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【初級者 編】
繰り返す日々
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◇
翌日の朝――――
米子は朝食を終えリーザの店を出た。
とりあえず街はずれのフィールドを目指すため、先ずは装備品やアイテムの確認、及び準備を行う。
リーザが現実世界でどのような暮らしをし、どのような人物なのかは今のところ不明だが、少なくとも朝から”夕方”まではこの世界にいることが分かった。
そのリーザが店にいる時間帯は近場のフィールドへ赴き、経験値稼ぎができる。
そう思った米子は、リーザに事を告げ店を出た。
米子の経験値はリセットされたが、プレイヤー時に所持していたアイテムや装備品は消滅されずに残っており、貧困ながらも戦闘を可能とする。
装備品及びアイテムは、プレイヤーとしてのシステムとは関係のない物だから、消滅されていないのだと考えられる。
通常のゲーム世界で良く耳にする『アイテムストレージ』など、持ち歩けないほど多くの所持品を保存できる、都合のよいシステムやバッグなどはなく、持ち歩ける量しか持つことが出来ない。これは現実世界と同じ感覚で、リュックサックやバッグなどが無ければ、両手で荷物を持つしか方法はない。……加えるが、衣服のポケットに剣は入らない、というより危ないだろう。
単独の戦闘において武器は必須であり、両手で武器以外の荷物を持つのは危険だ。だからこそ、何かしらの荷物入れを持たなければ身を亡ぼすこととなろう。
所持品が消えずに残っていた米子にも、もちろんバッグはリュックサックなどを所持しているが、実用的とは言えず”見た目”重視だ。「だってJKだもん」が言い訳。きっと後一年もしたら「だってJDだもん」と、いうに違いない。
そしてバックやリュックを所持している、とはいえ全てを持ち歩けるわけではないのだから、貸し倉庫のような場所に所持品を預けておかなければならない。ある程度経験値に余裕のある者たちは土地や建物をもっていたり、又はリーザのような店を構える者は、所持品をそこで保管しているようだ。
肝心な米子には自身の所持する土地や建物がなく、居候である。
それでもリーザから「部屋を自由に使っていい」と言われいることから、貸し倉庫に預けておいた所持品を今後移動する予定となっているようだ。
『ストレージ』と呼ばれる貸し倉庫は、この世界における公共施設であり、その全てを住み人のみで経営している。使用するために支払う経験値は少なめで、とにかく安くて安全。
これはゲーム初心者でも、ストレージが使えるようにとの配慮からだろう。
米子が所持品をすぐにでも移動しないのは、使用料が少ないからとも言えるが、面倒くさいから移動しないのかもしれない。
本日の予定は街はずれへ赴き戦闘を行う。
今の米子にはそれしか頭になく、まさに戦闘狂――――
(――よし、準備完了)
米子が、ストレージから引き出した所持品は全部で五つ。
⬛️ 可愛いショルダーバッグ(自称)
⬛️ 光攻撃魔法の魔道書(弱め)
⬛️ 補助アイテム五つ(適当)
⬛️ 短剣(軽量)
⬛️ 飴ちゃん(持てるだけ)
これ以外にローブや回復魔法の魔道書など、もともと装備していた物は変わらず、所持したままの状態となっている。
準備を終え、街はずれのフィールドへ向かう。
始まりの街から数キロ先は草原が広がっている。
数キロ先を目視しても全てが見渡せるはずもなく、敢えて表現するならば『見渡す限りの草原地帯』と言えば良いか、視界を遮るものは少なく、吹き抜ける風が心地よい。
街の出入り口から街道が通っており、街道ではモンスターが姿を見せることは多くない。その弱者たる米子でも街道付近は、無理をしなければ安全である。
その街道から数百メートルも離れればモンスターもいるため、初めは最弱と言われるスライム系や、野生動物を相手に経験値を稼ぐ。
危なくなったら街へ戻るか街道付近まで逃げ、回復したらまた野生動物とぺちぺち戦闘――そう、子供同士が手をフル回転して喧嘩する感じ。
気が遠くなる作業だが、米子はこの方法が最も効率的と考えた。
(あーあ、疲れたな……それに擦り傷だけでも超痛いし、NPCって理不尽だなあ。――でも頑張らなきゃ!)
心身ともに疲れ果て、擦り傷程度でも激痛が走る――まさに命懸け。
――――――
戦闘での、傷の痛みに耐えながら苦戦すること五日後――――
一体のモンスターを倒す時間は多少減ってきたように思えるが、まだまだ苦戦中というところ。全く以て強くなった気がしない。
(はあっ、はあっ。……これじゃダメだ! ウサギさん程度で苦戦してたら、いつになっても回復アイテムのお世話になりっぱなしだよお!)
