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桃源郷:ボディガード5
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泥棒はお断りです』
オークション会場内での決まりはみなさん、おわかりですね?欲しいものは、それぞれの財力でもって手に入れましょう。当協会では一切の不正を禁じます、さらに武力・脅しによる強奪もお断りしています。もちろん、掏り・泥棒の類もご遠慮願います。万が一盗難に遭われた方は、モニターの緊急ボタンを押すか、身近にいるスタッフにお声かけ下さい。当協会のポリシーに反するお客様には、速やかに退場していただき、しかるべき場所へご移動お願い頂きます。そして、お客様の手に必ずやお返しいたしますのでご安心下さい。なお、会場から出た後のトラブルに関しては、当協会は一切関与いたしません。盗難届を出されても、対応致しかねます。
水柱がなくなった後に現れたのは、白い貝殻。宙に浮いてはいても、あまりに小さいのでみんな手元にあるモニターか、中央に映し出されている大画面モニターを食い入るように眺めます。会場のざわめきが落ち着いてから、初老の男がろうろうと語り始めます。
「本来であれば、今回の目玉として後半にご紹介したい品物です。なぜ最初にご紹介するのか、理由をご説明いたしましょう」
貝殻がぱかりと開き、大粒の黒い真珠玉が姿を現します。明るい声があがるのは、この真珠を目当てにやって来た者の声かもしれません。
「こちらはブラックパール、深海の姫君も欲しがったという美しさ。そんな品物がなぜこここにあるのか、なぜ最初にご紹介するのか、こちらのブラックパールを出品するにあたり、持ち主が我々にこう申しました」
「これは、ある泥棒に盗られるだろうけど、それでも良いかと」
どよめきく会場に、男はにやりと笑います。
「もちろん、我々はこう答えました。泥棒に盗られることなどあり得ません。我々のセキュリティは万全ですと」
ブラックパールの持ち主は、最近、でてきた真珠産業の女社長。以前にお世話になった泥棒に、お礼にこのブラックパールを渡そうと考えました。ですが、そこはやり手の女社長。ただ渡すのでは面白くないし、泥棒の方も張り合いがないでしょう。だから泥棒と賭けをしようと思いました。
「当協会のオークションに出品したブラックパール、当協会から盗み出してみろという女社長からの挑戦状です」
オークション会場の外で盗み出すのは禁止、人の手に渡ってしまえば手出し禁止、もちろん一般客として混ざり競り落としても良い。全ては泥棒の御心のままにというアイディアに、スタッフの中には渋い顔をしたものがいたものの、上の人間が盛り上がるだろうと言う理由で採用しました。
「盗み出されてしまえば、このブラックパールの輝きをみなさんにお見せすることは叶いません。ゆえに最初にご紹介させていただきました」
シルクハットを右手に深々と頭を下げます。今までにもこういったことがあったのか、不慣れな客には動揺が走ったものの常連となっている客は笑い出します。
「もう盗まれてるんじゃないだろうな!」
揶揄する声なのか、心配する声なのか、会場内で響きました。シルクハットを頭にのせて、にっこり笑います。
「とんでもございません。当協会のオークション会場で、盗みは一切禁じておりますので」
それから真珠が本物であることを示すデモンストレーションが行われ、一気に値がつり上がり、赤い巻き毛の少女がとんでもない金額を提示して落札しました。それからも商品が紹介され、それぞれ落札されていきます。会場は熱気に包まれたまま、前半の部が終了しました。
つづく
オークション会場内での決まりはみなさん、おわかりですね?欲しいものは、それぞれの財力でもって手に入れましょう。当協会では一切の不正を禁じます、さらに武力・脅しによる強奪もお断りしています。もちろん、掏り・泥棒の類もご遠慮願います。万が一盗難に遭われた方は、モニターの緊急ボタンを押すか、身近にいるスタッフにお声かけ下さい。当協会のポリシーに反するお客様には、速やかに退場していただき、しかるべき場所へご移動お願い頂きます。そして、お客様の手に必ずやお返しいたしますのでご安心下さい。なお、会場から出た後のトラブルに関しては、当協会は一切関与いたしません。盗難届を出されても、対応致しかねます。
水柱がなくなった後に現れたのは、白い貝殻。宙に浮いてはいても、あまりに小さいのでみんな手元にあるモニターか、中央に映し出されている大画面モニターを食い入るように眺めます。会場のざわめきが落ち着いてから、初老の男がろうろうと語り始めます。
「本来であれば、今回の目玉として後半にご紹介したい品物です。なぜ最初にご紹介するのか、理由をご説明いたしましょう」
貝殻がぱかりと開き、大粒の黒い真珠玉が姿を現します。明るい声があがるのは、この真珠を目当てにやって来た者の声かもしれません。
「こちらはブラックパール、深海の姫君も欲しがったという美しさ。そんな品物がなぜこここにあるのか、なぜ最初にご紹介するのか、こちらのブラックパールを出品するにあたり、持ち主が我々にこう申しました」
「これは、ある泥棒に盗られるだろうけど、それでも良いかと」
どよめきく会場に、男はにやりと笑います。
「もちろん、我々はこう答えました。泥棒に盗られることなどあり得ません。我々のセキュリティは万全ですと」
ブラックパールの持ち主は、最近、でてきた真珠産業の女社長。以前にお世話になった泥棒に、お礼にこのブラックパールを渡そうと考えました。ですが、そこはやり手の女社長。ただ渡すのでは面白くないし、泥棒の方も張り合いがないでしょう。だから泥棒と賭けをしようと思いました。
「当協会のオークションに出品したブラックパール、当協会から盗み出してみろという女社長からの挑戦状です」
オークション会場の外で盗み出すのは禁止、人の手に渡ってしまえば手出し禁止、もちろん一般客として混ざり競り落としても良い。全ては泥棒の御心のままにというアイディアに、スタッフの中には渋い顔をしたものがいたものの、上の人間が盛り上がるだろうと言う理由で採用しました。
「盗み出されてしまえば、このブラックパールの輝きをみなさんにお見せすることは叶いません。ゆえに最初にご紹介させていただきました」
シルクハットを右手に深々と頭を下げます。今までにもこういったことがあったのか、不慣れな客には動揺が走ったものの常連となっている客は笑い出します。
「もう盗まれてるんじゃないだろうな!」
揶揄する声なのか、心配する声なのか、会場内で響きました。シルクハットを頭にのせて、にっこり笑います。
「とんでもございません。当協会のオークション会場で、盗みは一切禁じておりますので」
それから真珠が本物であることを示すデモンストレーションが行われ、一気に値がつり上がり、赤い巻き毛の少女がとんでもない金額を提示して落札しました。それからも商品が紹介され、それぞれ落札されていきます。会場は熱気に包まれたまま、前半の部が終了しました。
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