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第十三話「魂隊統合へ」
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司隊本部。シンイチが、サヤに新たな情報を報告していた。
サヤ「アミーダが新たに6体建立された?」
シンイチ「そうです。羅刹団の勢力は増していく一方ですから。とにかく手をうっておかなければならないそうで…。」
サヤ「そう。それで、いずれはナオト達に力を貸すってわけね。」
シンイチ「はい。羅刹団が新たな刺客を送り込んでくる前に、手を打っておかなければならないので。俺達も、対策しておかなければなりません。」
ーーー隊長室で、手紙を書いているゴウ。すると、そこへ一通の電話がかかってくる。
ジリリリリ…ジリリリリ…。
電話に出るゴウ。
ゴウ「もしもし。司隊本部です。」
スバル「お世話になっております。魂隊隊長の、成仏スバルと申します。」
ゴウ「はい。」
スバル「知っての通り、現在、羅刹団がかなり勢力を増してきている模様でして。司隊のアミーダでは敵わない配下が現れつつあると思います。なので、我々魂隊が、あなた達司隊に、力を貸して差し上げたいのです。」
ゴウ「それは光栄です。是非とも力を貸してくだされば、幸いです。ありがとうございます。」
スバル「では、是非とも仏ナオト殿、月泉カノン殿、稲荷タケル殿を我が本部にご招待しましょう。」
ゴウ「承知いたしました。後日、そちらへ向かわせます。」
ーーーそして、ナオト、カノン、タケルは司隊本部へ招集される。
ゴウ「諸君。聞いてくれたまえ。これからは、魂隊と呼ばれる組織が、君たちを援護する事になるそうだ。どうやら羅刹団の勢力が増しているらしいからな。神々は、それに対抗すべく、新組織や、最新のアミーダの建立を進めているみたいだ。故に今後、君たちはお世話になるのだから、挨拶してきてくれたまえ。くれぐれも、失礼のないようにな。」
ナオト、カノン、タケル「はい。」
ゴウ「では、霊界列車を手配した。場所は極楽浄土の中心街だ。行って参れ。」
ーーーゴウの指示を受け、魂隊に挨拶することとなったナオト達は、霊界列車に乗り、極楽浄土の魂邸に向かった。
ナオト「魂隊か。最新鋭のアミーダを保有しているんだってね。」
カノン「楽しみね。ワクワクするわ。」
タケル「やっぱり、同年代のパイロットが多いわけだな。綺麗な人がいそうな気がして、たまんね~!」
ナオト「おいタケル。お前は早速鼻を伸ばしてんな。」
カノン「そうよ。魂隊の皆さんには、これからお世話になるんだから、くれぐれも失礼のないようにするのよ。」
タケル「わ、悪かったよお~。」
ブオオーーーーン…
霊界列車が、トンネルを抜けていく。そして、極楽浄土へとたどり着く。極楽浄土のターミナルで列車を降り、魂邸を目指す。
ナオト「ここが極楽か。」
カノン「前、おばあちゃんと何回か来たことあるけど。やっぱり変わらないわね。」
タケル「それに、この付近に、魂邸があるんだな。しっかり探さんと。」
色彩豊かな極楽浄土を歩いていくナオトたち。極楽の木々には、桃がなっていた。それを食べようとするタケル。
タケル「うひょ~。美味しそうな桃。」
ナオト「馬鹿。ここの住人のものだ。勝手に食べるんじゃないぞ。」
カノン「そうよ。魂邸に行きましょう。」
極楽の道を進んでいくナオトたち。目印の金色で厳か、巨大な建物を見つける。それが、魂邸であった。あまりのスケールに、ナオト達は圧倒された。
