31 / 77
本編
29
しおりを挟む
「ヴァルク家は遠い昔王家と別れた巫女の家系なんだ。時と共に忘れ去られて今では知る者もごく僅かだけどな」
神様も言ってた「巫女」か。王家から別れたって事は王家も神様の親戚なのかな?
「巫女は王気を纏うものを自ら選んで番うと言われている」
「番う?動物とかが繁殖のために一緒になるアレ?」
「……まあそうだな、人間は結婚と言うけどな。言い伝えにあやかって、王家とヴァルク家の婚姻は定期的に結ばれるんだ」
「形式的に残ってる政略結婚てことね?」
「そうだ。お前は元々王太子の婚約者筆頭候補だったんだ。だが当のお前が俺を選んだ。まあ当然王太子側はそれが面白くないんだ」
「それって……まさか巫女が王気を纏うものを選んだってみなされるの?」
「少なくとも王家と王太子サイドはそう思ってる」
元アンジェリカさん何やってんのおお!?いや何も知らずにただグレンが好きで純粋に「あの王子様が良いわ」なんてやっちゃっただけかもしれないけどさ……こんな面倒臭い背景が絡んでたなんて!
「王太子とグレンは仲悪いの?」
「良いも悪いも母親が違うしな、あまり交流もなかったから何とも言えないな」
継母か……何となく嫌な感じがした。
「あのさ、婚約してから結構暗殺されかかったりとか?」
「ふん、良く分かるな。まあ婚約前から暗殺など日常茶飯事だ」
何でもない事みたいにグレンは笑ってた。でも主観入りまくりなんかね、グレンが寂しそうに見えちゃったんだ。同情?良くわかんないけど見たこともない継母とか暗殺者に無性に腹が立った。別にグレン何も悪くないじゃんって。
「そんな馬鹿な奴ら吠え面かかせてごめんなさいさせるまで、絶対しぶとく生き残って!」
グレンは黙ってじっと私の顔見てた。最近は大分表情読めるようになってきてたけど、今は全然分かんないや。私が眉間に皺寄せたら、グレンがふって笑った。
「ああ、そうだな。お前は側で見届けろ」
「え、ヤダよ」
「ダメだ、俺を選んだお前の義務だ」
「記憶にないし」
ぷいってそっぽ向いたらいきなり抱きしめられた。
「ちょっ離してよ!」
「この間はお前が離さなかったくせに不公平だろ」
くううう!それ言われるとぐうの音も出ない。大人しくなった私にグレンはドヤ顔で笑ってる気がした。
にしても最近のグレンって何かこう年相応な青年って感じなんだよね。普通の高校生の男子と戯れ合ってるような感覚?いくら大人っぽく見えるっていってもまだたったの17歳なんだもんね。全く私を不機嫌に威嚇してたグレンよ何処いった……
「お前を得るということは、有力なヴァルク家の後ろ盾を得る以上の意味を持つんだ。あくまで王家にとって、だけどな」
「じゃあなんでグレンは私を嫌うのよ?」
グレンの体に変に力が入った。これって核心突かれて体が強張ってるって感じなのかな。
「……嫌ってなんかない。少なくとも今のお前は」
「前の私が嫌いだったの?」
グレンが元アンジェリカ愛せなかったって神様から聞いてたけどさ、本人の口から本人の言葉で直接聞きたいんだ。
「なあ、それに答える前に俺も一つ聞きたい」
「なにを?」
「記憶を失う前と後のアンジェリカは、本当に同一人物なのか?」
今度は私が固まる番だった。
「自分でも変なこと聞いてる自覚はある。けどな、俺にはどうしても別人に見えるんだ。記憶の喪失だけでこんなに変わるもんか?」
ここまでか……私は表情を隠すようにグレンの胸に額を押し付けた。
「グレン、もし私が別人だって言ったら信じるの?」
「お前がそう言うなら信じるんだろうな」
グレンから体離して顔上げて、私は真っ直ぐ彼を見た。
「私の名前は桜木杏梨。ここじゃない別の世界の人間だよ」
神様も言ってた「巫女」か。王家から別れたって事は王家も神様の親戚なのかな?
