65 / 77
本編
63
しおりを挟む
だだっ広い部屋で一人になって、私は辺りの様子を伺う。外にメイドさんが何人か控えてる位で他に人は居なそうかな。魔力検知できないから完璧に隠れられてたらお手上げだけど……
ボンヤリ考え事してたらノックと共にサリーちゃんが入ってきた。
「先程は手荒な真似をすみませんでした、アンジェリカ様」
サリーちゃんは私の顔見るなり頭を下げる。
「サリーちゃん、シアさんとはどういう関係なの?」
「あの方は我が主に等しい方。私は忠実な下僕に過ぎません。どうか邪推なさらないでくださいね」
この子は王太子サイドの手足となってグレン側の男性陣を誑し込んでたのか。
最終的にはグレンをおとす……というより孤立が狙いだったのかな?グレンには精神干渉効かないらしいし。
「あの日アーサーとメレディスさんを操ったのはあなたよね?遠隔操作ができるって事?」
サリーちゃんは「はい」って頷いた。
「一度でも精神を私の支配下に置かれた方はどこに居ても操れますので」
リアルラジコンやないかい!精神干渉って恐ろしい!あれ?私がシアさんから受けたのものって……いや、今は深く考えまい。
「ねえ、マチルダちゃんの主は誰?」
サリーちゃんは首を横に振る。答えられないんだね。
「何をしにここへ?」
「アンジェリカ様の身の回りのお世話を申し渡されました。王太子様はアンジェリカ様が大切なようですね」
シアさんは私、というより巫女しか見えてないみたいだけど。
「シアさんの気持ちは嬉しいけれど、今は一人になりたいかな」
「一人にしないようにと言われております」
くっ……私は一生誰かに監視され続ける人生なのかっ!
「他のご要望でしたら何でもお申し付けください」
と言われても今はやる事ないし、体力温存の為に寝ちゃおっかな。
ばたっとベットに横になって目を瞑った途端頭の上から声がした。
「お疲れですか、ご主人様?」
「アズ!」
アズはにっこり笑った。実はアズ、姿を消して私の側にずっと居てくれてたんだ。だから私安心し切ってた。私の身に危険が及んだら何をしてもいいって物騒なことグレンから許可されてたしね。
「もう殺意を抑える限界でした。でも僕にはご主人様の意向が第一ですから我慢しましたよ。ここ、この女も含めて3匹はいますね。殺ります?」
「待ったー!最悪な最悪その選択もあるかもだけど、出来る限り穏便に頼む!」
「ご主人様がそうおっしゃるなら」
不満そうなアズの様子をサリーちゃんは蒼褪めながら見てる。殺るとかナントカ不穏なこと言ってるから流石に怖いよね。
「壊すのは簡単だけど、何も分からないままってのは嫌なんだよ。何で私がこんな目に遭ってるのか、彼らは何でこんなことするのか……それ探ってからどうするかは決めたい」
「仕方ないですね、主人の望みを叶えるのが下僕の本懐」
「ありがとうアズ!ところで3匹って誰のこと?」
アズはチラッと横目でサリーちゃんをみた。
「あの女と女狐と王太子ですね。王太子はちょっと特殊なようですけど」
「特殊?」
「半魔に変わりはなさそうですが、魔族を身に宿してる訳ではないですね」
それってどういうことなんだろ?
「まあいずれ分かるでしょう。そもそもこの国の王族に魔族は干渉できないはずなんですけどね」
意味ありげなアズの表情に私茫然とする。
ええと、王族に魔族は干渉出来ない。でもシアさんは半魔。それの示すところってつまり……
シアさんは王族の血を引いてない──?
サーって自覚できるほどに顔が青褪めた。だから何がなんでも巫女の血筋のお墨付きが欲しかったってこと?
グレンと共にあるなら殺すってあの手段を選ばない切実さは……
てか……ああああ!こんな機密は流石に知りたくなかった!こんなん知っちゃったら黙ってらんないし自国の中枢の事なんだから益々放っておけないじゃん!
さてどうしようか……どうにかグレンと連絡取れないかな。
「アズ、今すぐグレンと話したい」
アズはちょっとイヤそうに眉しかめると、渋々分かりましたって頷いた。
ボンヤリ考え事してたらノックと共にサリーちゃんが入ってきた。
「先程は手荒な真似をすみませんでした、アンジェリカ様」
サリーちゃんは私の顔見るなり頭を下げる。
「サリーちゃん、シアさんとはどういう関係なの?」
「あの方は我が主に等しい方。私は忠実な下僕に過ぎません。どうか邪推なさらないでくださいね」
この子は王太子サイドの手足となってグレン側の男性陣を誑し込んでたのか。
最終的にはグレンをおとす……というより孤立が狙いだったのかな?グレンには精神干渉効かないらしいし。
「あの日アーサーとメレディスさんを操ったのはあなたよね?遠隔操作ができるって事?」
サリーちゃんは「はい」って頷いた。
「一度でも精神を私の支配下に置かれた方はどこに居ても操れますので」
リアルラジコンやないかい!精神干渉って恐ろしい!あれ?私がシアさんから受けたのものって……いや、今は深く考えまい。
「ねえ、マチルダちゃんの主は誰?」
サリーちゃんは首を横に振る。答えられないんだね。
「何をしにここへ?」
「アンジェリカ様の身の回りのお世話を申し渡されました。王太子様はアンジェリカ様が大切なようですね」
シアさんは私、というより巫女しか見えてないみたいだけど。
「シアさんの気持ちは嬉しいけれど、今は一人になりたいかな」
「一人にしないようにと言われております」
くっ……私は一生誰かに監視され続ける人生なのかっ!
