仏法戦記アミーダ

F-SORO

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第十二話「強さの意味」

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ズシン!ズシン!

住人たち「うわあああああ!」

住人たち「妖怪だ!逃げろ!」

神仏郷に、新たなる巨大妖怪群が出現した。それは、赤い身体に、おっかない顔、全身には無数の目、口からは火を吐き出す鬼の姿をした、ムゲン鬼だった。ムゲン鬼は、口からの火炎放射で、辺りの建物を破壊していく。


ヒューーーーーッ


そこへ、ブッダリア、カンゼノン、ダーキニーが駆けつけた。

ナオト「よし!戦いの時が来た!」

カノン「私たちの出番ね!」

タケル「待ってたぜ!かかってこいわ!」

ムゲン鬼と交戦し始めるアミーダ3機。先制攻撃に、ムゲン鬼は口から火炎放射を吐き出してくる。それを俊敏に交わしながら攻め込むアミーダ3機。

ボオオーーーーッ!シュッ!シュッ!シュッ!

ナオト「よし!ここから!でやあっ!」

虹刀を装備するブッダリア。それを使い、ムゲン鬼を斬りつけようとするが、硬質な身体に刃が通らない。カンゼノンやダーキニーも、光線技などを使うも、攻撃が一切通用しなかった。

ナオト「なぁっ!?」

次の瞬間、ムゲン鬼が巨大な手でブッダリアを掴み、カンゼノン、ダーキニーに向かって投げつけた。

カノン「きゃっ!」

タケル「ぐあああっ!!」

地面に叩きつけられるアミーダ3機。そして、立ち上がり、再びムゲン鬼に立ち向かおうとするも…。

ボオーーーーーーー…

3人「うわあああーーーーーーーっ!」

アミーダ3機は、ムゲン鬼の吐き出す灼熱の炎により、ちりちりに焼かれる。そして、3機はエネルギーが尽き、そのまま真下の山へと落下していく。

ナオト「ちくしょーーーーー!!!」


悔しさのあまり、叫ぶナオト。他のふたりも、ショックで気絶しかけていたーーー。


ーーー悔しながらも、サヤのマンションへ帰ってくるナオトたち。その間、司隊本部では、ハクシがアミーダ各機の修復作業を行っていた。

サヤ「お帰り、ナオト。」

ナオト、タケル「ただいま。」

サヤ「どうやら、今回の巨大妖怪群が強過ぎたみたいね。少し身体を休めて。」

ナオト「うん。」

サヤのマンションで、ゆっくり身体を休めるナオトとタケル。すると、サヤの元へ、一通の電話がかかってきた。応答するサヤ。

サヤ「もしもし。はい。はい。分かりました。」


ーーーどうやら、ナオト、カノン、タケルを呼び出す者がいたそうだ。サヤの指示を受けた3人は、船に乗り、神仏郷の町外れの花畑となっている孤島へと向かった。

カノン「私たちを呼び出す者って?誰なんだろう。」

タケル「さあな。面識もねえし、一体誰が俺らのことを。」

ナオト「そうだね。とにかく…ん?あれ!」

孤島を進んでいくナオト達。すると、その奥には、赤い長髪に、橙色の羽織、そして、ナオト達と同じ制服を着た一人の男がいた。その男に向かって歩いていくナオト達。

すると、男は振り返った。



男「待っていたぞ。そなた達。」

ナオト「…!あなた、もしや…!」

カノン「私たちと同じ羽織に、制服?」

タケル「もしかして…!」

男「先に、自己紹介だけしておこう。俺の名は、文殊トキオ。そなた達と同じ、アミーダのパイロットだ。」

ナオト、カノン、タケル「…!」

ナオト「んで、あの…あなたが、僕たちを呼んだんですか?」

トキオ「そうだ。」

ナオト「一体、何故…!」

トキオ「そなたの力を見るためだ。その為に、そなたのアミーダで、闘うために来たのだ。」

ナオト「まさか…!冗談でしょう!?僕はあなたと闘うことは、出来ません!」

トキオ「ムゲン鬼の敗北と同等に、俺に負けるからか?」

ナオト「…!」

トキオ「時間は無い。さあ、自身のアミーダを用意して、俺と戦え。」

ナオト、カノン、タケル「…!」

微かな笑みを浮かべるトキオ。すると、勾玉を取り出し、自身のアミーダを召喚するのであった。

トキオ「南無阿弥陀仏っ!!」

ズシーーーーーン!!



