乙女ゲーに転生!?ある日公爵令嬢になった私の物語

ゆーかり

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ああ、ここは見覚えのある真っ白空間。

「やっほー!またまた会えたねアンジェリカ!」

出たな無個性平均顔神!

「そうそう、無個性な僕だよ僕」

オレオレ詐欺か!

「神様、どういうタイミングで現れるのよ?いつも突然だよね」

「んー難しい質問だなぁ。色んな条件が整った時、かな」

まあ私ごときには預かり知れないやんごとない事情がおありなのでしょうね、神様らしいですから。

「そう怒らないでアンジェリカ。君の知りたいことは出来る限り教えるから」

「またサラっと心読んでるし……一杯聞きたいことはあるのに、いつも突然だから整理できてないんだよね」

「そっかぁごめんね?まあ思い付いたことドンドン聞いてよ」

にっこにこ綺麗に笑ってるんだけど、記憶に残らないレベルで個性がないんだよなぁ。

「グレンが神は人間を試すって言ったの。私試されてるの?」

「そうだよ」

「え!?」

「君は僕手ずから作った人間なんだ。始まりの時から全て君のことは記録されてる。アンジェリカ、君はそういう存在なんだよ」

え、え!?私全部神様に見られてるの!?

「あ、これまで通り僕のことは気にせず生活してね。さすがに逐一観察してるとかじゃないから。ただある場所に勝手に記録されるようになってる。そういうシステムだとザックリ理解してくれると嬉しいかな!」

良く分かんないけどなんか気持ち悪っ!

「君は僕の娘みたいなもんだからさ、気持ち悪っ!なんて言われたら悲しいなぁ……」

またナチュラルに人の心読むなあああ!

「あ、ごめん気を付ける」

「まあいいや、私は神様の実験動物って認識でいいのね?」

「言い方はアレだけど……まあそうだね、試練は与えるけど愛はあるからそんな怒っちゃヤだよ?」

おええええ上目遣いきんもおおおおおお!

「アンジェリカ、さすがに僕泣いちゃうよ……」

「勝手に泣け!こっちが泣きたいわっ!」

うるうるしてる神様鬱陶しく思いつつ、私一番聞きたかったこと思い出した。

「ねえ、もしかして取り違え自体も本当は故意だった?」

神様急に真顔になった。あれ、空気ガラっと変わったぞ!?こ、怖っ!

「僕は君に必ず一つ試練を与える。今回は魂の取り違えがその試練だった。そう、君の言う通りこれは故意だよ」

私神様の言葉より尋常じゃない雰囲気に圧倒されて声も出せなかった。

「一つ誤算は桜木杏梨の魂がアンジェリカの肉体に馴染まなかったこと。肉体が魂を拒み、桜木杏梨の魂は病んでいった。彼女は長ずるにつれ陰鬱でヒステリックな女性になり果てた。桜木杏梨は毎日僕に祈ってたよ、私を苦しみから救ってと。僕はその声に応えた。君が死んだその日に」

え!?私って死んだの?全然記憶ないけど……

「桜木杏梨の肉体もまた、君の大き過ぎる魂を受けきれなかったんだ。チキュウでの君は突然死ということになってる」

「待って!彼女は桜木杏梨として元気に過ごしてるって言ってたよね?どういうこと?」

「10年……君たちの時を戻した。それが私に出来る精一杯だ」

だから今私は16歳なのか。

「謝罪もいい訳もしないよ。僕はこういう存在だからね」

「神様の価値観を私が理解できるとも思えないからそういうのはいいよ。異世界で生まれ育った記憶を持つ私がこの世界でどう生きるか、神様はそれが見たいんでしょ?」

「その通りだよ。君は本当に賢くて助かるね、さすが僕の娘だ」

神様にっこり、私げんなり。
私と桜木杏梨は16歳から本来の生を生きるってことか。もうさ、想像の遥か斜め上の事態に何の感情も沸いてこないや。

ただ我ながら柔軟なのか何なのか普通に神様の言葉を受け入れてるのが不思議。私が神様に作られた存在だからなのかな?

「記憶はなくとも、君の魂が僕を覚えているんだよ」

うええええ!そういうの気持ち悪いからヤメテまじで!

「……覚えている筈なんだ……ぐすっ」

泣くな鬱陶しい!
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