「他のご要望でしたら何でもお申し付けください」
と言われても今はやる事ないし、体力温存の為に寝ちゃおっかな。
ばたっとベットに横になって目を瞑った途端頭の上から声がした。
「お疲れですか、ご主人様?」
「アズ!」
アズはにっこり笑った。実はアズ、姿を消して私の側にずっと居てくれてたんだ。だから私安心し切ってた。私の身に危険が及んだら何をしてもいいって物騒なことグレンから許可されてたしね。
「もう殺意を抑える限界でした。でも僕にはご主人様の意向が第一ですから我慢しましたよ。ここ、この女も含めて3匹はいますね。殺ります?」
「待ったー!最悪な最悪その選択もあるかもだけど、出来る限り穏便に頼む!」
「ご主人様がそうおっしゃるなら」
不満そうなアズの様子をサリーちゃんは蒼褪めながら見てる。殺るとかナントカ不穏なこと言ってるから流石に怖いよね。
「壊すのは簡単だけど、何も分からないままってのは嫌なんだよ。何で私がこんな目に遭ってるのか、彼らは何でこんなことするのか……それ探ってからどうするかは決めたい」
「仕方ないですね、主人の望みを叶えるのが下僕の本懐」
「ありがとうアズ!ところで3匹って誰のこと?」
アズはチラッと横目でサリーちゃんをみた。
「あの女と女狐と王太子ですね。王太子はちょっと特殊なようですけど」
「特殊?」
「半魔に変わりはなさそうですが、魔族を身に宿してる訳ではないですね」
それってどういうことなんだろ?
「まあいずれ分かるでしょう。そもそもこの国の王族に魔族は干渉できないはずなんですけどね」
意味ありげなアズの表情に私茫然とする。
ええと、王族に魔族は干渉出来ない。でもシアさんは半魔。それの示すところってつまり……
シアさんは王族の血を引いてない──?
サーって自覚できるほどに顔が青褪めた。だから何がなんでも巫女の血筋のお墨付きが欲しかったってこと?
グレンと共にあるなら殺すってあの手段を選ばない切実さは……
てか……ああああ!こんな機密は流石に知りたくなかった!こんなん知っちゃったら黙ってらんないし自国の中枢の事なんだから益々放っておけないじゃん!
さてどうしようか……どうにかグレンと連絡取れないかな。
「アズ、今すぐグレンと話したい」
アズはちょっとイヤそうに眉しかめると、渋々分かりましたって頷いた。
0
あなたにおすすめの小説
当て馬令息の婚約者になったので美味しいお菓子を食べながら聖女との恋を応援しようと思います!
朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
「わたくし、当て馬令息の婚約者では?」
伯爵令嬢コーデリアは家同士が決めた婚約者ジャスティンと出会った瞬間、前世の記憶を思い出した。
ここは小説に出てくる世界で、当て馬令息ジャスティンは聖女に片思いするキャラ。婚約者に遠慮してアプローチできないまま失恋する優しいお兄様系キャラで、前世での推しだったのだ。
「わたくし、ジャスティン様の恋を応援しますわ」
推しの幸せが自分の幸せ! あとお菓子が美味しい!
特に小説では出番がなく悪役令嬢でもなんでもない脇役以前のモブキャラ(?)コーデリアは、全力でジャスティンを応援することにした!
※ゆるゆるほんわかハートフルラブコメ。
サブキャラに軽く百合カップルが出てきたりします
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5753hy/ )
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
婚約破棄までの七日間
たぬきち25番
恋愛
突然、乙女ゲームの中の悪役令嬢ロゼッタに転生したことに気付いた私。しかも、気付いたのが婚約破棄の七日前!! 七日前って、どうすればいいの?!
※少しだけ内容を変更いたしました!!
※他サイト様でも掲載始めました!
婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される
さくら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。
慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。
だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。
「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」
そう言って真剣な瞳で求婚してきて!?
王妃も兄王子たちも立ちはだかる。
「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない
三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。
男装の騎士に心を奪われる予定の婚約者がいる私の憂鬱
鍋
恋愛
私は10歳の時にファンタジー小説のライバル令嬢だと気付いた。
婚約者の王太子殿下は男装の騎士に心を奪われ私との婚約を解消する予定だ。
前世も辛い失恋経験のある私は自信が無いから王太子から逃げたい。
だって、二人のラブラブなんて想像するのも辛いもの。
私は今世も勉強を頑張ります。だって知識は裏切らないから。
傷付くのが怖くて臆病なヒロインが、傷付く前にヒーローを避けようと頑張る物語です。
王道ありがちストーリー。ご都合主義満載。
ハッピーエンドは確実です。
※ヒーローはヒロインを振り向かせようと一生懸命なのですが、悲しいことに避けられてしまいます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる