヒョイッ
ナオト「カノン!大丈夫か!」
カノン「えっ…ええ…。何とか…。」
ナオト「くっ。まさか、因縁の相手が現れるとはな。有り得ない。」
ブッダリアは、カノンを掌に乗せたまま、司隊本部へ帰っていくのであった。
ヒューーーーーーー…
ーーーその一方で。神仏郷とは別の、仏界の一角に、「狐の国」と呼ばれる狐の一族が集まる国があった。そこで、狐の子たちが、一人の狐の化身である青年を囲っている。
青年「知っての通りだが、俺は仏界を救う任務に出ることになった。だから、しばらくはいなくなる。」
狐の子たち「え~。寂しい~。」
青年「まあ、こればかりは仕方がない。仏界の運命がかかっているから。とにかく、俺は任務に出る。お前たち。いい子で待っていろよ。」
狐の化身であるこの青年は、仏界を救済すべく、アミーダのパイロットであったのだ。彼は、狐の子たちに別れを告げ、自身のアミーダの搭載された貨物船に向かっていく。
青年「よし。じゃあ、俺は行ってくる。待っていろよ。いつか帰るからな。」
狐の子たち「いってらっしゃい!」
専用アミーダの搭載された貨物船へ向かう青年。彼は自身満々で、闘いの時を待ちわびるのだった。
つづく
次回予告
アミーダのパイロットとして闘うナオトとカノンの元に、新たな仲間が加わることになる。彼の名は、稲荷タケル。彼と、彼の駆るアミーダ参ノ型ダーキニーを搭載する焔号を訪問するナオト達。そこに待ち受けるものは。
次回、「新たなるパイロット、稲荷タケル」
厭魔「ふん。嘆かわしい。実に嘆かわしい。何が、神仏の住む街だ。そんなものなど、一瞬にして、消し去ってやる。」
そう。部下の巨大妖怪群の不甲斐なさに苛立った厭魔が、単独で神仏郷に潜入したのであった。そして、因縁の相手である、仏ナオトを抹殺しようと企んだのだ。
ーーー神仏第一塾。ナオトは、カノンとともに、通常通り通所していた。行く途中、レンとコウが、ナオトとカノンを待っていた。そして、4人で塾に向かう。
コウ「おはよう、ナオト、カノン!」
レン「おはようさん!ほな、今日も頑張ろか。」
ナオト、カノン「おはよう。」
教室に入るナオトたち。ナオト、カノン、レン、コウは4人で仲良く話し合っていた。そこで、レンは言う。
レン「ほな、お前さんら、二人で力合わせて戦ってたみたいやな。かっこよかったで。」
コウ「そうだよ!なんせ、あのカンゼノンの威力!すごいよ!すごすぎる!」
どうやら、レンとコウは、ナオトとカノンが連携しながら、ノロイドケイを倒したことを知っていた模様だ。
カノン「まあ。私たち、神仏を守るために戦っていたんだもの。だから、それなりの活躍は、果たすわ。」
ナオト「そうだよ。僕たちは、神仏の希望になる存在なんだ。」
レン「せやな~。わても早く、アミーダに乗りたいのぅ。」
コウ「アミーダに乗ってるお前たち、羨ましすぎるぅ~~~。」
ナオト、カノン「はははは。」
すると、委員長のサキが、声をかける。
サキ「みんな~。先生が来るわ。席について。」
先生が来る。サキの号令とともに、授業を開始する。
サキ「起立!礼!着席!」
授業を始めるナオトたち。そんな中、厭魔が校舎の外までやってきては、不敵に微笑んでいた。
厭魔「ふっふっふっふっ。」
ーーーその間、羅刹城では、厭魔不在のために、魔子が羅刹兵に対し、教育的指導をしていた。
魔子「あんた達。よく聞いて。知ってのとおり、厭魔様はあんた達の巨大妖怪群が役に立たないから、代わりに神仏郷に出ることになったわ。だから、今日は、私があんたたちを指導するわ。」
羅刹兵「魔子様…いつにもまして恐ろしい。」
魔子「では、聞こうかしら?何故あんた達は、神仏ごときに負けるような、へっぽこな巨大妖怪群しか作らないわけ?」
難しい尋問をする魔子
羅刹兵「あっ…それはその…。」
ボコっ!ボコっ!ボコっ!
