転生したし死にたくないし

雪蟻

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番外(単発)

もしも違っていたなら

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「ノーマンに聞きたかったことがあるのだけど」
魔法の勉強をしていた時に、どうしても腑に落ちないことがあったのだ。
「なんでしょうか」
「まず、この剣になんの仕掛けもないことを確認してくれるかしら」
言われるがまましっかりと確認するノーマンを見つつ、いつも疑問に思っていたことを聞くことにする。
もし、わたくしの予想通りならこの国は今とても危険な状態にあるのだから。
「特に変わったところはありませんね」
「では、そのまま持っていてちょうだいね、動いちゃダメよ」
「かしこまりました」
そして、魔法を放つ。
「クラッシュ」
わたくしの魔法は、寸分狂いなく剣だけを粉々にした。
「ねぇ、ノーマン。魔法にはこれほどの威力があるのだけれど、どうして魔法に関しての防御訓練を行わないのかしら?」
この一言で、我がユース帝国は秘密裏に魔法に関する対策を進めた。
事の重大さに父を含め国中の重鎮たちが気付いたからだ。
そう、我が国は今、どの国からも簡単に侵略されるほど、弱い国になっていたのだから。

それから、4年の月日が経った。
たくさんの事があった。
最初はメイドとしてわたくしに付いていたアリアも今では、立派な兵士の1人だ。
そして、わたくしは12歳ではあるがこの国の軍事における最高指揮官として、動いている。
誰よりも早く、この国の異常に気づき、強国ユース帝国の名を確固としたものにしたからだ。

「ティアラ様、魔導騎士を名乗る者共が、攻めてきているようです。兵としての練度は大したことありませんが、装備しているものが我が国をはるかに凌ぐ性能であるとのことです」
装備が強いだけの、烏合の衆であるということだろう。
「では、少々相手を図に乗らせなさい、調子付けば容易く殺せるようになるわ。自分たちの装備ならばこちらの魔法は効きもしないと思わせるのよ」
少しずつ撤退させながら引き付ければ勘違いすることだろう。
練度が足りない力に溺れた兵など取るに足らない。
油断はできないけれど、我が国に敵に対して油断をするような愚か者はいない。
たった4年前まで、愚かな国だったのだ。
もう、油断しない。
それは、これほどまでに危険な状態になると、国中が痛感したのだから。
これより先、我が国は今1度強国として、そして良き隣人以外に容赦の無い国として、名を轟かせるのだ。
まずはその1歩。
いかなる手段によるものか知らないが、装備が充実している程度で、大国を侵略していく勘違い集団に、現実を教えなくてはならない。
「わたくしも、前に出ましょう。魔法の練度こそが、戦況を覆す驚異であると今1度教えてあげませんと」
いつか、わたくしも命を落とす時が来るだろう。
しかし、未来はこれほどまでに変貌した。
わたくしが足掻き続ける限り、未来はいつまでも変わり続けることだろう。
願わくば、いつか平穏な日々が訪れることを祈る。
ただ、今は、その時ではない。
「さぁ、蹂躙して差し上げますわ、わたくしという恐怖を知りなさい!」

(続きません 雪蟻より)
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