転生したし死にたくないし

第1章 準備は万端に

次なる一手を

こっそりやっていた、魔法の練習は見つかってしまったけれどそれ以外は、いつも通り財政に関しての勉強をしたり、資料を読んで手を打てるものを確認したりして過ごしていた。
そんな中、気になったものがあった。
｢財政が傾いたそもそもの始まりは、貧民街から。とは、どういう意味かしら？｣
何度読み返しても、その文言だけで具体的には書いていないのである。
少しのイカサマとはこういうことでもあるのだろう。
考えていても仕方ないので、直接見に行ってみよう。
もちろん、専門家であるウィリアムに相談してから。

｢ティアラ様、正気ですか？｣
善は急げと思い、すぐさま相談した結果がこの一言である。
わたくし、挫けそうだわ。
｢あら、失礼ね。本にお金の流れを知るには、貧民街をよく知るべきなんて書いてあったから、専門のウィリアムと一緒に見に行けば何か掴めると思ったのに｣
でも、頑張らないと処刑まっしぐらである。
｢どんな本を読んだら、そんなこと書いてあるんですか｣
｢いいから行くわよ？ 来ないなら1人でも見てくるわ｣
｢なっ、お待ちください、行かないとは言ってませんよ、護衛もなしに向かうのは危険ですから1人で行くのは、おやめください。準備してまいりますので｣
何だかんだで、付き合ってくれるつもりだったようである。
どうしてかは、分からないけれどウィリアムはわたくしに対して本当に優しいのである。
わがまま姫にうんざりしていると思っていたので意外である。
いやいやで、従う人の感じがしないのよね。
｢お待たせしました。それでは行きましょうか｣
｢ええ、隅々まで見て回りましょ？｣
何が貧民街に待っているのか、しっかりと見定めに。