タケル「うひょ~。これが魂邸か。」
カノン「随分と大きいのね。」
ナオト「僕らの本部とは大違いだ。」
中から、羽衣をまとった天女のような魂隊の職員が出てくる。
魂隊職員「司隊御一行様ですね。よくぞいらしてくれました。私は、魂隊の職員でございます。どうぞ宜しくお願いします。」
ナオト「よろしくお願いします。」
魂隊職員「では、こちらへどうぞ。中へお入りください。」
魂邸の中へと入っていくナオト達。入口では、職員と思われる天女たちが、音楽を奏でていた。厳かな入口を進んでいくナオト達。
魂隊職員「こちらでございます。成仏スバル隊長は、この建物の最上階にございます。」
ウィーーーーーン…
エレベーターを上がっていくナオト達。そして、最上階のスバルの隊長室へと入っていく。隊長室は、多くの巻物や経典などで、さながら図書館のようになっている。
魂隊職員「司隊御一行でございます。」
ナオト「失礼いたします。」
スバル「こちらへどうぞ。」
用意された椅子へかけるナオト達。
スバル「お初にお目にかかります。私は、魂隊隊長、成仏スバルと申します。宜しくお願いします。」
ナオト「宜しくお願いします。」
スバル「さて。あなた方は、これまで神を守るものとして、羅刹団と戦ってきました。しかし、最近になりまして、羅刹団の勢力が増してきました。よって、我々魂隊が、あなた方司隊を援護するために、設立されました。改めまして、今後ともよろしくお願いします。」
ナオト「はい。お世話になります。」
スバル「では、挨拶は以上です。それでは、我が魂隊の隊員たちをご紹介しましょう。こちらへどうぞ。」
ーーースバルに、魂隊のパイロットの元へ案内される。そこは、金色の仏像で囲まれた煌びやかな空間だった。そこで、ナオト達は、魂隊の6人のパイロットと対面した。
スバル「こちらが、魂隊のパイロットたちです。彼らは、優秀なパイロットであり、操縦術に長けています。これから、お世話になるところでしょう。では、どうぞ。」
魂隊の女性準副隊長、南無ノエが立ち上がる。
ノエ「どうぞよろしく。私は魂隊の準副隊長、南無ノエよ。昨日は準隊長のトキオが急に出てきて驚かれたかもしれないけれど。とりあえずそれは謝らせてもらうわ。」
ナオト「はい。」
ノエ「では、魂隊のパイロットたちを紹介するわ。まずは、魂隊準隊長、文殊トキオ。」
トキオ「文殊トキオだ。改めてよろしくな。」
ノエ「続いて、こちらが、普賢ツバキ。」
ツバキ「普賢ツバキです。よろしくね。」
ノエ「その次に、弥勒ミコ。」
ミコ「弥勒ミコです。よろしくお願いします。」
ノエ「続いて、勢至ヒカル。」
ヒカル「勢至ヒカルです。よろしくお願いします。」
ノエ「で、最後に。風神ウサ。」
ウサ「風神ウサよ。よろしくね。」
ノエ「…といった感じで、ざっと紹介させてもらったわ。何かあったら、彼らに頼ってね。」
タケル「(うひょ~ッ!やっぱ予想通りだ!綺麗な人おる!)」
ミコ「(お気の毒に。あの金髪のお方。私を見て惚れてますわ。おほほほ。)」
ヒカル「(それにしても、彼らの眼差しは、光のように美しいです。)」
ツバキ「(やっぱり、真ん中の仏ナオトくん、いいなぁ。いつか、一緒に戦いをする時が楽しみだ。)」
ウサ「(とりあえず、いつか戦う日が来るといいわ。)」
ノエ「じゃあ、とりあえず、よろしくね。これからは、私達があなた達を援護するわ。何か分からない事があったら、遠慮なく聞いてね。」
