乙女ゲーに転生!?ある日公爵令嬢になった私の物語

ゆーかり

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本編

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だだっ広い部屋で一人になって、私は辺りの様子を伺う。外にメイドさんが何人か控えてる位で他に人は居なそうかな。魔力検知できないから完璧に隠れられてたらお手上げだけど……

ボンヤリ考え事してたらノックと共にサリーちゃんが入ってきた。

「先程は手荒な真似をすみませんでした、アンジェリカ様」

サリーちゃんは私の顔見るなり頭を下げる。

「サリーちゃん、シアさんとはどういう関係なの?」

「あの方は我が主に等しい方。私は忠実な下僕に過ぎません。どうか邪推なさらないでくださいね」

この子は王太子サイドの手足となってグレン側の男性陣を誑し込んでたのか。
最終的にはグレンをおとす……というより孤立が狙いだったのかな?グレンには精神干渉効かないらしいし。

「あの日アーサーとメレディスさんを操ったのはあなたよね?遠隔操作ができるって事?」

サリーちゃんは「はい」って頷いた。

「一度でも精神を私の支配下に置かれた方はどこに居ても操れますので」

リアルラジコンやないかい!精神干渉って恐ろしい!あれ?私がシアさんから受けたのものって……いや、今は深く考えまい。

「ねえ、マチルダちゃんの主は誰?」

サリーちゃんは首を横に振る。答えられないんだね。

「何をしにここへ?」

「アンジェリカ様の身の回りのお世話を申し渡されました。王太子様はアンジェリカ様が大切なようですね」

シアさんは私、というより巫女しか見えてないみたいだけど。

「シアさんの気持ちは嬉しいけれど、今は一人になりたいかな」

「一人にしないようにと言われております」

くっ……私は一生誰かに監視され続ける人生なのかっ!

「他のご要望でしたら何でもお申し付けください」

と言われても今はやる事ないし、体力温存の為に寝ちゃおっかな。
ばたっとベットに横になって目を瞑った途端頭の上から声がした。

「お疲れですか、ご主人様?」

「アズ!」

アズはにっこり笑った。実はアズ、姿を消して私の側にずっと居てくれてたんだ。だから私安心し切ってた。私の身に危険が及んだら何をしてもいいって物騒なことグレンから許可されてたしね。

「もう殺意を抑える限界でした。でも僕にはご主人様の意向が第一ですから我慢しましたよ。ここ、この女も含めて3匹はいますね。殺ります?」

「待ったー!最悪な最悪その選択もあるかもだけど、出来る限り穏便に頼む!」

「ご主人様がそうおっしゃるなら」

不満そうなアズの様子をサリーちゃんは蒼褪めながら見てる。殺るとかナントカ不穏なこと言ってるから流石に怖いよね。

「壊すのは簡単だけど、何も分からないままってのは嫌なんだよ。何で私がこんな目に遭ってるのか、彼らは何でこんなことするのか……それ探ってからどうするかは決めたい」

「仕方ないですね、主人の望みを叶えるのが下僕の本懐」

「ありがとうアズ!ところで3匹って誰のこと?」

アズはチラッと横目でサリーちゃんをみた。

「あの女と女狐と王太子ですね。王太子はちょっと特殊なようですけど」

「特殊?」

「半魔に変わりはなさそうですが、魔族を身に宿してる訳ではないですね」

それってどういうことなんだろ?

「まあいずれ分かるでしょう。そもそもこの国の王族に魔族は干渉できないはずなんですけどね」

意味ありげなアズの表情に私茫然とする。
ええと、王族に魔族は干渉出来ない。でもシアさんは半魔。それの示すところってつまり……

シアさんは王族の血を引いてない──?

サーって自覚できるほどに顔が青褪めた。だから何がなんでも巫女の血筋のお墨付きが欲しかったってこと?
グレンと共にあるなら殺すってあの手段を選ばない切実さは……

てか……ああああ!こんな機密は流石に知りたくなかった!こんなん知っちゃったら黙ってらんないし自国の中枢の事なんだから益々放っておけないじゃん!

さてどうしようか……どうにかグレンと連絡取れないかな。

「アズ、今すぐグレンと話したい」

アズはちょっとイヤそうに眉しかめると、渋々分かりましたって頷いた。
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