勇者置き去りの案内人

雪蟻

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第2章

☆リリーシャ

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「ごめんなさい、まずはこの言葉から始めるわ」
私は、初代聖女であり、初代勇者。
現代まで語られる初代勇者は当時共に魔王を倒すべく戦った戦士である。
彼は、黄金の目立つ全身鎧にこれまた黄金の大剣を装備としていたので、彼が勇者であると語られてもしかたない。
私は聖女として、行動することが多かったため、まさか前衛とは誰も思わなかっただろう。
私達は2人で魔王軍と戦ったし、魔王と戦う時も2人だった。
当時の私たちは、それだけ強過ぎたのだ。
それが大きな失敗になるとは思いもせずに、2人だけで全てを終えてしまった。
終えたと思ってしまった。
簡単に考えればわかるはず。
魔王を殺す2人。
そのうち1人は、まぁ分かりやすい欲求があった分扱いやすかっただろう。
問題は、私だ。
聖女たる私は、信念で動く。
これほど怖いものは無い。
だが、私も弱点ぐらいはある。
互いに命を預けあった戦友にまで警戒することは無かったのだ。

「どうして、貴方が……」
「すまんな、俺も人並みに欲望ぐらいあるんだよ」
私は、信じていた戦友に身も心も踏みにじられ、そして死ぬはずだった。
唆され、私を好き放題に扱い、最後に殺す。
その最後に、あいつは、私を救い、願った。

─────────
「その話と、リリーシャ姉様がどう繋がるのです」
リリーシャが気にかけている元王女の少女。
ミアと名乗っているそうだ。
私は彼女に、リリーシャのことを説明している。
そのために、少し昔話をしたにすぎない。
今回の勇者は、とても欲が多いようで、共に転生とやらをした聖女とベッドでよろしくやっているようだ。
世界を救うことなど遊びの1つのような気持ちのようである。
げーむとやらが影響していると、リリーシャより聞き及んでいる。
「私は、殺しきれていなかった魔王の手により、魂を封印され、勇者ダンジョンなどと呼ばれる迷宮に当時の武器と共に保存された」
何故そのようなことをしたのかは、ここで話すことではないので、割愛する。
「それをリリーシャ姉様が解放したということですね」
なんで、断言出来るのか分からないけど、あっている。
「そうなる、彼女はそこで私を正しくこの地に呼ぶために、自身を聖女の魂を宿すのに相応しい女性と自在変化を使い、今の状況を作り上げてくれている。その代わり、彼女の意識は私が死んだりしないと浮上しない」
「……リリーシャ姉様が選んだ道ならとやかくは言いませんけど、数回殴らせてください」
言わなきゃいいと言うわけではないと思うのだけど。
「冗談は置いておきますが、どうして勇者を連れていくんですか」
「ある事をするのに必要だからよ」
怒りに狂ったあいつが出てくるか、あの時と同じ気高いあいつが出てくるかは、勇者次第。
「私を呼んだ理由は」
「最後の仕上げの時、貴女の力が必要だと、リリーシャが言っていたからよ」
私としては誤差の範囲でしかないが、彼女が強く言ってくるのだから仕方ない。
「それと、貴女には教えておくわ」
それは、もうひとつの私の弱点。
スキルによる、どう足掻いても克服できない致命的な弱点。



「とんでもない弱点ですね」
「私があっさりと好き放題された理由ですもの」
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