ナオト「はい!南無さん!これからお世話になります!今後、羅刹団の巨大妖怪群に立ち向かっていきましょう!」
握手を交わすノエとナオト。今後、羅刹団の新たなる勢力に立ち向かう際に、魂隊が援護につく事で合意した。
ーーーナオト達が、魂邸へ挨拶に行っているその時の事だった。神仏郷で、新たなる巨大妖怪群が出現していた。それは、緑色の泥のような身体に、異臭を放ち、辺りの木々や建物を腐敗させる特性を持つ巨大妖怪群ヘドロンであった。ヘドロンは、神仏郷を飲み込むように、辺りを覆い尽くしていく。
今回は、司隊本部でのナオト達の不在に伴い、臨時で、魂邸より魂隊保有の最新のアミーダを出撃させることになった。発射準備を急ぐ魂隊。
ノエ「おいでなすったわね。さあ、司隊を代表して、ナオトくん。来てちょうだい。」
ナオト「はい!南無さん!」
ノエ「どうやら、神仏郷に巨大妖怪群が出現したみたいね。本作戦のみ、私のアミーダで出撃するわ。来てちょうだい。」
カノン「仏くん!頑張ってね!」
そして、ナオトはノエとともに、彼女の専用機体である、アミーダ肆ノ型アミターバに向かう。アミターバを見て、圧倒されるナオト。
ナオト「すごい。これが、アミターバ。ピンク色なんですね。すごい女の子らしい気が…。」
ノエ「そう。これが私の機体よ。中でも驚くのが、その性能よ。これまで建立されたアミーダシリーズの中では、真のアミーダとも評されているわ。」
ナオト「すごいですね。僕らの機体は、試験型や、試作型を占めています。やっぱり、僕らの保有しているアミーダシリーズとは、大きく違うんですね。」
パイロットスーツに着替えるノエ。ナオトは、羽織のまま、アミターバに乗り込んだ。
カチャッ
ノエ「さあ、行くわよ。私のアミターバの性能、見せてあげるわ。」
ナオト「はい。」
ウイーーーン
職員たちが、アミターバの発射準備を開始する。魂邸の裏側の建物が折りたたまれ、そこから、アミターバが発射される。
ノエ「アミーダ、ARE、GO!!!」
ビューーーーーッ
ノエとナオトを乗せたアミターバが、魂邸を飛び立つ。そして、ヘドロンの蔓延る神仏郷へと向かった。
ーーーヘドロンと会敵するアミターバ。そして、戦闘を開始する。
ノエ「ほぅ。これが新たな巨大妖怪群ね。倒してやろうじゃないの。」
アミターバの周囲に、光る花々が出現する。そして、光をまといながら、ヘドロンに攻め込んでいく。
シュッ!
ヘドロンと交戦するアミターバ。その様子を、羅刹城では、厭魔と魔子が、水晶玉を通じて眺めていた。
厭魔「何だ…こいつは…。」
魔子「どうやら、最新鋭のアミーダのようですね。」
厭魔「くっ。嘆かわしい。何故目障りなアミーダが、増えていくのだ。」
魔子「それにパイロットは、あの阿弥陀如来の孫娘!そいつも目障りですわっ!ぷいっ!」
厭魔「そうだな。…ヤツめ、覚えておけよ。今は無理だが、必ずや新たな刺客を送り込んでやるからな。」
ーーー魂邸。ヘドロンとアミターバの戦闘状況を実況する魂隊職員。カノンとタケルも、スバルとともにその様子を見ていた。
魂隊職員1「現在、神仏郷にて巨大妖怪群ヘドロンとアミターバが交戦中!」
魂隊職員2「戦闘状況は順調!アミターバ、問題なし。」
それを見ていたスバルは言う。
スバル「ほう。彼女もやるではないか。流石、凄腕のパイロットだ。初戦ながらもすごい戦闘ぶりを見せるとは。」
ヘドロンと交戦するアミターバ。ヘドロンの攻撃を交わし交わし、攻め込んでいく。
シュッ!シュッ!シュッ!