「巫女は王気を纏うものを自ら選んで番うと言われている」
「番う?動物とかが繁殖のために一緒になるアレ?」
「……まあそうだな、人間は結婚と言うけどな。言い伝えにあやかって、王家とヴァルク家の婚姻は定期的に結ばれるんだ」
「形式的に残ってる政略結婚てことね?」
「そうだ。お前は元々王太子の婚約者筆頭候補だったんだ。だが当のお前が俺を選んだ。まあ当然王太子側はそれが面白くないんだ」
「それって……まさか巫女が王気を纏うものを選んだってみなされるの?」
「少なくとも王家と王太子サイドはそう思ってる」
元アンジェリカさん何やってんのおお!?いや何も知らずにただグレンが好きで純粋に「あの王子様が良いわ」なんてやっちゃっただけかもしれないけどさ……こんな面倒臭い背景が絡んでたなんて!
「王太子とグレンは仲悪いの?」
「良いも悪いも母親が違うしな、あまり交流もなかったから何とも言えないな」
継母か……何となく嫌な感じがした。
「あのさ、婚約してから結構暗殺されかかったりとか?」
「ふん、良く分かるな。まあ婚約前から暗殺など日常茶飯事だ」
何でもない事みたいにグレンは笑ってた。でも主観入りまくりなんかね、グレンが寂しそうに見えちゃったんだ。同情?良くわかんないけど見たこともない継母とか暗殺者に無性に腹が立った。別にグレン何も悪くないじゃんって。
「そんな馬鹿な奴ら吠え面かかせてごめんなさいさせるまで、絶対しぶとく生き残って!」
グレンは黙ってじっと私の顔見てた。最近は大分表情読めるようになってきてたけど、今は全然分かんないや。私が眉間に皺寄せたら、グレンがふって笑った。
「ああ、そうだな。お前は側で見届けろ」
「え、ヤダよ」
「ダメだ、俺を選んだお前の義務だ」
「記憶にないし」
ぷいってそっぽ向いたらいきなり抱きしめられた。
「ちょっ離してよ!」
「この間はお前が離さなかったくせに不公平だろ」
くううう!それ言われるとぐうの音も出ない。大人しくなった私にグレンはドヤ顔で笑ってる気がした。
にしても最近のグレンって何かこう年相応な青年って感じなんだよね。普通の高校生の男子と戯れ合ってるような感覚?いくら大人っぽく見えるっていってもまだたったの17歳なんだもんね。全く私を不機嫌に威嚇してたグレンよ何処いった……
「お前を得るということは、有力なヴァルク家の後ろ盾を得る以上の意味を持つんだ。あくまで王家にとって、だけどな」
「じゃあなんでグレンは私を嫌うのよ?」
グレンの体に変に力が入った。これって核心突かれて体が強張ってるって感じなのかな。
「……嫌ってなんかない。少なくとも今のお前は」
「前の私が嫌いだったの?」
グレンが元アンジェリカ愛せなかったって神様から聞いてたけどさ、本人の口から本人の言葉で直接聞きたいんだ。
「なあ、それに答える前に俺も一つ聞きたい」
「なにを?」
「記憶を失う前と後のアンジェリカは、本当に同一人物なのか?」
今度は私が固まる番だった。
「自分でも変なこと聞いてる自覚はある。けどな、俺にはどうしても別人に見えるんだ。記憶の喪失だけでこんなに変わるもんか?」
ここまでか……私は表情を隠すようにグレンの胸に額を押し付けた。
「グレン、もし私が別人だって言ったら信じるの?」
「お前がそう言うなら信じるんだろうな」
グレンから体離して顔上げて、私は真っ直ぐ彼を見た。
「私の名前は桜木杏梨。ここじゃない別の世界の人間だよ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎
倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。
栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。
「責任、取って?」
噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。
手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。
けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。
看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。
それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【ご報告】
2月15日付で、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。
ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。
引き続きよろしくお願いいたします。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない
三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる