転生したし死にたくないし

第1章 準備は万端に

継続すれば力なり

学院には、校則と呼ばれるルールがある。
それほど厳しくはなく、2つだけである。
原則、魔法の使用の禁止。
学院内では、身分に関係なく皆対等である。
この2つ。
つまり、わたくしは学院内でも魔法の練習は隠れてやらなくてはならない。
バレないように練習を続ける方法を通い始める前に身につけないといけない。

｢ティアラ様、もうすぐウィリアム様がいらっしゃる時間ですよ｣
｢あら、もうそんな時間なのね｣
魔法で片付ける。
細やかな操作はかなり練習になる。
その後は部屋を起点に広範囲に五感に直結する探知の魔法を発動させる。
長時間魔法を発動し続ける練習である。
ついでに平行して何かをするということも出来るので一石二鳥である。
難点があるとすれば、非常に疲れることだろうか。
しかし、それも何度もやり続ければ慣れてくるだろう。
剣を振るのと同じだ。
要領をつかんで慣れてくれば、疲れなくなってくる。
そして何より、この魔法は誰にも気づかれない。
練習にはなるけど、誰にも気づかれない。
なんて素晴らしいのかしら。
かれこれ、一月練習し続けてるけれど1度も気づかれたことないわ。
そういえばこの魔法って、五感に直結するんだからウィリアムの味とか分かるのかしら？

結論、もう二度としない。

｢どうされました、やけに渋い顔をしておりますが｣
｢美味しくは、ないわね｣
｢何の話ですか｣

思い切り怪しまれたりもしたけれど、なんとか誤魔化していつも通り、私の疑問に答えてもらっていた。
ウィリアムは財政のことに関する事以外にも知識があるので、いろんな質問に答えてくれる。
お陰様でわたくしもたくさんの知識を得ることが出来たと思う。
活かすことができるかは、わたくし次第ですけれど。

ウィリアムが戻った後は、探知以外にもバレない魔法の練習を考えながら、剣を振るために修練場に向かった。
最初のうちは、騎士の人達もまさか本当に来るとは、といった感じだったが、今では手合わせもしてもらっている。
さすがに本気の打ち合いとは、程遠いレベルの軽いものだけど。

｢アリア、少し相手してくれるかしら？｣
｢構いませんよ、いざ！｣

なんてこともしながら、わたくしは学院に通い始めるまでの間、ひたすらに自分を磨き続けた。
アリアも私に付き合わされてとはいえ、ずっと一緒に頑張ってくれた。
明日からはついに、学院に通うことになる。
学院では、資料にあった人達とも出会うことになる。
やるべき事は沢山ある。
資料によれば、反乱の芽はここで育っていたようである。
まずは、それを摘み取らないといけない。
不安はあれど、それ以上に楽しみでもある。

｢さあ、明日に備えましょうか、全ては学院についてからですわ！｣