ノエ「はっ!でやあっ!はあっ!」
ヘドロンも、触手を伸ばしたり、不特定に開いた口を開けながら、アミターバに攻めかかる。装備した武器を利用し、ヘドロンの身体を切り裂いていく。
ノエ「でやあっ!はあっ!はっ!…さて、お遊びはここまでにして…。奴の弱点は香りよ!次は私の番!」
すると、アミターバは武器をハート型の杖・花蓮阿弥陀杖に取り替えた。そして、花蓮阿弥陀杖から、花の香りで敵を幻惑させる技・「幻花」を放った。ヘドロンが苦手とする花の香りを放つ。それにより、ヘドロンの動きが衰弱していく。
ナオト「すごい。敵の力が弱まった。」
ノエ「さて。ここからが本番よ。必殺技、花の調べ!」
パパパパパパッ
特殊武装である、花の調べを放つアミターバ。ヘドロンの身体中に美しい色とりどりの花が咲く。咲いた花によって力を吸収され、ヘドロンはそのまま形状崩壊した。アミターバの勝利だ。
ノエ「はい。任務完了。」
ナオト「す、すごいです!僕らのアミーダとは全然違う機能がついてるんですね!感激しました!」
ノエ「そう。これが私たち魂隊のアミーダの性能。かなりの最新型よ。さあ、任務は終わったわ。帰るわよ。」
ーーー魂邸へ帰還したナオトとノエ。今後、ナオト達は魂隊と世話になる事を、改めて約束した。
ナオト「本日は、ありがとうございました。魂隊の皆さん。」
ノエ「ええ。こちらこそ。これからもよろしくね。ナオトくん達。」
ナオト「はい。喜んで。」
ノエ「仏くん。」
すると、ノエがナオトの元へ歩み寄ってくる。
ナオト「…?」
ノエ「ちゅっ♡」
なんと、ノエはナオトの頬にキスをした。驚くカノンとタケル。
カノン、タケル「うわあっ!?」
ノエ「今日はありがとう。これは、また会うためのおまじないよ。有り難く受け取ってね。」
ナオト「あ、ありがとうございます…。」
ノエ「じゃあ、改めて今日はありがとう!また会おうね!」
ナオト、カノン、タケル「ありがとうございました!さようなら!」
魂隊との挨拶を終えたナオトたち。これからは、魂隊とともに、羅刹団の新たな勢力に立ち向かう約束を交わした。そして、ナオトたちは、霊界列車で帰路についた。
ーーーサヤのマンションへ帰ってきたナオトとタケル。
サヤ「お帰りなさい。ナオト、タケル。魂隊の皆さんに挨拶してきた?」
タケル「ああ!いい感じだったよ!みんな人相は良さそうだった。」
サヤ「なら良かった。で、ナオト。頬のそれは何かしら?」
ナオトの頬のキスマークに食いつくサヤ。
ナオト「あっ…こ、これは…!」
サヤ「まあ言わずとも分かるわ。あんた、魂隊の準副隊長から、それをもらったのね。」
ナオト「ん…!」
ナオトの耳を引っ張るサヤ。
サヤ「そんであんたは何考えてんの!?ただ挨拶すればよかっただけなのに、キスまでもらうなんて!!!全くもう!!」
ナオト「いや、違うんだ!これは、あっちがまた会うためのおまじないって言って、僕に!」
タケル「あ~あ、言っちまったな。ナオト。」
こうして、ナオトとタケルは、サヤと共に、いつも通りの夜を過ごした。
ーーーその間、羅刹城では厭魔が新たな配下と思われる5人の鬼たちを集め、会議を行っていた。
厭魔「やはり、巨大妖怪群どもでは役に立たなかった。今回は、貴様らに出てもらおうぞ。赤神。青神。黄神。黒神。白神。貴様ら五大魔王の力を、神仏郷の雑魚どもに知らしめてやるのだ。」
五大魔王「御意。」
厭魔「では、これからは、貴様ら悪鬼族が、仏教世界の支配をするのだ。神仏郷へ急げ。ふふふふっ。」
