仏法戦記アミーダ

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第十五話「五大魔王降臨編Ⅱ策謀の白神〜山魂・文殊トキオ〜」

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羅刹城。前回の戦いで黒神が戦死し、五大魔王は残り4人となった。4人となった五大魔王は、円を囲いながら、会議している。

青神「黒神は戦死した。奴め、あんなに威勢よく戦う度胸があったのに、まさかあんな結果になるとはな。」

赤神「ああ。使えない奴だったな。最初は奴を追い詰めたのに、侮った阿弥陀如来の小娘の一撃を喰らい、敗れ去るとは。まさしく情けない。」

黄神「黒神の仇だ!次はワシにやらせるのだ!」

白神「いいや。僕の番だ。まずは、僕が神仏郷に出向き、呪術を用いて神仏郷の雑魚どもを僕の呪術より生み出した悪夢の中に閉じ込める。そうしていれば、仏ナオト達がやってくる。やってきた所を、僕がまとめて始末する。」

赤神「白神よ。作戦自体はよいのだが、黒神のように仏ナオトの仲間を侮ってはならんぞ。現にそのようにして、黒神は戦死したのだからな。」

白神「ああ。分かっている。僕に任せておくんだ。」

そして、白神は城から姿を消し、神仏郷へと向かった。


ーーー人間大の姿で神仏郷へ舞い降りる白神。そして、自身の懐から紫色のペンダントを取り出す。

白神「嘆かわしい奴らめ。今から悪夢の中に閉じ込めてやる。覚悟しておくんだぞ。ふふふふっ。」


不敵に笑う白神。自身の呪力を使い、神仏郷の住人達に催眠術をかけ、悪夢の世界に閉じ込めようとするのだった。


ーーーそして、魂邸。前回の任務を終え、帰還したノエに、トキオが語りかける。

トキオ「全く。情けない奴だな。別れが惜しくて泣きじゃくって帰ってくるなんて。それでもそなたは魂隊の準副隊長なのか?」

ノエ「う、うるさいわね。いい加減ほっといてよ。私だって気にしてるんだからね。」

トキオ「ましてやそなたは、下級組織である司隊のパイロットを前に泣く姿を見せているではないか。全く。情けないにも程があるわ。」

ノエ「別にそこまで言わなくたっていいじゃない。もう。で、成仏隊長が言っていたけれど、今日はトキオが出る番なのよ。ナオトくんたちには優しくしてあげてね。」

トキオ「言われるまでもない。」

ノエとトキオの関係は相変わらずちぐはぐだ。トキオは一人、スバルの元へ向かう。

スバル「文殊トキオ殿。よくぞ来た。」

トキオ「おはようございます。成仏隊長。」

スバル「今回は、ノエ殿に代わり、そなたが司隊本部へ赴き、仏ナオト殿の世話をするのだ。現在、そなたのアミーダを貨物船に搬入した。今日一日、頑張ってくれたまえ。」

トキオ「御意。」


そして、トキオは、自身のアミーダであるジャンペルを搭載した貨物船に乗り込み、司隊本部へと向かっていった。


ーーーその頃、ナオト達は神仏第一塾からの帰り道だった。その途中に、トキオとすれ違う。

ナオト「あっ。文殊さん。」

トキオ「そなた達か。塾からの帰りか?ちょうど良かった。俺の家に来い。話がある。」

カノン「はい。」

トキオは開口一番に、自身の家にナオト達を呼び、話を開くのであった。


木々の生い茂る山道を登っていくナオト達。

ナオト達は、トキオの一軒家に上がる。

トキオ「上がれ。」

ナオト、カノン、タケル「お邪魔します。」

トキオ「今お茶を出す。待ってろ。」


タケル「南無さんはサヤのマンションを借りてたけど。文殊さんは違うんだな。」

ナオト「ああ。文殊さんは出来れば一人がいいんだろう。ましてやあの方は一匹狼だから。」

トキオ「待たせた。さあ、ゆっくりと飲むんだ。」

ナオト達に、茶菓子を持ってくるトキオ。

ナオト「ありがとうございます。」

カノン「あの。今回文殊さんは、前回の南無さんに引き続き、私たちを援護するために、来たんですよね?」

トキオ「そうだ。それに、五大魔王が出現する前に現れたムゲン鬼との戦いにおいて、俺が教えた本当の強さを見せてもらうためだ。そなた達がどれだけ、強さを発揮するかを、見定めるためだ。」

