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方舟の真実
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この世界はおかしい
そう感じるようになったのは小学三年生の時からだ。
きっかけは朝、先生が出席確認をしている時のことだった。
39番山田君さん40番渡辺さんはい、全員出席です
「先生!41番の人がいません!」
「え?このクラスは40人しかいないよ?
伊藤君。」
自分でもびっくりした。このクラスには40人しかいない。自分でもわかっていたはずなのに、気づいたら喋っていた。
先生には首を傾げられ、同級生にはからかわれたが、それ以上は何もなかった。
僕自身もちょっと寝ぼけていたのだろうということで自分を納得させた。
しかし、それはその後も続いた。
最初は誰か一人足りないような感覚、しばらくすると、その感覚は物や、生き物、娯楽などにまで増えた
何か大切なことを失って、無くしたものにも気づかない自分が歯痒かった。
祖父の実家に帰った時、博識な祖父なら何か知っているかもしれないと今自分が感じていること、世界の違和感について正直に語ってみた。
精神異常者と思われるかもと心配したが祖父はこう答えた。
「それは多分、多重世界が互いに干渉し合うことによって異なる事実が生成され、たまたまお前が二つの世界の狭間に存在してしまったのだろう」
はっきり言って当時の僕は祖父が何を言っているのか、全く理解出来なかった。
けど、何かそれらしいことを言っていて、多分それが事実なのだろうと自分の気持ちに折り合いをつけた。
それから時は流れ、僕は中学三年生になった。
その間にも、食べ物や、人、いろいろなものが消え去った感覚はあったが、中学校に入る頃にはその感覚もなくなり始めていた。
忘れることに慣れてしまったのだ。
中学三年生の夏休み、僕はノアの方舟という小説を読んだ。
ある日、神様は人間たちがクズに成り果ててゆく姿を見て、激怒してしまう
神さまは大洪水を起こして一度人間を滅ぼそうとする。
しかし、神を信じ真面目に働いていたノアの一族には大洪水から助かる方舟を作るように言う。
ノアは神の言う通り、方舟を作り、あらゆる動物のつがいを乗せて、大洪水から生き延びる。
これを読んで僕はふと、こう思った。
今、大洪水が起きたら神は何人の人を助けるだろうか。
時は過ぎ、季節は秋になった。
最近、物が無くなったような感覚が今までにないほど強くなった。
つい先日は僕の大好きだったチョコ菓子がきえた。
無くなるペースはどんどん早くなり、目に見えるスピードで消えてゆくようになった。
チョコレート、タバコ、漫画、小説、スマホ、
どんどん物が消えてゆく
そしてそれは人にまで及ぶようになった。
友達の和也、ふみちゃん、そして僕の父親、加速度的に消えてゆく。
僕は怖くなり、家の近くの大都市へ走って向かった。
大都市に着くと、僕は恐ろしい光景を見ることになる。
あれほどまでに高かったビルは白い灰となって崩れてゆき、いつもなら町を埋め尽くす大勢の人々は数えるほどしかいなかった。
そしてその数少ない人間も消えてゆく。
目の前で一人、また一人、どんどん人が消えてゆき、最後に僕が残った。
あれほどまでに眩しかった大都市はただの荒野と化した。
すると、空が眩しく光り、ヒゲの長い男が空から現れた。
「私は神である。
愚かな人間どもよ。
もう一度土に還るがよい。」
そして僕も消えた。
そう感じるようになったのは小学三年生の時からだ。
きっかけは朝、先生が出席確認をしている時のことだった。
39番山田君さん40番渡辺さんはい、全員出席です
「先生!41番の人がいません!」
「え?このクラスは40人しかいないよ?
伊藤君。」
自分でもびっくりした。このクラスには40人しかいない。自分でもわかっていたはずなのに、気づいたら喋っていた。
先生には首を傾げられ、同級生にはからかわれたが、それ以上は何もなかった。
僕自身もちょっと寝ぼけていたのだろうということで自分を納得させた。
しかし、それはその後も続いた。
最初は誰か一人足りないような感覚、しばらくすると、その感覚は物や、生き物、娯楽などにまで増えた
何か大切なことを失って、無くしたものにも気づかない自分が歯痒かった。
祖父の実家に帰った時、博識な祖父なら何か知っているかもしれないと今自分が感じていること、世界の違和感について正直に語ってみた。
精神異常者と思われるかもと心配したが祖父はこう答えた。
「それは多分、多重世界が互いに干渉し合うことによって異なる事実が生成され、たまたまお前が二つの世界の狭間に存在してしまったのだろう」
はっきり言って当時の僕は祖父が何を言っているのか、全く理解出来なかった。
けど、何かそれらしいことを言っていて、多分それが事実なのだろうと自分の気持ちに折り合いをつけた。
それから時は流れ、僕は中学三年生になった。
その間にも、食べ物や、人、いろいろなものが消え去った感覚はあったが、中学校に入る頃にはその感覚もなくなり始めていた。
忘れることに慣れてしまったのだ。
中学三年生の夏休み、僕はノアの方舟という小説を読んだ。
ある日、神様は人間たちがクズに成り果ててゆく姿を見て、激怒してしまう
神さまは大洪水を起こして一度人間を滅ぼそうとする。
しかし、神を信じ真面目に働いていたノアの一族には大洪水から助かる方舟を作るように言う。
ノアは神の言う通り、方舟を作り、あらゆる動物のつがいを乗せて、大洪水から生き延びる。
これを読んで僕はふと、こう思った。
今、大洪水が起きたら神は何人の人を助けるだろうか。
時は過ぎ、季節は秋になった。
最近、物が無くなったような感覚が今までにないほど強くなった。
つい先日は僕の大好きだったチョコ菓子がきえた。
無くなるペースはどんどん早くなり、目に見えるスピードで消えてゆくようになった。
チョコレート、タバコ、漫画、小説、スマホ、
どんどん物が消えてゆく
そしてそれは人にまで及ぶようになった。
友達の和也、ふみちゃん、そして僕の父親、加速度的に消えてゆく。
僕は怖くなり、家の近くの大都市へ走って向かった。
大都市に着くと、僕は恐ろしい光景を見ることになる。
あれほどまでに高かったビルは白い灰となって崩れてゆき、いつもなら町を埋め尽くす大勢の人々は数えるほどしかいなかった。
そしてその数少ない人間も消えてゆく。
目の前で一人、また一人、どんどん人が消えてゆき、最後に僕が残った。
あれほどまでに眩しかった大都市はただの荒野と化した。
すると、空が眩しく光り、ヒゲの長い男が空から現れた。
「私は神である。
愚かな人間どもよ。
もう一度土に還るがよい。」
そして僕も消えた。
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