好きに生きるだけですが、問題があるのですか?

雪蟻

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第二章

鬼人、桜花の末路

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「ここは……」
「目覚めたか女? まぁ、目覚めなくても構わんがな」
腕が、動かない、折れてる?
足も、うん、もう無理だね。
なんでこうなったんだっけ?

確か、パーティ会場で、桜花様に話しかけられて、舞い上がってたら、ボコボコにされたんだよね。
そして、ここはどこ? 

「貴様の魔法の才能は悪くない、上位種を孕む可能性も高かろう。存分に苗床としての仕事をこなしてくれ」
あー、声も出せない。
奥から、変な声が聞こえる。
ゴブリンかな、鬼人に近づくなってこういう事だったんだね、ごめんねリジェ。
私は、ここで死にそう。
泣いちゃうんだろうな。 
ほんと、ごめんね。 

「リジェ先輩のお気に入りを殺させる訳にはいきませんので、それとついでに、旦那様の命によって、ここで死んでもらいます。覚悟」
誰か来た、リジェを先輩って呼んでるけど、人間だよね?
メイドさん?
大丈夫かな、桜花様、めちゃくちゃ強いけど。


「ふん、少しは動けるようだが、その程度で、この私を殺すだと? 笑わせる」
「いつまでも、好き勝手にできると思わないことです」
少しずつだけど、魔力が空間に溜まってる。 
あれは、闘気?
あんまり、詳しくないけど、多分合ってると思う。
あれで、攻撃するのかな?
でも、たぶん通用しないと思う。

「魔闘技、龍閃!」
「ふん、小賢しい」
何か凄まじい技が行われた事だけは分かるけど、それを避けもせずに、メイドさんをボールか何かのように蹴り飛ばす。

「ごふ、あ、あぐ、や、やめ、ああああ」
「先程までの威勢はどうした? 人間の女よ。頑丈なようだが、それだけではこの私は殺せんぞ? どうした、どうした」
酷い、もう戦えるような状態じゃないのに、痛め付けるためだけに、加減しながら蹴り飛ばしてる。
桜花様にとって、私達人間なんて、その程度の存在なんだ……

「さて、まずはお前から、試すとしよう。ゴブリン共の苗床だ。喜べ、休むことなく、我らの繁栄に貢献出来るぞ」
あっという間に、メイドさんは、醜悪なゴブリンの群れに、群れに、あれ?


「ギリギリですが、間に合いましたね。さて、鬼人のメス、私は今、とても、機嫌が悪いので、虐めてあげます。好きでしょう? 遠慮せずに、堪能なさい」
ゴブリンたちが、消し飛んだと思ったら、リジェがいる。
メイドさんの格好だ。
なんか、すごく似合ってる。
それに、見たことない笑顔だ。
あんなに、綺麗な笑顔見たことない。
でも、笑ってない。
リジェって、意図的に表情作れるんだね。
それに、なんだろう、あの細い剣。
筋力がつかないから、武器は得意になれませんって言ってたのに。
随分と、使い慣れてるように見えるけど。

「ハイエルフか? これは丁度いい、貴様にも我らの」
「喋るな、鬼人のメス。失礼、さぁ、存分に足掻きなさい。あっさりと死んだら許しませんよ」
リジェが踏み込んだとこまでは見えた。
そこからは、よく分からないけど、さっきのメイドさんと同じことしてる。 
違うのは、リジェの場合は、攻撃される分は全て受け流している事かな。
さっきのメイドさんは、避けてたから。

「どうしました? ハイエルフの私をこの距離で仕留められないのですか? さすがは、増えることしか頭にない、下等生物ですね。工夫が見えません」
「貴様、我ら鬼人を愚弄するか!」
うーん、愚弄って言うけど、人間のオスにすら勝てませんよと断言してたリジェに遊ばれてるのを見ると、笑われて仕方ないと思う。

しかも、しっかりとメイドさんを回復させてる。
余裕があるってことだよね。
って、あれメイドさんこっちに来るね。

「大怪我の割に、冷静にしておりますね。私とは大違いです。こちらをどうぞ」
えーっと、話が読めないよ?

「あっ、喋れる」
「すみません、手持ちの治療薬では、ここまでが限界です」
どこから出したんだろう。

「それにしても、リジェより弱いって、桜花様が弱いの?」
すごい音はしてるけど、全部あっさりと受け流してるリジェに焦りは見えない。

「どうせ、リジェ先輩の事です。私はハイエルフですから、人間のオスにすら負けますよとか言っていたのではありませんか?」
「うん、言ってた」
実際、羽交い締めにしたら、抜け出せなくて半泣きだったし。

「リジェ先輩の言う、負ける人間のオスとは、剣聖ですよ?」
「……え?」
剣聖って、あの、剣聖?
剣の腕なら、歴代の勇者より強いって言われる、あの剣聖?

「筋力であれば、確かに、羽交い締めにできたら、私でも勝てます。ですが、リジェ先輩の強さは、その技術です。相手の攻撃を完全に受け流すなんて剣術は、リジェ先輩じゃないとできません。普通なら、何割かはどうしても受けるものなんです」
「そっか、リジェの筋力だと、1割でも受けちゃったら、それが致命傷なんだ」
つまり、あんなに余裕を持って、何度も何度も、受け流しを成立させるだなんて芸当ができるって時点で、おかしい。

「さて、少しは怖い思いもしたことでしょう。自称姉、帰りますよ。それと、元同僚、これはプレゼントです。まともな武器を作るといいでしょう。ドワーフあたりに頼みなさい」
突然、リジェが話しかけてきてビックリしていたら、メイドさんに何か黒い塊を渡している。
なんだろうかと思っていると、回復魔法を使われたのか、私の傷が癒えていた。 

「待て、貴様、どういうつもりだ」
「自称姉には、今度魔道具を作ってあげましょう。次は、自衛してください。間に合わない可能性も高いのですから」
リジェには、見えてないのかなというレベルで、無視を続けて、私達を連れて転移しようと空間を歪め始め、そして、魔法が発動するその時に、満面の笑顔で、リジェは言い放った。

「鬼人のメス。そんなに増えたいなら、お前が産めばいい。角をなくした鬼人のメスには、それぐらいしかできることは無いでしょうから」

ゴブリンの声と、桜花様の悲鳴が聞こえたような気がした。
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