乙女ゲーに転生!?ある日公爵令嬢になった私の物語

ゆーかり

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「ヴァルク家は遠い昔王家と別れた巫女の家系なんだ。時と共に忘れ去られて今では知る者もごく僅かだけどな」

神様も言ってた「巫女」か。王家から別れたって事は王家も神様の親戚なのかな?

「巫女は王気を纏うものを自ら選んで番うと言われている」

「番う?動物とかが繁殖のために一緒になるアレ?」

「……まあそうだな、人間は結婚と言うけどな。言い伝えにあやかって、王家とヴァルク家の婚姻は定期的に結ばれるんだ」

「形式的に残ってる政略結婚てことね?」

「そうだ。お前は元々王太子の婚約者筆頭候補だったんだ。だが当のお前が俺を選んだ。まあ当然王太子側はそれが面白くないんだ」

「それって……まさか巫女が王気を纏うものを選んだってみなされるの?」

「少なくとも王家と王太子サイドはそう思ってる」

元アンジェリカさん何やってんのおお!?いや何も知らずにただグレンが好きで純粋に「あの王子様が良いわ」なんてやっちゃっただけかもしれないけどさ……こんな面倒臭い背景が絡んでたなんて!

「王太子とグレンは仲悪いの?」

「良いも悪いも母親が違うしな、あまり交流もなかったから何とも言えないな」

継母か……何となく嫌な感じがした。

「あのさ、婚約してから結構暗殺されかかったりとか?」

「ふん、良く分かるな。まあ婚約前から暗殺など日常茶飯事だ」

何でもない事みたいにグレンは笑ってた。でも主観入りまくりなんかね、グレンが寂しそうに見えちゃったんだ。同情?良くわかんないけど見たこともない継母とか暗殺者に無性に腹が立った。別にグレン何も悪くないじゃんって。

「そんな馬鹿な奴ら吠え面かかせてごめんなさいさせるまで、絶対しぶとく生き残って!」

グレンは黙ってじっと私の顔見てた。最近は大分表情読めるようになってきてたけど、今は全然分かんないや。私が眉間に皺寄せたら、グレンがふって笑った。

「ああ、そうだな。お前は側で見届けろ」

「え、ヤダよ」

「ダメだ、俺を選んだお前の義務だ」

「記憶にないし」

ぷいってそっぽ向いたらいきなり抱きしめられた。

「ちょっ離してよ!」

「この間はお前が離さなかったくせに不公平だろ」

くううう!それ言われるとぐうの音も出ない。大人しくなった私にグレンはドヤ顔で笑ってる気がした。

にしても最近のグレンって何かこう年相応な青年って感じなんだよね。普通の高校生の男子と戯れ合ってるような感覚?いくら大人っぽく見えるっていってもまだたったの17歳なんだもんね。全く私を不機嫌に威嚇してたグレンよ何処いった……

「お前を得るということは、有力なヴァルク家の後ろ盾を得る以上の意味を持つんだ。あくまで王家にとって、だけどな」

「じゃあなんでグレンは私を嫌うのよ?」

グレンの体に変に力が入った。これって核心突かれて体が強張ってるって感じなのかな。

「……嫌ってなんかない。少なくとも今のお前は」

「前の私が嫌いだったの?」

グレンが元アンジェリカ愛せなかったって神様から聞いてたけどさ、本人の口から本人の言葉で直接聞きたいんだ。

「なあ、それに答える前に俺も一つ聞きたい」

「なにを?」

「記憶を失う前と後のアンジェリカは、本当に同一人物なのか?」

今度は私が固まる番だった。

「自分でも変なこと聞いてる自覚はある。けどな、俺にはどうしても別人に見えるんだ。記憶の喪失だけでこんなに変わるもんか?」

ここまでか……私は表情を隠すようにグレンの胸に額を押し付けた。

「グレン、もし私が別人だって言ったら信じるの?」

「お前がそう言うなら信じるんだろうな」

グレンから体離して顔上げて、私は真っ直ぐ彼を見た。

「私の名前は桜木杏梨。ここじゃない別の世界の人間だよ」
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