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桃源郷:ボディガード3
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『ある意味闘技場かもしれません』
ボディチェックへのご協力、真にありがとうございました。念には念をと言いましても不快な思いをされた方もいるでしょう。ここからはオークションをお楽しみ下さい。さて、建物の中に入って驚かれたかもしれません。外観は趣ある白い石造りの劇場です。大きな薄汚れた柱も良いものでしょう?中に入っていただきますと、ロビーがあり別室として医務室、控室、化粧室等が用意してあります。お食事を希望の方には、食堂へご案内いたしますので近くにいるスタッフにお声かけ下さい。
時間になりましたら、防音対策のための二重のドアがございます。一つ目の扉を入ると、席が表示された案内板があります。そして、スタッフが待機しています。チケットに表示されたシートへ、係の者がご案内しますのでチケットをお見せ下さい。
二つ目の扉をくぐれば、あなた方が欲しいものを競り落とすための競技場所。コロッセウムの様相が広がっています。優雅に静かに競い合うお客様にはぴったりの雰囲気でしょう。中央が円形となっており、お客様が上から見ることができるよう客席が階段のようになっています。ですがここはオークション会場。殺し合いを見る場所ではございません。
赤いビロードのような色と、身を沈めればリラックスして寝てしまうこと間違いなしのシートは協会のスタッフが毎回、取替え、お客様のために提供しているものです。もちろんお飲み物と簡単な軽食もございます。注文は小さなモニターを通してお願い致します。
一人一台パネルがありますが、ここのオークションの商品が表示されます。このモニターにはいくつかスイッチがございますれば、オークション中に活用するため必ずマニュアルをお読み下さい。
「もともと、ここは闘技場だったらしいぞ」
赤いふかふかのシートの上に座ったリンは、隣でぼそりと呟くショウにぎょっとしました。リンの驚いた様子に、右隣りに座っていた通鷹が眉をひそめます。
「闘技場の前は、神々へ生贄を捧げる儀式の場でした。その前は巫女が神への奉納を行っていたようです。闘技場も最初は神へ捧げる剣舞や儀式に則った剣技を見せていたようですが、だんだん趣旨が変わってしまったようですね」
「ちょっと怖いね」
ぶるりと身を震わせるリンのそばで、ショウが左手首にはめた時計を確認して軽くうなづきました。ショウが座っているシートはリンの左隣。すぐに通路に出られる席です。リン達がいる場、は前過ぎず後ろ過ぎない真ん中の席。モニターを通さなくても商品を見られるだろうという位置でした。ショウが立ち上がり、通鷹の右隣に座っている高時に声をかけます。
「まだ時間があるようだから、会場内を確認してくる。時間までには戻ってくるから」
高時が右手を上げて分かったという合図をすると、リンに軽く頭を下げました。
「それじゃあ、すぐに戻るから」
「ショウさん、そんなに気を張らなくても良いのに」
「仕事だからな」
リンに向かってウィンクするとネクタイを締め直して、去って行きました。ボディガードとして会場内の雰囲気や万が一の非常口を確認するためです。何も起こらないとは思っても、ショウは己の今回の役割を最優先にすることにしました。
つづく
ボディチェックへのご協力、真にありがとうございました。念には念をと言いましても不快な思いをされた方もいるでしょう。ここからはオークションをお楽しみ下さい。さて、建物の中に入って驚かれたかもしれません。外観は趣ある白い石造りの劇場です。大きな薄汚れた柱も良いものでしょう?中に入っていただきますと、ロビーがあり別室として医務室、控室、化粧室等が用意してあります。お食事を希望の方には、食堂へご案内いたしますので近くにいるスタッフにお声かけ下さい。
時間になりましたら、防音対策のための二重のドアがございます。一つ目の扉を入ると、席が表示された案内板があります。そして、スタッフが待機しています。チケットに表示されたシートへ、係の者がご案内しますのでチケットをお見せ下さい。
二つ目の扉をくぐれば、あなた方が欲しいものを競り落とすための競技場所。コロッセウムの様相が広がっています。優雅に静かに競い合うお客様にはぴったりの雰囲気でしょう。中央が円形となっており、お客様が上から見ることができるよう客席が階段のようになっています。ですがここはオークション会場。殺し合いを見る場所ではございません。
赤いビロードのような色と、身を沈めればリラックスして寝てしまうこと間違いなしのシートは協会のスタッフが毎回、取替え、お客様のために提供しているものです。もちろんお飲み物と簡単な軽食もございます。注文は小さなモニターを通してお願い致します。
一人一台パネルがありますが、ここのオークションの商品が表示されます。このモニターにはいくつかスイッチがございますれば、オークション中に活用するため必ずマニュアルをお読み下さい。
「もともと、ここは闘技場だったらしいぞ」
赤いふかふかのシートの上に座ったリンは、隣でぼそりと呟くショウにぎょっとしました。リンの驚いた様子に、右隣りに座っていた通鷹が眉をひそめます。
「闘技場の前は、神々へ生贄を捧げる儀式の場でした。その前は巫女が神への奉納を行っていたようです。闘技場も最初は神へ捧げる剣舞や儀式に則った剣技を見せていたようですが、だんだん趣旨が変わってしまったようですね」
「ちょっと怖いね」
ぶるりと身を震わせるリンのそばで、ショウが左手首にはめた時計を確認して軽くうなづきました。ショウが座っているシートはリンの左隣。すぐに通路に出られる席です。リン達がいる場、は前過ぎず後ろ過ぎない真ん中の席。モニターを通さなくても商品を見られるだろうという位置でした。ショウが立ち上がり、通鷹の右隣に座っている高時に声をかけます。
「まだ時間があるようだから、会場内を確認してくる。時間までには戻ってくるから」
高時が右手を上げて分かったという合図をすると、リンに軽く頭を下げました。
「それじゃあ、すぐに戻るから」
「ショウさん、そんなに気を張らなくても良いのに」
「仕事だからな」
リンに向かってウィンクするとネクタイを締め直して、去って行きました。ボディガードとして会場内の雰囲気や万が一の非常口を確認するためです。何も起こらないとは思っても、ショウは己の今回の役割を最優先にすることにしました。
つづく
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