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御都合記憶主義
しおりを挟む小説家である私は週に一度奇怪な話を聞く時間を設けていた
そんなある日六十代と思われる男が入ってきた
その男の話の内容は実に興味深いものだった。
これは10年ほど前の出来事です。
「博識と評判だった私の元に二十代の男女が来たのですが、
その男女はある日目が覚めると体が入れ替わっていたのだと訴えていました。
私は考えた結果、二人に結婚することを進めました。
結婚して互いに入れ替わったことがばれないように本物のふりをして戻るすべを探せばいいと。
男女はそれを聞くと驚き動揺していました。
何時間か話し合い納得したのか、私に礼を言い、彼らは部屋から出て行きました」
「ほう、それでそのあとその二人はどうなったのですか?」
「はい、実はそのあと一年たってからあの二人はどうなっただろうと思い二人の家に向かいました。
実は三週間後に私の家に二人から結婚の報告を受けていたので場所はわかっていました。
家に着き、ドアを開けると二人は仲良くしていたので私は二人にあの後結局二人は元に戻れたのかい?と尋ねました。
すると二人はなんの話をしているのだろうと首を傾げました
どうもおかしいと私は二人に一年前にふたりが依頼に来たこと、そして体が入れ替わったことを話しました
すると驚いたことに二人は大きい声で笑い転げました。
二人はあなたに尋ねたのはどの曜日に結婚するのが縁起がいいのかということだけだというのです。
この時私は悟りました。」
「ほう、何を悟ったのですか?」
「二人は互いに相手のふりをしていくうちに本当の自分を忘れてしまったのです
そしてそれに都合よく自分自身の記憶をも改変していったのです」
「そんなことがあり得るのですか?」
「えぇ、人間の記憶というのは実に不確かなものです。生きているうちに自分に都合の悪い記憶はいいように、改変されていくのです。」
男は話し終えると部屋から出て行った
今回の話は誠に興味深いものだった
人間は知らないうちに都合のいいように記憶を改変している。
私はおもむろにノートを取り出し今回の話をメモした。
この話はいつか小説にしようと思う。
記憶が変わらないうちに。
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