乙女ゲーに転生!?ある日公爵令嬢になった私の物語

ゆーかり

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本編

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「え?」

庭に面したホールを通りかかったところで小さな悲鳴が聞こえた気がした。

「ねえカル、何か聞こえなかった?」

振り返るとカルがビックリした顔してこっちを見てた。

「どうしたの?」

「あ、いえ……悲鳴の様ですね」

「私ちょっと見てくる」

「あ!アンジェリカ様!」

あのゲームを参考にするなら、カルは忠誠心の塊で主人の命令絶対だ。ちょっと見てきて、なんてお願い聞いてくれるはずがない。
だったら私が行けばいいんだよ。そしたら勝手に用心棒も付いてくるんだからさ!







庭を出て、辺りの様子を伺いながら四角いトピアリーに囲まれた遊歩道をテクテク歩いてみる。
んーどこだろ?

「……っ!」

あ!っと思った時には体が動いてた。

バシッ!

痛ったぁ……丁度ビンタされそうな女の子が居たから咄嗟に前出たら私がビンタされたよ。
駆け寄って来そうだったカルに、首振って来るなって目配せする。

「なっ……!」

「一体何事ですか?」

必死で仕込んだ淑女モードでビンタした子にうふっと笑ってやる。ほっぺジンジンするけどね。

「あ、あなたはヴァルク公爵令嬢!?」

「ええ」

アンジェリカはグレンの婚約者って事で有名人みたい。あとこの赤毛も珍しいらしくて目立つんだよね……はあ、染めようかな。

「申し訳ありません、わたくしレベッカ・エヴァンズと申します」

綺麗なカーテシーするレベッカちゃん。私のカメラアイ舐めないでね。今日に備えて貴族名鑑とかも読み込んじゃったから家名で爵位とかも分かるんだ。
ちなみにエヴァンズは侯爵家か。かなりのお嬢様みたいだけど、なんでこんな暴力に訴える様な事?

私は振り返ってビンタされそうだった女の子を見た。女の子は私の顔見て涙目でプルプル震えてる。アンジェリカって相当やっちまってたんだなぁ……こんな女の子の反応日常茶飯事よ。

「私のことは知ってるみたいね。あなたは?」

「わ、私はサリー・ヒートン、です……」

小声でもそもそ喋るサリーちゃん。えーと、ヒートンは男爵家だな。確か元々商人とかの家柄で、最近爵位賜った家門だ。

「お二人はケンカ中だったのかしら?」

レベッカちゃんがすんごい怖い顔してサリーちゃんを睨む。あー可愛い顔が台無しだよぉ……

「そちらのヒートン男爵令嬢が、わたくしの婚約者に色仕掛けを……」

「そんなっ!私はただお話しをしていただけで……!」

「話すだけならあんなに馴れ馴れしく触れる必要はないでしょう」

「私……そんなつもりは……」

んー話は何となく分かった。元アンジェリカがやってたようなことレベッカちゃんがやっちゃった訳だね。ってことはアンジェリカの身では仲裁なんて出来ない。全部ブーメランなるもんね。あーアンジェリカ本当あんな男の何が良かったんだよ……顔だな(確信)。

「ええとレベッカさん」

「は、はい何でしょうか?」

「中々良い平手打ちだったわ。今度婚約者の方にも喰らわせてあげてはどう?この浮気者!って」

レベッカちゃんポカーンと私を見てる。女ってさ、浮気されると相手の女をより憎んじゃうんだよね。まあ状況によるだろけど男だって悪いのにね。
ニヤって悪役っぽく笑うとレベッカちゃん目パチパチして、ふふって笑った。うん、女の子は笑顔が一番だね!

「そう致します。ヴァルク公爵令嬢本当に申し訳ありませんでした。でもヒートン男爵令嬢、あなたに悪いことをしたとは思ってませんわ。婚約者のいる男性にアプローチするのはいい加減お辞めになって」

「そんな……私本当にそんなつもり……男性の方が勝手に……」

「ええと、サリーさん?一先ずここは私に任せて、あなたは会場に戻ってくださる?」

ね!って圧込めて笑ってやると、サリーちゃん真っ青になりながら建物の方に早足に去って行った。
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