不敵に笑う厭魔。彼は、新たなる刺客である五大魔王を使い、彼らを武器に、新たなる仏教世界侵略に乗り出すのであった。
ーーーつづく
次回予告
ナオト達は、魂隊の助太刀で、巨大妖怪群を全て倒した。それに対抗するために、厭魔は、新たな配下である五大魔王を神仏郷に送り込む。そして、ナオト達の新たな戦いが幕を開ける。
次回、「五大魔王降臨Ⅰ剛腕の黒神~花魂・南無ノエ~」
サヤ「アミーダが新たに6体建立された?」
シンイチ「そうです。羅刹団の勢力は増していく一方ですから。とにかく手をうっておかなければならないそうで…。」
サヤ「そう。それで、いずれはナオト達に力を貸すってわけね。」
シンイチ「はい。羅刹団が新たな刺客を送り込んでくる前に、手を打っておかなければならないので。俺達も、対策しておかなければなりません。」
ーーー隊長室で、手紙を書いているゴウ。すると、そこへ一通の電話がかかってくる。
ジリリリリ…ジリリリリ…。
電話に出るゴウ。
ゴウ「もしもし。司隊本部です。」
スバル「お世話になっております。魂隊隊長の、成仏スバルと申します。」
ゴウ「はい。」
スバル「知っての通り、現在、羅刹団がかなり勢力を増してきている模様でして。司隊のアミーダでは敵わない配下が現れつつあると思います。なので、我々魂隊が、あなた達司隊に、力を貸して差し上げたいのです。」
ゴウ「それは光栄です。是非とも力を貸してくだされば、幸いです。ありがとうございます。」
スバル「では、是非とも仏ナオト殿、月泉カノン殿、稲荷タケル殿を我が本部にご招待しましょう。」
ゴウ「承知いたしました。後日、そちらへ向かわせます。」
ーーーそして、ナオト、カノン、タケルは司隊本部へ招集される。
ゴウ「諸君。聞いてくれたまえ。これからは、魂隊と呼ばれる組織が、君たちを援護する事になるそうだ。どうやら羅刹団の勢力が増しているらしいからな。神々は、それに対抗すべく、新組織や、最新のアミーダの建立を進めているみたいだ。故に今後、君たちはお世話になるのだから、挨拶してきてくれたまえ。くれぐれも、失礼のないようにな。」
ナオト、カノン、タケル「はい。」
ゴウ「では、霊界列車を手配した。場所は極楽浄土の中心街だ。行って参れ。」
ーーーゴウの指示を受け、魂隊に挨拶することとなったナオト達は、霊界列車に乗り、極楽浄土の魂邸に向かった。
ナオト「魂隊か。最新鋭のアミーダを保有しているんだってね。」
カノン「楽しみね。ワクワクするわ。」
タケル「やっぱり、同年代のパイロットが多いわけだな。綺麗な人がいそうな気がして、たまんね~!」
ナオト「おいタケル。お前は早速鼻を伸ばしてんな。」
カノン「そうよ。魂隊の皆さんには、これからお世話になるんだから、くれぐれも失礼のないようにするのよ。」
タケル「わ、悪かったよお~。」
ブオオーーーーン…
霊界列車が、トンネルを抜けていく。そして、極楽浄土へとたどり着く。極楽浄土のターミナルで列車を降り、魂邸を目指す。
ナオト「ここが極楽か。」
カノン「前、おばあちゃんと何回か来たことあるけど。やっぱり変わらないわね。」
タケル「それに、この付近に、魂邸があるんだな。しっかり探さんと。」
色彩豊かな極楽浄土を歩いていくナオトたち。極楽の木々には、桃がなっていた。それを食べようとするタケル。
タケル「うひょ~。美味しそうな桃。」
ナオト「馬鹿。ここの住人のものだ。勝手に食べるんじゃないぞ。」
カノン「そうよ。魂邸に行きましょう。」