米子が脳裏で言う『ウサギさん』とは『アンゴラ』と呼ばれる野生動物だ。その容姿は何処からどう見ても『アンゴラウサギ』なのだが、見た目はソックリでも体長は米子ほどあり獰猛である。因みにモンスターではないが多少の経験値を稼ぐことが可能だ。
ここ五日で分かったことは、米子の魔力が低いため回復魔法も効果が薄いということ。命を失うわけにはいかない米子としては、常備品として回復アイテムを必要以上持ち歩くよう心掛ける。
――――――
更に一〇日後――――
成長した実感はないが、確実に一体に費やす戦闘時間が減ってきている。始まりの街を目視できる範囲ならば、苦戦することもなくなってきた。
(――攻撃魔法は、まだまだ弱いけど……短剣の扱いには慣れてきたかも? 怪我も少なくなってきたし、明日からはもっと街から離れてみよっかな?)
短剣程度で倒せるモンスターには限りがあり、今の米子では危険と言えよう。
そこで米子はモンスターを避け、野生動物をメインに狩り続ける。
限りがある、とはいえ短剣の優遇された職業を取得していれば、始まりの街周辺のモンスターなどあくびの出る間に撃退してしまう。
始まりの街周辺の野生動物から得られる経験値は少量で、撃退すること事態に期待感を抱くことはできないが、その肉を持ち帰り食材として売れば、経験値を手に入れることも可能であり無駄な戦闘とは言い難い。弱者たる米子としては、これが一番経験値を稼げるのだ。
――――――
そして、米子が戦闘を始めて約一カ月後――
着々と成長し、始まりの街から数キロ先まで行っても心に余裕が出来てきた。最近では経験値の少ない野生動物を避け、モンスターとのみ戦闘するよう心掛けており、使用する回復アイテムも減ってきたように思える。
野生動物から得られる経験値と売却分の経験値を足したとしても、モンスターで得られる経験値のほうが遙かに多く、戦闘を行うならモンスターにしたほうが効率的と言える。それは如何に早く倒せるかによるのだが……野生動物保護団体様に、お叱りを受ける前に虐待は避けるべき。
(相手がスライムやバットなら安泰かな? 女子力? ってやつだけ凄い勢いで上がってきてるけど、全く強くなった気がしないのだけれど……意味あるのかな? コレ)
今の米子に、女子力とはいったいどんな秘密があるのかは分かりかねないが、無駄に数値が高いことに関しては気がかり。
JKのステータスはヒューマンがベースとなっていることから、基本的にステータスの数値が“ほぼ”一直線の状態。それに対し、女子力だけが数倍高いのだ――、にも関わらず、特殊な力を感じることはなく未だ謎なのである。
(もうこんな時間か。そろそろ帰らないと……今日は、このくらいで止めとこ)
リーザのログアウトする時間は、陽の落ちる頃と聞かされている。夕暮れ時の空を見上げ、急ぎ足で始まりの街への帰路につく。
翌日の朝――――
米子は朝食を終えリーザの店を出た。
とりあえず街はずれのフィールドを目指すため、先ずは装備品やアイテムの確認、及び準備を行う。
リーザが現実世界でどのような暮らしをし、どのような人物なのかは今のところ不明だが、少なくとも朝から”夕方”まではこの世界にいることが分かった。
そのリーザが店にいる時間帯は近場のフィールドへ赴き、経験値稼ぎができる。
そう思った米子は、リーザに事を告げ店を出た。
米子の経験値はリセットされたが、プレイヤー時に所持していたアイテムや装備品は消滅されずに残っており、貧困ながらも戦闘を可能とする。
装備品及びアイテムは、プレイヤーとしてのシステムとは関係のない物だから、消滅されていないのだと考えられる。
通常のゲーム世界で良く耳にする『アイテムストレージ』など、持ち歩けないほど多くの所持品を保存できる、都合のよいシステムやバッグなどはなく、持ち歩ける量しか持つことが出来ない。これは現実世界と同じ感覚で、リュックサックやバッグなどが無ければ、両手で荷物を持つしか方法はない。……加えるが、衣服のポケットに剣は入らない、というより危ないだろう。
単独の戦闘において武器は必須であり、両手で武器以外の荷物を持つのは危険だ。だからこそ、何かしらの荷物入れを持たなければ身を亡ぼすこととなろう。
所持品が消えずに残っていた米子にも、もちろんバッグはリュックサックなどを所持しているが、実用的とは言えず”見た目”重視だ。「だってJKだもん」が言い訳。きっと後一年もしたら「だってJDだもん」と、いうに違いない。
そしてバックやリュックを所持している、とはいえ全てを持ち歩けるわけではないのだから、貸し倉庫のような場所に所持品を預けておかなければならない。ある程度経験値に余裕のある者たちは土地や建物をもっていたり、又はリーザのような店を構える者は、所持品をそこで保管しているようだ。
肝心な米子には自身の所持する土地や建物がなく、居候である。
それでもリーザから「部屋を自由に使っていい」と言われいることから、貸し倉庫に預けておいた所持品を今後移動する予定となっているようだ。