トキオが叫ぶと、目の前にトキオ専用のアミーダが出現する。現れたのは、鋼色の装甲に、武者の鎧のような姿をした、アミーダ伍ノ型ジャンペルだった。

カノン「すごい…!」

タケル「あれが…。」

トキオ「アミーダ伍ノ型ジャンペルだ。さあ、ナオト。そなたもアミーダを召喚しろ。」

トキオはそういうと、俊敏にジャンペルのコクピットへ移った。そして、ナオトは「南無阿弥陀仏」と叫び、ブッダリアを召喚。こうして、ナオトのブッダリアと、トキオのジャンペルの一騎打ちが始まった。 

シュッ!シュッ!シュッ!

トキオ「でやあっ!はあっ!」

ナオト「やあっ!たあっ!」

互いに拳や蹴りをぶつけ合うブッダリアとジャンペル。しかし、この戦いでは、ジャンペルが有利だ。ジャンペルは、ブッダリアに対し、投げ技をかましたりした。

ナオト「ううっ!」

トキオ「どうした?!それでもアミーダのパイロットか?俺を殺す覚悟で来い!!」

トキオの言葉に呼応するように、ジャンペルに攻め込むブッダリア。しかし、ジャンペルのパンチやキック、格闘技にブッダリアは翻弄される。

すると、次の瞬間…。

トキオ「でやあああーーーーーーっ!!」

ジャンペルの拳からは稲妻が。そして、稲妻を放ちながら敵を殴りつける「雷拳」で、ブッダリアに殴りかかった。

タケル「雷拳か?!?!」

ナオト「でやあああーーーーーーっ!!」

ブッダリアも、拳を繰り出しながらジャンペルとぶつかり合った。しかし、ブッダリアはジャンペルに弾き飛ばされ、カノンとタケルの目の前に倒れ込んだ。トキオの勝ちだ。


ーーー戦いを終え、アミーダを降りるナオトとトキオ。ナオトは、へとへとになり、カノンとタケルの元へ倒れ込んだ。

カノン「仏くん!」

タケル「おい!大丈夫か?!」

トキオ「…。」

ナオト「うぅっ…。」

カノン「あなた…!よくも仏くんを!」

トキオの顔面に蹴りを入れようとするカノン。しかし、トキオはカノンの足の裏を指一本で止めた。

トキオ「無駄な抵抗はよせ。そなたらが弱いのは分かっている。足掻いても無駄だ。」

ガシッ!

カノン「ああっ!!」

トキオは、蹴り上げたカノンの脚を、勢いよく捻り、そのまま地面に叩きつけた。

タケル「て、てめえ!ざけんなぁ!!」

続いて、憤ったタケルがトキオの胸ぐらを掴む。

タケル「てめえ、マジでうぜえんだよ!!いきなり俺たちを呼び寄せて、ナオトを痛めつけて!!なんなら俺が勝負してやりたかったんだよ!!おい、今俺とタイマン張れや!!!」

トキオ「無駄だ。」

パシッ!ゴンッ!!

タケルの手を払ったのち、鳩尾に拳を入れるトキオ。

トキオ「全く。何を無駄な事を。そなた達が、俺にかなう事なんてなかろうよ。仏界すら守れない奴らが、この俺に抵抗しようなどな。」

ナオト「くっ。」 

トキオ「…!何だ!そなた達のその目は!そうやって無様に蹲るのではなく、立って話を聞け!!そなた達は、本当の強さというものを知らないんだ!!強さも知らずに巨大妖怪群に立ち向かうとは!!実に愚かだ!!特に仏ナオト!!そなたは仏界を守れずに、ムゲン鬼に負けた挙句に、この俺にも負けたのだぞ!!そんな弱ったらしい奴が、厭魔を倒し、仏界を救うことが出来るとでも思ったのか!!!…まあ、いい。まずは特訓だ。そなた達は、じっくり強さの意味というのを学ぶべきだ。まずはムゲン鬼を倒してみるんだ。そしたら、そなた達を認めよう。」

トキオは、ナオトたちに本当の強さの意味を教えたのちに、三人に道着と竹刀を渡し、その場を立ち去った。


ーーー鹿威しの鳴るとある屋敷。トキオは一人、縁側に座りながら、ある事を追憶していた。

トキオ「(確かに、俺は、弱者をいびる事しか出来ない無力な事もあった。それは、最愛の弟が、羅刹団の捕虜になった事だからな。あの時、俺に助ける力があれば、俺は一つ変わっていた。しかし、俺にはそんな力は無かった。だから、弱者を痛めつける事しか出来ない。俺自身も、変わるしかなかったんだ。)」


そこへ、彼の相方と思われる金髪で三つ編みの美少女、南無ノエがやってくる。

ノエ「あれ、トキオ。あんたどこ行ってたの?」

トキオ「ちょっとな。司隊の視察だ。どれだけ強いか見せてもらっただけだ。」

ノエ「そう言っておいて。まさか、いたぶったんじゃないでしょうね?そういうのは酷いと思うわ。」 

トキオ「違う。あいつらは、強さの意味というものを知らなかっただけだ。だから、俺が教育的指導をしてやっただけだ。何としてでも、あいつらに一人前になってもらいたかっただけだ。」