無能な羅刹兵たちに対し、拳や蹴りを入れる魔子。
魔子「まあ、言わずとも分かるわ。あんた達には、厭魔様に仏界を献上する忠誠心がないというわけね。」
羅刹兵「ううっ…魔子様ぁ…!」
魔子「あんた達は分かっているのかしら?ましてやね、神仏たちは、私たち羅刹団に対してアミーダを建立して手を打ってきているのよ。だから、あんた達も、それを打破できる、巨大妖怪群を造らなければならない。そういう事なの。」
羅刹兵「魔子様、お許しを!」
魔子「私ね、無能な奴らは信用しないわ。信用できるのは、偉大なる厭魔様だけ。雑魚どもに構っている必要なんて、ないの。」
目を鋭くする魔子。彼女は、無能な部下たちには、一切容赦しなかったーーー。
ーーーそして、下校時間。ナオトとカノンは、レンやコウたちと分かれ、帰路についた。
コウ「じゃなあ!ナオト!カノン!」
レン「ほな、今度家に遊びにこい!」
ナオト、カノン「じゃあ、また明日!」
ナオトとカノンは、二人で帰っていく。その背後から、厭魔は二人の様子を凝視していた。そこで、何を思ったか厭魔。
厭魔「あの小娘の肉を喰らえば、私は強大な霊力を持つ妖怪になれるのだ。しかし、一緒にいる坊主は、私の計画には障害となる存在だ。なんとしても消えてもらわなければ、ならないな…。」
なんと、厭魔は恐ろしい計画を試みたのだ。カノンの肉を食らい、強大な妖怪になるといったことだった。その計画の障害となるナオトの排除を試みたのだった。
ーーーサヤのマンションに着くナオト。
ナオト「ただいま。」
ーーーそして、カノンも、自身の家宅に着く。カノンは、羽織や制服を脱ぎ、部屋着に着替える。彼女がゆっくりしているその時のことだった。
すると…
ガチャッ…
カノン「…!」
玄関には、厭魔が立っていた。 カノンは不審な目で、厭魔を見つめる。
カノン「あなたは…!」
厭魔「これはこれは。観音菩薩の孫娘。」
お辞儀をしながら、カノンに詰め寄ってくる厭魔。カノンは怯えながら、抵抗する。
カノン「いや、来ないで…!」
厭魔「抵抗しても無駄だ。私は貴様の生肉が欲しい。だから、私の糧になってもらいたい。ただ、それだけだ。」
カノン「やめて…!」
壁際まで逃げるカノン。しかし、逃げ場は、もうどこにもない。厭魔は、ひたすらに、カノンを追い詰め続ける。
厭魔「残念だが、このようにして逃げても無駄だ。私は、逃げるものは、女子供であろうとも容赦しない。大人しく私の言う通りにしてもらうのが、無難だぞ。」
カノン「うっ…うぅっ…!」
怯えるカノン。次の瞬間、厭魔は、カノンの股間を強く握りつぶした。
グチュウッ!!
カノン「ああぁぁぁぁぁ…!!」
あまりの激痛に声を上げるカノン。股間が抉れ、大量出血する。
厭魔「ふふふふふっ…。」
不敵に笑う厭魔。そして…。
カノン「きゃああああーーーーーーっ!!」
カノンは、悲鳴を残し、部屋から消えたーーーー。
ーーー司隊本部の司令室。ユイら隊員たちが、モニターで、神仏郷の街の様子を確認していると…。
ビビビビビビ…
ユイ「えっ?何?」
アキト「なんだ!何が起きたんだ!」
シンイチ「なんだ!何なんだよ!」
突如として、モニターにノイズが走る。そして、そこに写ったのは、街中で、カノンを捕らえている厭魔の姿であった。驚く隊員たち。
隊員たち「うわあ…!!」
アキト「こ、こいつは…!」
ユイ「間違いありません!」
シンイチ「獄堂厭魔だ!!」
厭魔「司隊の隊員どもに告ぐ。観音菩薩の孫娘は、この私が捕らえた。知っての通りだが、私は、最強の妖怪になるためにこの小娘の肉を食らう。釈迦如来のクソ坊主が貴様らのアミーダを使い、この私と闘うと言うのならば、この小娘は解放してやる。私からは以上だ。夜までは待とうか。はっはっはっはっ。」
厭魔は、伝言を言うとそのままモニターから姿を消した。
ハクシ「くっ。なんて卑怯な奴なんだ。」
サヤ「まさか、こんな事があるなんて。」
ゴウ「有り得ないな。」
ーーーその頃、ナオトは帰宅し、サヤのマンションでゆっくりしていた。すると、電話が鳴る。
ナオト「もしもし?」
サヤ「ナオト。急な伝言でごめん。カノンが攫われたらしいの。」
ナオト「えっ?」
サヤ「誰だか検討はつくかもしれないけど、獄堂厭魔。ついに神仏郷へ潜入したみたいなの。どうやら、厭魔は、あなたと闘いたいんだわ。だから、お願い。至急司隊本部へ来て。」
ナオト「分かった。」
ナオトは、至急、司隊本部へ向かった。そして、ゴウから指示を受けた。
ゴウ「ナオト。よく来てくれた。サヤからも伝言があったと思うが、カノンが厭魔に攫われた。彼女を救出できるのは、君しかいない。奴が抵抗を試みるならば、アミーダの手で殺してかまわん。」
ナオト「了解しました。漣隊長。必ずやカノンを救出し、ここで決着を付けます。そして、仏界を救います。」
ゴウ「よし。いい覚悟だ。では、これより、ブッダリアを配備する。君は、パイロットスーツに着替え、アミーダへの搭乗を急いでくれ。」
ナオト「はい。」
ナオトは、パイロットスーツに着替え、ブッダリアに乗り込む。ブッダリアの発射準備を開始する隊員たち。そして、ブッダリアの発射準備を完了させると…。
ゴウ「アミーダ、出陣!!」
ナオト「阿弥陀仏っ!!」
ヒューーーーーーーッ!!
