乙女ゲーに転生!?ある日公爵令嬢になった私の物語

ゆーかり

文字の大きさ
32 / 77
本編

30

しおりを挟む
「サクラギアンリ?」

流石のグレンも唖然としてた。でも私は構わず神様に聞いたことで話せそうなことは全部話した。話してるうちにグレンは段々冷静さを取り戻してる感じだった。

「……私はこの世界とは別の処で生まれ育ったけど、魂は本当のアンジェリカだって神様は言ってた」

グレン考える人のポーズで固まってる。こんな話急に信じろって方が酷だよね。

「アンジェリカ……いや、サクラギアンリ?」

「桜木が姓で杏梨が名前だよ」

「そうか、アンリと呼んだ方がいいか?」

「え、あんた私の話信じるの?」

「まだ全部は整理できてないが……色々俺の中で腑に落ちたからな。俺はお前を信じるよ」

まただ。またグレンはあっさり私を受け入れるんだ。命狙われまくりなら普通もっと猜疑心の塊とかにならない?そんな簡単に私受け入れちゃっていいの?言いたいこといっぱいあるんだけど何か言葉にならなかった。ホント調子狂うな。私グレンの胸に飛び込んじゃったよ。

「グレン、ありがとう……」

グレンの手が躊躇いがちに私の背中に回された。そして反対の手でポンポンて優しく頭撫でてくれる。

「アンリ」

ぶわって身体中の毛が逆立つような感覚。ばか!そんな優しく骨の髄まで馴染んだ名前で呼ぶな!もう、もう我慢できなくなるじゃんか──!

「ふっ、ぅう……ああああ!」

号泣する私をグレンは落ち着くまで黙って抱き締めてくれてた。もう認めるよ、グレンの腕の中は今の私にとって一番安心できる場所だってさ。






泣き疲れて涙引っ込んでからも、ぼーっとグレンの胸にもたれかかってた。やっぱりグレンは良い匂いがするな。
グレンはグレンで私の髪が好きみたいで、相変わらずクルクル指に巻き付けて弄んでた。

「グレン」

泣き過ぎか、声枯れてる……

「ふ、酷い声だな」

「あんた王様になりたいの?」

グレンの手が止まる。

「じゃなきゃ私と結婚するメリットないよね。好きでもない女のせいで益々命狙われて……あんたホント良いこと無いじゃん」

「アンリ」

あれ、声のトーンが下がってる。私思わずビクってしちゃったよ。

「俺の意思に関係なく、そういう勢力があるのも事実だ。まあ本音を言えば王位なんてどうでも良い」

「なら──」

「今は全てのメリットデメリット抜きにしても、アンリと結婚するのは悪くないと思ってる」

「へ?」

「お前といると楽しいからな」

どっか頭でもぶつけたんか?って思いつつ、もしグレンと結婚しない道を選ぶとするなら、今一番安心できる場所を私は永遠に失うんだなって気付いた。楽しそうに笑うグレンにズキって傷む胸。

「……アンリとしての私はまだこの結婚に同意してないから」

「お前の同意なんて要るかよ。こんな面白い女逃す訳ない」

あれ?急に顔つきから口調まで変わったな。まさかこっちが素?

「そう言われると全力で逃げたくなるわ」

くって魔王みたいに笑うグレン。な、なんなのこいつ!?ちょっとビビってる自分に腹立つし!

「アンリ、アンジェリカがお前で良かったと俺は思ってる。前のアンジェリカが何で俺を選んだかは知らないが──」

ガッと顎掴んで目覗き込まれた。ひいい目反らしたいけど逃げらんない!

「アンリも俺を選べ」

「や、やだ」

「何がイヤなんだ?」

「あんたタイプじゃないし!」

「見た目の話か?」

「性格も!」

グレンは私に目線を固定したまま何か探ってる風だ。

「口で言うほど嫌われてる様には感じないんだけどな」

ぐっ……確かに最近は前ほどイヤじないし嫌いでもない。でも相変わらずドSだしもやし……いや結構着痩せするみたいで筋肉はあるんだよね。意外と優しいし、何だかんだ私のこと気にかけて心配してくれてる。杏梨としての私もあっさり受け入れてくれた。物好きにも私との結婚にかなり前向き。あれ?グレンでイヤな要素ってドSと王子様ってとこ位じゃない?ガサツで庶民な私に王子妃とかホント無理だし。

「あんたが王子様じゃなかったら一考の余地はあるかも、ね」

「なんだそんなことか。いずれ臣籍降下するつもりだから解決だな」

なんですと!?そんなあっさり身分捨てるって!?グレンは笑いながらビックリして固まってる私の頬っぺたムニって摘んだ。

「何て顔してんだ。俺はとっとと王室から離れたいくらいなんだ。お前のためじゃなくても、な」

きっと物心ついた時から命狙われるような人生だったんだろな。本人の意思なんて関係なくね。しかもその相手は継母……レベッカちゃんがグレンは「簡単に女性に心を許さない」って言ってたけど当然なんだ。女たらしどころか女性不信になるわなぁ……今まで取られたイヤな態度はムカつくけど、背景を知ってしまったら怒るに怒れないや。
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎ 倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。 栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。 「責任、取って?」 噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。 手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。 けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。 看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。 それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 2月15日付で、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。 ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。 引き続きよろしくお願いいたします。

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! アルファポリス恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 *他サイトでも公開中 なろう日間総合ランキング2位に入りました!

混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない

三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。

処理中です...