ナオト「そうですか。でも、文殊さん。前回の戦いは、南無さんが単機で黒神を倒したんです。僕たちは、黒神の猛攻撃を受けて、倒れてしまい。実力が発揮出来なかったんです。すみません。稚拙な言葉で。」

トキオ「なるほどな。ノエが手をうってくれたのは幸いだったが、そなた達の強さが発揮されなかったのが、残念な点だ。見る限り、黒神は戦闘に長けた存在だからな。持ち前の戦闘力は、アミーダを上回っている。そなた達も、今後は、五大魔王の特性や弱点をはじめ、どのような戦法で攻め込み、勝ち抜くかが焦点となる。」

タケル「まあ、確かに黒神は倒しましたが、まだまだ五大魔王は残っていますね。他の五大魔王は一体どんな特性を持ちますか?」

トキオ「五大魔王は、かなり厄介な存在だからな。戦闘のみに長けている者もいれば、呪力に長けた者もいる。羅刹団は、極めて厄介な配下を送り込んだものだ。自身の羅刹団の名を知らしめ、仏界を支配するためにな。奴らにとっちゃ五大魔王の力を持ってすれば、仏界の支配などお手の物だからな。」

ナオト「五大魔王の詳細をありがとうございます。現に今、羅刹団は新たな五大魔王を送り込んでいますね。神仏郷に怪しい影が忍び寄っているように思えます。」

トキオ「その通りだ。ナオト。羅刹団が送り込んだ新たなる五大魔王。それは、白神大魔王だ。」

ナオト、カノン、タケル「白神大魔王…。」

トキオ「白神大魔王は、五大魔王の中における「魘夢」を司る存在だ。ちなみに、そなた達とノエが戦った黒神は「猟奇」を司る。奴は、特殊な呪力を用いて、相手を悪夢の中に閉じ込める。そして、精神を侵食し、しまいに宿主は消滅する。そういった奴だ。」

ナオト「呪力を持つ五大魔王。極めて厄介ですね。このままでは、神仏郷は悪夢に飲み込まれてしまう。」

トキオ「現に奴は今、神仏郷のどこかに潜伏している。探し出さねば。」


そう。トキオの話によれば、神仏郷には白神大魔王が潜伏し、暗躍しているとの情報が入ったのだ。白神大魔王は、呪力で姿を消し、ナオトの通っている神仏第一塾へと忍び込んだ。

白神「さて。まずはここからだ。この塾に通う雑魚どもを眠らせ、悪夢に閉じ込めれば、仏ナオトが飛んでくる。そして、現れたところを僕の呪力で眠りにつかせてやる。ふっふっふっふっ。」

