はじまり

天鳥そら

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はじまり53

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~幼子~


迷路のように曲がりくねる地下通路を通り、あと少しで 
シキの待つ出口へと近づいた時、ソウが表情を固くしました。 

「道が途切れてる」 

海に出るはずの場所が壁となり、行き止まりに突き当たってしまったのです。 
急いで地図を取り出しますが、道を間違えたわけではありませんでした。 

「土砂かなんかで、埋まってしまったのでしょうか」 

ヨウメイの言葉に首を振ります。土砂ではなく、侵入者を防ぐかのような 
どっしりとした壁でした。 

「なにか仕掛けがあるはずです」 

明かりを壁に近づけて、壁を調べます。 
不思議な文様が壁一面に、描かれていて、それがどういったものかも 
わかりません。 
試しに壁を叩きながら、くぼみをひっかいてみましたが 
開く気配はありませんでした。 
緊張感が張り詰めて、焦りで息が苦しくなった時、 
小さな声がしました。 

「お兄ちゃんたち、誰?」 

声のした方を振り返り、明かりをかざします。 
ランプのオレンジの炎で、浮かび上がった人物は、 
とても幼い小汚い乞食でした。 

眩しそうに瞬いて、のそのそとどこからか這い出てきます。 

突然現れた幼子に驚いて、誰も口を開くことはできませんでした。 


つづく
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