『ストレージ』と呼ばれる貸し倉庫は、この世界における公共施設であり、その全てを住み人のみで経営している。使用するために支払う経験値は少なめで、とにかく安くて安全。
これはゲーム初心者でも、ストレージが使えるようにとの配慮からだろう。
米子が所持品をすぐにでも移動しないのは、使用料が少ないからとも言えるが、面倒くさいから移動しないのかもしれない。
本日の予定は街はずれへ赴き戦闘を行う。
今の米子にはそれしか頭になく、まさに戦闘狂――――
(――よし、準備完了)
米子が、ストレージから引き出した所持品は全部で五つ。
⬛️ 可愛いショルダーバッグ(自称)
⬛️ 光攻撃魔法の魔道書(弱め)
⬛️ 補助アイテム五つ(適当)
⬛️ 短剣(軽量)
⬛️ 飴ちゃん(持てるだけ)
これ以外にローブや回復魔法の魔道書など、もともと装備していた物は変わらず、所持したままの状態となっている。
準備を終え、街はずれのフィールドへ向かう。
始まりの街から数キロ先は草原が広がっている。
数キロ先を目視しても全てが見渡せるはずもなく、敢えて表現するならば『見渡す限りの草原地帯』と言えば良いか、視界を遮るものは少なく、吹き抜ける風が心地よい。
街の出入り口から街道が通っており、街道ではモンスターが姿を見せることは多くない。その弱者たる米子でも街道付近は、無理をしなければ安全である。
その街道から数百メートルも離れればモンスターもいるため、初めは最弱と言われるスライム系や、野生動物を相手に経験値を稼ぐ。
危なくなったら街へ戻るか街道付近まで逃げ、回復したらまた野生動物とぺちぺち戦闘――そう、子供同士が手をフル回転して喧嘩する感じ。
気が遠くなる作業だが、米子はこの方法が最も効率的と考えた。
(あーあ、疲れたな……それに擦り傷だけでも超痛いし、NPCって理不尽だなあ。――でも頑張らなきゃ!)
心身ともに疲れ果て、擦り傷程度でも激痛が走る――まさに命懸け。
――――――
戦闘での、傷の痛みに耐えながら苦戦すること五日後――――
一体のモンスターを倒す時間は多少減ってきたように思えるが、まだまだ苦戦中というところ。全く以て強くなった気がしない。
(はあっ、はあっ。……これじゃダメだ! ウサギさん程度で苦戦してたら、いつになっても回復アイテムのお世話になりっぱなしだよお!)
米子が脳裏で言う『ウサギさん』とは『アンゴラ』と呼ばれる野生動物だ。その容姿は何処からどう見ても『アンゴラウサギ』なのだが、見た目はソックリでも体長は米子ほどあり獰猛である。因みにモンスターではないが多少の経験値を稼ぐことが可能だ。
ここ五日で分かったことは、米子の魔力が低いため回復魔法も効果が薄いということ。命を失うわけにはいかない米子としては、常備品として回復アイテムを必要以上持ち歩くよう心掛ける。
――――――
更に一〇日後――――
成長した実感はないが、確実に一体に費やす戦闘時間が減ってきている。始まりの街を目視できる範囲ならば、苦戦することもなくなってきた。
(――攻撃魔法は、まだまだ弱いけど……短剣の扱いには慣れてきたかも? 怪我も少なくなってきたし、明日からはもっと街から離れてみよっかな?)
短剣程度で倒せるモンスターには限りがあり、今の米子では危険と言えよう。
そこで米子はモンスターを避け、野生動物をメインに狩り続ける。
限りがある、とはいえ短剣の優遇された職業を取得していれば、始まりの街周辺のモンスターなどあくびの出る間に撃退してしまう。
始まりの街周辺の野生動物から得られる経験値は少量で、撃退すること事態に期待感を抱くことはできないが、その肉を持ち帰り食材として売れば、経験値を手に入れることも可能であり無駄な戦闘とは言い難い。弱者たる米子としては、これが一番経験値を稼げるのだ。
――――――
そして、米子が戦闘を始めて約一カ月後――
着々と成長し、始まりの街から数キロ先まで行っても心に余裕が出来てきた。最近では経験値の少ない野生動物を避け、モンスターとのみ戦闘するよう心掛けており、使用する回復アイテムも減ってきたように思える。
野生動物から得られる経験値と売却分の経験値を足したとしても、モンスターで得られる経験値のほうが遙かに多く、戦闘を行うならモンスターにしたほうが効率的と言える。それは如何に早く倒せるかによるのだが……野生動物保護団体様に、お叱りを受ける前に虐待は避けるべき。
(相手がスライムやバットなら安泰かな? 女子力? ってやつだけ凄い勢いで上がってきてるけど、全く強くなった気がしないのだけれど……意味あるのかな? コレ)
今の米子に、女子力とはいったいどんな秘密があるのかは分かりかねないが、無駄に数値が高いことに関しては気がかり。
JKのステータスはヒューマンがベースとなっていることから、基本的にステータスの数値が“ほぼ”一直線の状態。それに対し、女子力だけが数倍高いのだ――、にも関わらず、特殊な力を感じることはなく未だ謎なのである。
(もうこんな時間か。そろそろ帰らないと……今日は、このくらいで止めとこ)
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