姿を消し、ペンダントを取りながら、塾の構内へと入っていく白神。

ーーー塾の教室内では、生徒たちが休み時間に入っていた。

コウ「ナオト達、今日も早退だったね。そんなに忙しいのかな?」


レン「まあそうやろ。羅刹団がまた新たな動きをしているみたいやしの。ましてや、変な配下をまたうろつかせてるみたいやで。」

コウ「そうだね。とにかく、ナオト達を応援しようか。僕たちに出来る事は、それだけだ。」

レン「せやな。」


ーーーひたひたと塾へ入っていく白神。ペンダントを取り出し、生徒達に催眠術をかける。

白神「さあ。お眠りなさい。誘われるのは、悪夢…。」


呪力を用い、生徒たちに催眠術をかける白神。生徒達は、強烈な眠気に襲われ、そのまま倒れ込んだ。

男子生徒「な、何だ…。この眠気は…。」

女子生徒「わ、私も…。」

白神の催眠術にかかり、次々と倒れ込んでいく生徒達。そこへ、先生が駆けつけるも。

先生「え~。5時間目を…。おい!みんな!どうした!」

生徒一人一人を起こそうとする先生。しかし、先生の呼びかけに生徒は誰一人返事をしない。

白神「ふっ。馬鹿め。」

不敵に笑う白神。

先生「(相当深い眠り。そして夢の中に閉じ込められてる。私の霊力で…。)今、起こし…。」

白神のペンダントが光る。そして、先生も、催眠術にかかり、そのまま床に倒れ込んだ。

白神「さて、塾は終わりだ。次と行こうか。」

身を悟られぬよう、神仏第一塾の生徒達に催眠術をかけ、悪夢の中に閉じ込めた白神。引き続き、ナオトを誘き寄せるために、神仏郷の神々に、次々と催眠術をかけ、悪夢へ閉じ込めていくのであった。


教室内で眠る生徒たち。特に、レンとコウ、そしてサキも。彼らは暗闇の中にいた。

レン「(な、なんやここは。)」

コウ「(真っ暗で光もない。僕はどこに?)」

サキ「(早く、ここから、私を出して!!)」 


真っ暗な闇の世界に閉じ込められるレン達。すると、次の瞬間、赤い不気味な物体が、蠢き出し、それぞれの夢の中の人物に纏わりつく。

レン「(わあああっ!なんや!なんやぁ!!)」

コウ「(何だ!?この赤い物体は!!)」

サキ「(きゃああああああああっ!!!)」

レン、コウ、サキはそれぞれの夢の中で、赤い物体に侵食されていく。やがて、3人の体には痣が出来ていき、更にはその痣が口に変化し、自身の腕や脚などを喰らった。

白神の策に嵌り、レンやコウ、サキ、そして神仏第一塾の生徒たちは、同じような悪夢に閉じ込められたまま、身体を侵されていきーーー。


ーーーそして、白神は神仏郷の住人たち全員に催眠術をかけた。

白神「さあ、これで神仏郷の奴ら。全て悪夢に魘される。僕の呪力を、思い知りな。」

催眠術に掛けられる住人たち。そして、住人たちは、強烈な眠気とともに、町の通路に次々と倒れ込む。そして、白神の催眠術によって、侵食されていき、人々は悪夢の中へ閉じ込められた。


住人「(うわああああああ!!)」

住人「(ぎゃあああああああっ!!)」

住人「(うわあああああああっ!!)」

恐ろしい悪夢に閉じ込められた住人たち。住人たちは、それぞれ、身体を切り刻まれる、侵食される、身体を焼かれる、身体が爛れる、身体を串刺しにされる、などといった、恐ろしい悪夢の中へと閉じ込められた。こうして、白神の催眠術による悪夢の事件は、神仏郷の住人たちを、恐怖のどん底へ叩き落とした。