その間、厭魔はカノンを攫い、空中を飛んでいた。どうやら羅刹城に向かっている模様だ。
厭魔「さっそく獲物は捕らえた。我が城で料理にしてくれる。」
カノン「やめて!離して!」
厭魔「ええい!うるさい!騒ぐな!」
カノン「ううっ!」
もがくカノンを黙らせるかのように、腕で腹部を圧迫する厭魔。
すると、背後から…。
ナオト「待てーーーっ!!」
厭魔「ん?」
振り返る厭魔。そこへ、ナオトを乗せたブッダリアが追跡してくる。
ナオト「お前が獄堂厭魔だな!カノンを離せ!」
厭魔「ほう。実に可憐な登場だな。仏ナオト。この娘を取り返しにきたのだな?」
ブッダリアの中から叫ぶナオト。
ナオト「お前のせいで、僕の家族は死んだんだ!それに、仏界をめちゃくちゃにした!そんな奴は、僕は許さない!!!」
厭魔「随分とでかい口を叩くな。それに、貴様の祖父が私にした仕打ちもまだ忘れていないぞ。先に私を貶したのは貴様らの方だ。貴様ら神仏どもが、私を貶したりしなければ、こんな事にはならなかったのだよ。」
ナオト「言わせておけばこんな事を…!」
厭魔の発言に憤りを見せるナオト。ブッダリアは牙をむいた。
厭魔「威勢だけはよいな。しかし、私の力は計り知れずだ。」
厭魔の全身から、紫色の煙が出てくる。すると、次の瞬間、厭魔は黒と紫を基調にした体色に、背中には巨大な翼、白い鬣を生やしたブッダリアよりも一回り巨大な竜の姿に変身する。カノンを右手に捕らえたまま、竜に変身した厭魔は挑発する。
厭魔「さあ、来い!」
ナオト「はあああーーーーっ!」
ブッダリアが、厭魔に攻め込む。しかし、厭魔は巨体に見合わぬ俊敏な速度で、それを交わす。そして、厭魔は、口から火炎放射を吐き出してくる。それを交わしながら、ブッダリアは、厭魔に攻め込んでいく。
ヒュルッ!ヒュルッ!ヒュルッ!
ナオト「くっ!速い!はああっ!!」
すると、ブッダリアは頭部の角の間から、電撃光線を放ちながら攻め込んだ。しかし、厭魔の屈強な身体に、吸収されてしまう。
厭魔「ふんっ!がぱあッ!!」
口から三発のエネルギー弾を放ってくる厭魔。それを交わし、急所へつこうとする。
ひたすらに、厭魔と空中戦を繰り広げるブッダリア。しかし、エネルギーが次第に消耗していき、装甲の青のラインが緑に変色する。
厭魔「貴様の弱点は知っている。神の掟により、短時間しか闘えないことだ。この強大な霊力を持つこの私とは違い、活動時間は実に短いはずだ。さあ、どうする仏ナオト!」
ナオト「ぐっ!でやああああーーーーーーっ!!」
気合いを入れるナオト。虹刀で厭魔の胴体を勢いよく斬りつけた。
厭魔「ぐはああああーーーーっ!!」
すると、厭魔は言う。
厭魔「くっ、くくっ。まさか、こんな攻撃を喰らうとはな。貴様も実に手強い奴だな。釈迦如来の孫とはいえ、こんなにも強大な力を持っていたとはな。まあいい。今回はこの辺にしといておこう。この小娘も返そう。しかし、また会う時は、必ずや…。」
厭魔は、潔く何かを悟ったかのように、その場から姿を消した。カノンを手放し、そのまま消える。
カノン「きゃああああっ!!」
落下しかけるカノン。それを、ブッダリアが上手くキャッチする。
ヒョイッ
ナオト「カノン!大丈夫か!」
カノン「えっ…ええ…。何とか…。」
ナオト「くっ。まさか、因縁の相手が現れるとはな。有り得ない。」
ブッダリアは、カノンを掌に乗せたまま、司隊本部へ帰っていくのであった。
ヒューーーーーーー…
ーーーその一方で。神仏郷とは別の、仏界の一角に、「狐の国」と呼ばれる狐の一族が集まる国があった。そこで、狐の子たちが、一人の狐の化身である青年を囲っている。
青年「知っての通りだが、俺は仏界を救う任務に出ることになった。だから、しばらくはいなくなる。」
狐の子たち「え~。寂しい~。」
青年「まあ、こればかりは仕方がない。仏界の運命がかかっているから。とにかく、俺は任務に出る。お前たち。いい子で待っていろよ。」
狐の化身であるこの青年は、仏界を救済すべく、アミーダのパイロットであったのだ。彼は、狐の子たちに別れを告げ、自身のアミーダの搭載された貨物船に向かっていく。
青年「よし。じゃあ、俺は行ってくる。待っていろよ。いつか帰るからな。」
狐の子たち「いってらっしゃい!」
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