極楽の道を進んでいくナオトたち。目印の金色で厳か、巨大な建物を見つける。それが、魂邸であった。あまりのスケールに、ナオト達は圧倒された。
タケル「うひょ~。これが魂邸か。」
カノン「随分と大きいのね。」
ナオト「僕らの本部とは大違いだ。」
中から、羽衣をまとった天女のような魂隊の職員が出てくる。
魂隊職員「司隊御一行様ですね。よくぞいらしてくれました。私は、魂隊の職員でございます。どうぞ宜しくお願いします。」
ナオト「よろしくお願いします。」
魂隊職員「では、こちらへどうぞ。中へお入りください。」
魂邸の中へと入っていくナオト達。入口では、職員と思われる天女たちが、音楽を奏でていた。厳かな入口を進んでいくナオト達。
魂隊職員「こちらでございます。成仏スバル隊長は、この建物の最上階にございます。」
ウィーーーーーン…
エレベーターを上がっていくナオト達。そして、最上階のスバルの隊長室へと入っていく。隊長室は、多くの巻物や経典などで、さながら図書館のようになっている。
魂隊職員「司隊御一行でございます。」
ナオト「失礼いたします。」
スバル「こちらへどうぞ。」
用意された椅子へかけるナオト達。
スバル「お初にお目にかかります。私は、魂隊隊長、成仏スバルと申します。宜しくお願いします。」
ナオト「宜しくお願いします。」
スバル「さて。あなた方は、これまで神を守るものとして、羅刹団と戦ってきました。しかし、最近になりまして、羅刹団の勢力が増してきました。よって、我々魂隊が、あなた方司隊を援護するために、設立されました。改めまして、今後ともよろしくお願いします。」
ナオト「はい。お世話になります。」
スバル「では、挨拶は以上です。それでは、我が魂隊の隊員たちをご紹介しましょう。こちらへどうぞ。」
ーーースバルに、魂隊のパイロットの元へ案内される。そこは、金色の仏像で囲まれた煌びやかな空間だった。そこで、ナオト達は、魂隊の6人のパイロットと対面した。
スバル「こちらが、魂隊のパイロットたちです。彼らは、優秀なパイロットであり、操縦術に長けています。これから、お世話になるところでしょう。では、どうぞ。」
魂隊の女性準副隊長、南無ノエが立ち上がる。
ノエ「どうぞよろしく。私は魂隊の準副隊長、南無ノエよ。昨日は準隊長のトキオが急に出てきて驚かれたかもしれないけれど。とりあえずそれは謝らせてもらうわ。」
ナオト「はい。」
ノエ「では、魂隊のパイロットたちを紹介するわ。まずは、魂隊準隊長、文殊トキオ。」
トキオ「文殊トキオだ。改めてよろしくな。」
ノエ「続いて、こちらが、普賢ツバキ。」
ツバキ「普賢ツバキです。よろしくね。」
ノエ「その次に、弥勒ミコ。」
ミコ「弥勒ミコです。よろしくお願いします。」
ノエ「続いて、勢至ヒカル。」
ヒカル「勢至ヒカルです。よろしくお願いします。」
ノエ「で、最後に。風神ウサ。」
ウサ「風神ウサよ。よろしくね。」
ノエ「…といった感じで、ざっと紹介させてもらったわ。何かあったら、彼らに頼ってね。」
タケル「(うひょ~ッ!やっぱ予想通りだ!綺麗な人おる!)」
ミコ「(お気の毒に。あの金髪のお方。私を見て惚れてますわ。おほほほ。)」
ヒカル「(それにしても、彼らの眼差しは、光のように美しいです。)」
ツバキ「(やっぱり、真ん中の仏ナオトくん、いいなぁ。いつか、一緒に戦いをする時が楽しみだ。)」
ウサ「(とりあえず、いつか戦う日が来るといいわ。)」
ノエ「じゃあ、とりあえず、よろしくね。これからは、私達があなた達を援護するわ。何か分からない事があったら、遠慮なく聞いてね。」