ノエ「本当に硬いわね。あなたも。とにかく、彼らを強くしたいのは分かるわ。でも、痛めつけたところで、強くなるとは、到底思えないわ。」

トキオ「…。」


ーーーサヤのマンションで。ナオトとタケルは今回のトキオの事を話す。

ナオト「とにかく、あのジャンペルのパイロットは、本当に厳しかったんだ。」

タケル「まさか、急に呼び出されて、戦いを強いられるとは思わなかったんだ。」

サヤ「そう。でも、彼はいい事をあなた達に教えてくれたんでしょ。私は、彼の言う事が正しいと思うわ。ムゲン鬼に負けたのは、まだあなた達が一人前じゃなかったから。本当の強さというものを、教えたかったんじゃないかしら?それにね。ナオト。彼は、貴方と同じで、最愛の弟が、羅刹団の捕虜になって、それから辛い感情を抱いていたらしいの。それだけではなく、仏界大戦争も経験して、仲間や家族も大勢失っているから。だから、弱者を排出したくないという理由で、強くなってほしいっていう気持ちでいっぱいなのかもしれないわ。」

ナオト「うん。僕も今の話で、ジャンペルのパイロットの気持ちが分かった気がする。ジャンペルのパイロットも、僕のように辛い気持ちを抱きながら、アミーダのパイロットになったんだって。彼の言い分としては、僕たちに強くなってほしいんだって。」

タケル「ああ。俺としてもだ。確かにカッとはなったが、必ず勝たなければならない戦いであるという事を理解した。だから、俺たちは、強くならなきゃいけない。そういう事なんだ。」


サヤ「貴方たちは大事なことを学んだのよ。さあ、今回の巨大妖怪群に勝つために、修行をしないとね。」


ーーーそして、ナオト、カノン、タケルは、アミーダのパイロットとしての腕前を磨き、ムゲン鬼を倒し、強くなる為に、修行に励んだ。3人は道着を着込みながら、棒に拳や蹴りを入れたりしながら、修行した。

ナオト、カノン、タケル「やあっ!せいっ!やあっ!せいっ!やあっ!」

バシッ!バシッ!バシッ!

ひたすらに、棒に拳や蹴りを入れ、修行に励むナオト達。その様子を、トキオは傍らから眺めていた。

トキオ「(まあ、あいつらには俺の教えた事が、いい勉強になっているだろうな。このまま、強くなってくれると、俺としては嬉しい。)」


ーーーナオト達の修行の様子を、羅刹城から眺めている厭魔。

厭魔「ふはははは。無駄な事を。修行をして勝てるとでも思っているのか。」

魔子「それに、あの男は、何でしょうか?」

水晶玉に、トキオの顔が映し出される。

厭魔「こいつも、我々に刃向かいくるアミーダのパイロットであるな。なかなかに手強そうだ。」

魔子「やはり、この男も警戒の的ですね。」

厭魔「憶測だが、アミーダのパイロットが増えつつあるな。これでは、我々の計画はいつまで経っても遂行出来ない。ただ、ねじ伏せられるのみだ。配下を増やすしかない。そう部下に伝えろ。魔子。」

魔子「了解です。厭魔様。」


ーーーひたすら修行を重ねたナオト達。そして、ムゲン鬼への第2戦へ挑むのだった。ナオト達は、トキオから教わった強さの意味を噛み締め、サヤやゴウ、そして隊員たちが見守る中、ムゲン鬼に立ち向かう。

ズシン!ズシン!

街で暴れ回るムゲン鬼。ムゲン鬼は、住人たちを踏み潰そうと崖っぷちまで追いかけた。 


住人「あっ!アミーダだ!」

それを阻止すべく、ナオト達のアミーダ3機が駆けつけた。ムゲン鬼と交戦するアミーダ3機。その様子を、トキオが眼下から眺めている。

トキオ「…。」

シュパパパパパパッ!!

ムゲン鬼と渡り合うアミーダ3機。ムゲン鬼の吐き出してくる炎を交わし交わし、攻め込んでいく。光線技など、格闘技などを使い、攻撃していく。

しかし、次の瞬間、カンゼノンがムゲン鬼に掴まれる。

ガシッ!