ーーー司隊本部。神仏郷内で起こった異変を、ハクシとユイが研究室内で突き止めていた。

ハクシ「なんてこった。神仏郷の住人たちが、催眠術によって悪夢の世界に閉じ込められる事件が起きている。」

ユイ「恐らく、羅刹団の五大魔王の仕業でしょう。…あっ。見てください!悪夢の痕跡が、徐々に広がっていきます!このままでは、神仏郷は、悪夢の中に。」

ハクシ「仕方がない。奥の手を使おう。霊力捜査で、奴の存在を炙り出すんだ。」

ピピピピピピッ。


ユイ「見つかりました!神仏郷第二地区に、五大魔王と思わしき存在が潜伏しています!間違いありません!白神大魔王です!」

ハクシ「こいつが、神仏郷の神々に催眠術をかけ、悪夢の中に閉じ込めている存在か!情報提供ご苦労だ。ユイ。漣隊長に報告するんだ!」

ユイ「はい!」

ついに、白神大魔王の存在を捉えた司隊本部。そして、ハクシとユイは、白神についての情報を、ゴウとサヤに報告する。

ハクシ「漣隊長。報告でございます。例の事件の黒幕と思われる存在の特定が完了しました。」

ユイ「羅刹団の五大魔王の一人である、白神大魔王であると特定。この事件の規模は、神仏郷全域に広がり、全ての交通機関、及びインフラにも影響が出ております。」

ゴウ「そうか。情報提供ありがとう。君たちの捜査のおかげで、すぐにその存在を特定することが出来た。」

ハクシ「何としても、奴は倒さなければならないでしょう。白神の催眠術にかけられ、悪夢に閉じ込められた者は、やがて身体を蝕まれ、やがて崩壊を辿り、最悪の場合、神仏郷の神々が全て消滅してしまうでしょう。」

サヤ「そうね。今まさに奴はナオト達を待ちわびている。あなた達は出撃準備に向けてアミーダの配備を急いで。」

ハクシ、ユイ「了解。」

サヤ「さて、いかがなさいますか?漣隊長。」

ゴウ「仕方がない。そろそろナオト達をここに呼ぶんだ。何より、事件の解決が一番だ。」


ーーー町の中。一人で佇む白神。

白神「さて。これで神仏郷の雑魚どもは僕の催眠術にかかった。悪夢から抜け出せる術はない。悪夢に魘され、消えるのみ。次は、仏ナオトだな。」

次に、白神は仏ナオトの抹殺を試みた。全身から白い煙を出し、上半身は人型のままだが、下半身は蛇の姿をした化け物のような姿に巨大化していく。


ーーー司隊本部。ナオト達がゴウの元へ招集される。そして、ゴウはナオト達に指示を出した。

ゴウ「さて。君たちの任務だ。知っての通りだが、羅刹団の五大魔王である、白神大魔王が、神仏郷全域の住人に催眠術をかけた。よって、住人たちは悪夢の中に閉じ込められ、更には精神を破壊されていっている。このままでは、神仏郷の神々は悪夢に魘され、全滅してしまう。そうなる前に、白神大魔王を倒してほしい。白神が消えれば、神仏郷の神々は悪夢から解放され、救われる。前回と同じように、文殊さんの指示に従って、戦ってくれたまえ。」

ナオト、カノン、タケル「はい。」

サヤ「では、文殊さん。ナオト達を頼みましたよ。」

トキオ「了解です。」

ゴウ「では、これより、アミーダ各機を配備する。パイロットスーツに着替え、待機してくれたまえ。」


ーーーナオト達は、パイロットスーツに着替える。トキオはいち早くパイロットスーツに着替え、ナオト達を待っていた。

トキオ「遅い!遅い遅い遅い!そなた達、着替えるのに何分かかっている!」

ナオト、タケル「(う、うわあ。すごい細かいな、この人。)」

トキオ「知っての通りだが、今まさに、白神による大事態が起き、神仏郷の住人たちが危機に晒されているのだからな。もたもたしていれば、手を打つ前に、神仏郷の住人たちは悪夢に魘されたまま消えてしまうぞ。いいのか?」

ナオト「すみません。文殊さん。」

トキオ「まあいい。そろそろ出撃するぞ。それに、そなた達。俺の教えた強さというものを、どれだけ発揮できるからを見てやるぞ。」

カノン「文殊さん!何としてでも白神大魔王を倒します!あなたの教えてくださった、強さというものを発揮し、頑張ります!」

タケル「俺たちは決して弱い存在ではありません!羅刹団の陰謀を打ち砕き、必ずや仏界を救う救世主となります!」

トキオ「そうか。なら、アミーダへ移ろうか。」


ーーー意思を団結させたナオト達は、アミーダに乗り込む。
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