ナオト「はい!南無さん!これからお世話になります!今後、羅刹団の巨大妖怪群に立ち向かっていきましょう!」
握手を交わすノエとナオト。今後、羅刹団の新たなる勢力に立ち向かう際に、魂隊が援護につく事で合意した。
ーーーナオト達が、魂邸へ挨拶に行っているその時の事だった。神仏郷で、新たなる巨大妖怪群が出現していた。それは、緑色の泥のような身体に、異臭を放ち、辺りの木々や建物を腐敗させる特性を持つ巨大妖怪群ヘドロンであった。ヘドロンは、神仏郷を飲み込むように、辺りを覆い尽くしていく。
今回は、司隊本部でのナオト達の不在に伴い、臨時で、魂邸より魂隊保有の最新のアミーダを出撃させることになった。発射準備を急ぐ魂隊。
ノエ「おいでなすったわね。さあ、司隊を代表して、ナオトくん。来てちょうだい。」
ナオト「はい!南無さん!」
ノエ「どうやら、神仏郷に巨大妖怪群が出現したみたいね。本作戦のみ、私のアミーダで出撃するわ。来てちょうだい。」
カノン「仏くん!頑張ってね!」
そして、ナオトはノエとともに、彼女の専用機体である、アミーダ肆ノ型アミターバに向かう。アミターバを見て、圧倒されるナオト。
ナオト「すごい。これが、アミターバ。ピンク色なんですね。すごい女の子らしい気が…。」
ノエ「そう。これが私の機体よ。中でも驚くのが、その性能よ。これまで建立されたアミーダシリーズの中では、真のアミーダとも評されているわ。」
ナオト「すごいですね。僕らの機体は、試験型や、試作型を占めています。やっぱり、僕らの保有しているアミーダシリーズとは、大きく違うんですね。」
パイロットスーツに着替えるノエ。ナオトは、羽織のまま、アミターバに乗り込んだ。
カチャッ
ノエ「さあ、行くわよ。私のアミターバの性能、見せてあげるわ。」
ナオト「はい。」
ウイーーーン
職員たちが、アミターバの発射準備を開始する。魂邸の裏側の建物が折りたたまれ、そこから、アミターバが発射される。
ノエ「アミーダ、ARE、GO!!!」
ビューーーーーッ
ノエとナオトを乗せたアミターバが、魂邸を飛び立つ。そして、ヘドロンの蔓延る神仏郷へと向かった。
ーーーヘドロンと会敵するアミターバ。そして、戦闘を開始する。
ノエ「ほぅ。これが新たな巨大妖怪群ね。倒してやろうじゃないの。」
アミターバの周囲に、光る花々が出現する。そして、光をまといながら、ヘドロンに攻め込んでいく。
シュッ!
ヘドロンと交戦するアミターバ。その様子を、羅刹城では、厭魔と魔子が、水晶玉を通じて眺めていた。
厭魔「何だ…こいつは…。」
魔子「どうやら、最新鋭のアミーダのようですね。」
厭魔「くっ。嘆かわしい。何故目障りなアミーダが、増えていくのだ。」
魔子「それにパイロットは、あの阿弥陀如来の孫娘!そいつも目障りですわっ!ぷいっ!」
厭魔「そうだな。…ヤツめ、覚えておけよ。今は無理だが、必ずや新たな刺客を送り込んでやるからな。」
ーーー魂邸。ヘドロンとアミターバの戦闘状況を実況する魂隊職員。カノンとタケルも、スバルとともにその様子を見ていた。
魂隊職員1「現在、神仏郷にて巨大妖怪群ヘドロンとアミターバが交戦中!」
魂隊職員2「戦闘状況は順調!アミターバ、問題なし。」
それを見ていたスバルは言う。
スバル「ほう。彼女もやるではないか。流石、凄腕のパイロットだ。初戦ながらもすごい戦闘ぶりを見せるとは。」
ヘドロンと交戦するアミターバ。ヘドロンの攻撃を交わし交わし、攻め込んでいく。
シュッ!シュッ!シュッ!