カノン「きゃあっ!」

タケル「カノン!大丈夫か?!」

ナオト「しっかりしろっ!」

救出しようと動くブッダリアとダーキニー。しかし、ムゲン鬼は、カンゼノンを眼下に叩き落とした。

眼下からは、住人たちがムゲン鬼に向かって叫び出した。


住人たち「やめろーーーーっ!!」

すると、ムゲン鬼は、住人たちに視線を向けた。怯える住人たち。

住人たち「うわあっ!!」

ムゲン鬼「キシャーーーーーーッ!!」

ズシン!ズシン!

崖っぷちまで追い詰めた住人たちを踏み潰そうとするムゲン鬼。それを守るために、ブッダリア、カンゼノン、ダーキニーはムゲン鬼の足を持ち上げた。

ナオト「ぐっ…うううーーーーーーっ!!!」

そして、何を思ったかトキオ。次の瞬間…

トキオ「南無阿弥陀仏っ!!!」 

トキオはジャンペルを召喚した。ジャンペルを召喚したのちに乗り込み、ムゲン鬼に向け、強力なパンチをかました。

ズゴーーーーーーン!!!

ジャンペルのパンチに、ムゲン鬼は倒れ込んだ。驚くナオト達。

カノン「ジャンペル…?」

ナオト「文殊さん…!?」

トキオ「そなた達!いい見せ場だった!俺が間違っていた!さあ、こいつを倒すぞ!」

ナオト、カノン、タケル「はい!!」

トキオのジャンペルも応戦した。そして、ナオト達のアミーダは、ジャンペルの力を借り、ムゲン鬼を攻撃した。吐き出してくる火炎放射をも、結界でブロックし、攻め込んでいく。

ジャンペルが、強烈な蹴りを入れ、ムゲン鬼をねじ伏せた。そして、トキオは叫ぶ。

トキオ「よし!今だ!!!」

ナオト、カノン、タケル「はい!!!」

空中に飛び上がるアミーダ4機。4機は拳にめいいっぱい稲妻を放つ雷拳を放った。

ナオト、カノン、タケル、トキオ「でやあああーーーーーーーーーっ!!!!」


ズゴオオオーーーーーーン!!!!!

アミーダ4機の強力な雷拳がムゲン鬼を貫く。そして、ムゲン鬼は形状を維持出来ずに、そのまま崩壊していくのであった。アミーダの勝利に、拍手する住人たち。

住人たち「ありがとうー!」

住人たち「見ろよあれ!新しいアミーダだ!」

住人たち「かっこいい!」

住人たちを見下ろすアミーダ4機。そして、任務を終えた4機は、飛び立っていく。

ーーーそして、夕暮れ時。ナオトは、トキオにお礼を言った。

ナオト「文殊さん。強さの意味を教えてくれて、ありがとうございます。あなたのおかげで、僕は本当の強さを実感しました。僕たちを変えてくれたのは、あなたです。」

トキオ「ああ。そなた達なら、出来るだろう。必ず仏教世界を救う事が出来る。そなた達は、最後まで、崖っぷちに追い詰められた神仏を守った。それは評価しよう。」

ナオト「ありがとうございます!!」

笑顔で礼をするナオト。そして、強さの意味を理解したナオトに対し、トキオは笑みを浮かべた。

トキオ「ああ!そうだ。これから、俺の仲間を紹介してやりたい。羅刹団の新たなる勢力に対抗するために、そなた達に力を貸してやりたいんだ。だから、我が屋敷に来い。あの仲間達も連れてな。」

ナオト「はい!文殊さん!」

日が沈む中、握手を交わすナオトとトキオ。トキオは、何れ、ナオト達を援護するであろう、自身の仲間を紹介してやりたかったのだ。


ーーーその屋敷。トキオが帰宅すると、おかっぱ頭に、和服を着込んだ隊長が、隊員を集め、会議を行っていた。

スバル「そなた達。よくぞ集まってくれた。現在、羅刹団の勢力が増している。司隊のアミーダでは敵わない状況だ。だから、そなた達が、最新のアミーダで、司隊を援護してほしいのだ。魂隊準隊長文殊トキオ。魂隊副隊長南無ノエ。そして魂隊員、普賢ツバキ。弥勒ミコ。勢至ヒカル。風神ウサ。そなた達の力が必要だ。必ず、任務を全うしてくれ。」

魂隊一同「御意。」

そう。この組織は、最新のアミーダのパイロットであるトキオをはじめ、優秀な6人のパイロットで構成された魂隊だ。魂隊は、以後、最新鋭のアミーダを使い、司隊を援護することとなるのだーーー。


ーーーつづく


次回予告

羅刹団の新たなる脅威に対抗するために、魂隊と呼ばれる最新鋭の組織が結成された。魂隊に挨拶するナオト達。そして、準副隊長のノエが、自身のアミーダの性能を、ナオト達に見せつけるのだった。

次回、「魂隊統合へ」
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