孤独な姫君に溺れるほどの愛を

ゆーかり

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「もうすっかり傷は治ったようね」

痕が残ることもなく、綺麗になったロランを見上げて私は微笑みました。

「すみません、色々とご心配をおかけしました」

少し照れ臭そうにロランは笑いました。

「あのエドを相手に手加減を一切しなかったそうね?」

「ええ、手加減のできる相手ではありませんでしたので」

凄腕の騎士にそうまで言わせるとは、エドの腕もかなりのもののようです。

「ねえロラン、答えにくかったら答えなくて良いわ。あなたの中のわだかまりは、少しは解けたのかしら?」

ロランは一瞬目を見張ると、ふわっと表情を緩めました。

「リラ様は、私の家のことはもうご存知なのですよね?」

「ええ、大体のことは」

を殺して王家に忠義を尽くして参りましたが、心の奥底にわだかまるものは確かに在りました。リラ様、あなたのことも含めて」

「私のこと?」

「はい。恐れ多くも陛下は私を信頼し、リラ様が望むなら婚姻を許しても良いとまで仰いました」

「まあ……」

やはりそういう話だったのですね。祖父は匂わせるだけで私には何も言わなかったくせに……と少し恨めしく思います。

「リラ様に仕える日々は本当に幸せでした。私は……これまで生きた中でも感じたことのない安らぎを覚えたのです。そしてあなたの傷に触れる度、守り癒せる存在が自分であったならと何度願ったことか──」

ロランの切なげな眼差しに、胸の奥がぎゅっと引き絞られるように痛みました。
私はロランが好きです。
彼もまた、傷ついた臆病な私の心に優しく寄り添ってくれた人でした。

ロランの望む好意ではないかもしれませんが、彼も私にとってかけがえのない大切な人に違いはありません。

「殿下は、リラ様に対して本気ならそれを見せろと仰いました。それが先日のタイマンです」

「私を理由にしたというの?」

「はい。もちろんそれ以外のわだかまりも互いにありますが、リラ様の事が我々には一番分かりやすい理由でした」

「何と言って良いのやら……」

その結果があの惨状だったのですね。本当に言葉もありません。

「リラ様、あなたには馬鹿馬鹿しく見えるでしょうが、少なくとも我々は本気でぶつかり合って、互いに納得したのです」

「納得、ですか」

「ええ、私は全てにおいて殿下には敵わない……そう納得出来ました」

ロランは微笑みました。少し寂しげだけれど、何かを吹っ切れたような、そんな清々しい笑みでした。

「そう、ですか。あなた達双方が納得できたのなら何よりだわ」

「はい、助言くださったというリラ様にも大変感謝しております」

「ふふ、エドにはバカにされたけれどね」

苦笑すると、ロランは私の手を取って口付けました。

「リラ様は最高の主です。信頼と、変わらぬ忠誠をリラ様に」

「ありがとう、ロラン」

私達は笑み交わしました。そこにはこれまでと変わらぬ信頼が確かに感じられたのでした。
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