ノエ「はっ!でやあっ!はあっ!」
ヘドロンも、触手を伸ばしたり、不特定に開いた口を開けながら、アミターバに攻めかかる。装備した武器を利用し、ヘドロンの身体を切り裂いていく。
ノエ「でやあっ!はあっ!はっ!…さて、お遊びはここまでにして…。奴の弱点は香りよ!次は私の番!」
すると、アミターバは武器をハート型の杖・花蓮阿弥陀杖に取り替えた。そして、花蓮阿弥陀杖から、花の香りで敵を幻惑させる技・「幻花」を放った。ヘドロンが苦手とする花の香りを放つ。それにより、ヘドロンの動きが衰弱していく。
ナオト「すごい。敵の力が弱まった。」
ノエ「さて。ここからが本番よ。必殺技、花の調べ!」
パパパパパパッ
特殊武装である、花の調べを放つアミターバ。ヘドロンの身体中に美しい色とりどりの花が咲く。咲いた花によって力を吸収され、ヘドロンはそのまま形状崩壊した。アミターバの勝利だ。
ノエ「はい。任務完了。」
ナオト「す、すごいです!僕らのアミーダとは全然違う機能がついてるんですね!感激しました!」
ノエ「そう。これが私たち魂隊のアミーダの性能。かなりの最新型よ。さあ、任務は終わったわ。帰るわよ。」
ーーー魂邸へ帰還したナオトとノエ。今後、ナオト達は魂隊と世話になる事を、改めて約束した。
ナオト「本日は、ありがとうございました。魂隊の皆さん。」
ノエ「ええ。こちらこそ。これからもよろしくね。ナオトくん達。」
ナオト「はい。喜んで。」
ノエ「仏くん。」
すると、ノエがナオトの元へ歩み寄ってくる。
ナオト「…?」
ノエ「ちゅっ♡」
なんと、ノエはナオトの頬にキスをした。驚くカノンとタケル。
カノン、タケル「うわあっ!?」
ノエ「今日はありがとう。これは、また会うためのおまじないよ。有り難く受け取ってね。」
ナオト「あ、ありがとうございます…。」
ノエ「じゃあ、改めて今日はありがとう!また会おうね!」
ナオト、カノン、タケル「ありがとうございました!さようなら!」
魂隊との挨拶を終えたナオトたち。これからは、魂隊とともに、羅刹団の新たな勢力に立ち向かう約束を交わした。そして、ナオトたちは、霊界列車で帰路についた。
ーーーサヤのマンションへ帰ってきたナオトとタケル。
サヤ「お帰りなさい。ナオト、タケル。魂隊の皆さんに挨拶してきた?」
タケル「ああ!いい感じだったよ!みんな人相は良さそうだった。」
サヤ「なら良かった。で、ナオト。頬のそれは何かしら?」
ナオトの頬のキスマークに食いつくサヤ。
ナオト「あっ…こ、これは…!」
サヤ「まあ言わずとも分かるわ。あんた、魂隊の準副隊長から、それをもらったのね。」
ナオト「ん…!」
ナオトの耳を引っ張るサヤ。
サヤ「そんであんたは何考えてんの!?ただ挨拶すればよかっただけなのに、キスまでもらうなんて!!!全くもう!!」
ナオト「いや、違うんだ!これは、あっちがまた会うためのおまじないって言って、僕に!」
タケル「あ~あ、言っちまったな。ナオト。」
こうして、ナオトとタケルは、サヤと共に、いつも通りの夜を過ごした。
ーーーその間、羅刹城では厭魔が新たな配下と思われる5人の鬼たちを集め、会議を行っていた。
厭魔「やはり、巨大妖怪群どもでは役に立たなかった。今回は、貴様らに出てもらおうぞ。赤神。青神。黄神。黒神。白神。貴様ら五大魔王の力を、神仏郷の雑魚どもに知らしめてやるのだ。」
五大魔王「御意。」
厭魔「では、これからは、貴様ら悪鬼族が、仏教世界の支配をするのだ。神仏郷へ急げ。ふふふふっ。」
不敵に笑う厭魔。彼は、新たなる刺客である五大魔王を使い、彼らを武器に、新たなる仏教世界侵略に乗り出すのであった。
ーーーつづく
次回予告
ナオト達は、魂隊の助太刀で、巨大妖怪群を全て倒した。それに対抗するために、厭魔は、新たな配下である五大魔王を神仏郷に送り込む。そして、ナオト達の新たな戦いが幕を開ける。
次回、「五大魔王降臨Ⅰ剛腕の黒神~花魂・南無ノエ~」
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