21 / 21
◆2章 たとえそれが徒夢であっても溺れたい
017.がらんどうな二人にはお似合いでしょう?★
しおりを挟む
★R18
__仄暗い部屋にアリスとオーウェンは居た。
身体をベッドへ沈ませてアリスは過ぎた欲望を一身に受ける。それから、愛おしいその人を見上げた。彼はゆったりと微笑みながら、キスをひとつアリスに落とした。ぽたりとオーウェンの汗が落ちてきて擽ったい。アリスは小さく身悶えた。
「__アリス」
オーウェンはアリスと目が合うと腰を揺さぶるのは止めないまま、彼女の名前を呼んだ。すると彼女のナカがキュンと締まるので、思わず笑みを零してしまう。
「......は、んん、お、おーうぇんさ、ま」
アリスは燻る熱に翻弄されながら彼の名前を呼んだ。オーウェンの吐いた息が首筋にあたり身体をほんの少しだけ強ばらせる。オーウェンはアリスの首筋に唇を寄せて、その白に吸い付いた。それを何回か繰り返されたが、身を捩ることすら許されないくらいに囲われたアリスの身体に逃げ道などなく、その狂うような感覚にひたすらに蹂躙されていく。
「はは、......蕩けた顔してる。かわいい」
「やら、そこやぁ!も、止めて......っんん!」
「やだ、じゃないよね?」
__この時間が始まってどれくらい経っただろう。
アリスは立てた足をガクガクと震わせながら甘い声を漏らす。オーウェンはそれを貪るように口付けを落としながら、柔らかい乳房に手を置き、焦らすようにさわさわと触れながら腰を彼女に打ち付け続ける。すると、彼女の細くて白い身体はシーツの海の中で厭らしく溺れていった。
「は、...ん、......っ」
「ひ、んんっ!?...ふ、ぁ、__~~~っ!」
オーウェンはそんな彼女をさらに沈めるように奥深くを抉るように押し上げる。オーウェンの口付けから解放されたアリスは彼にしがみつきながら身体を大きく仰け反らせて、もう何度目になるか分からない絶頂に声を上げた。
(オーウェン様はケダモノ。......間違いない、絶対そうだ......)
アリスは頭の中でそんなことを考えた。情事が始まる前に思わず口にした"それ"を再確認させられる。オーウェンの熱い身体を近くに感じながら、アリスはまだまだ終わらない夜の逢い引きにそろそろ限界が来た気がして内心頭を抱えたかったが、それをする余裕すらないくらいにオーウェンに翻弄され続けている。
「あ、ァ、っんん、ふ、ううっ」
「アリス、は、ん、......気持ちいい?」
「あぁ、んむ、ひぁあんっ」
「アリス?」
「は、はひ、......きもちい、きもちい、です」
まだまだ夜が更けきらないくらいの時間に長い長い愛撫の末、彼のモノがアリスに入ってきた訳だが、オーウェンは、それからずっとこの前のように激しくではなく、まるで堪能しているようにゆっくりと丁寧にアリスの"良いところ"を的確に突いてくる。
すでに夜はとうに更け、二人は随分と長時間こうしている。激しくないとはいえ、これはこれで辛い。前回と違い、快感をよく拾うようになった身体は甘い刺激に簡単に解かされてしまった。
「あ、んっ、は、はぁ、ふぁあんっ」
「くっ......、凄い締めつけ」
ギュウギュウと伸縮を繰り返しすナカが、オーウェンのそれを包み込んでチュパチュパとキスをして、まるで食べようとしているかのように絡みつく。それでも負けずに一切変わらない速度で彼女の弱い所を擦って、押し潰すとまた彼女の身体が一層大きく跳ねた。どうやら、達してしまったらしい。
「止まって、ください。い、いってる!は、はぁ、ひぅん、ぁ、あんっ」
「......っ、はあ」
「ん、んんっ」
オーウェンは懇願する彼女にキスを落として、言われた通り止まる。しかし、先程から淫らに動く彼女の腰は止まっていないので彼女は相変らず快感に悶えた。
どうやら自分の腰がこんな風に動いていることに気付いていないらしい。そんなアリスに合わせてオーウェンはまた動き出した。
"良いところ"を一つ一つ覚えて善がる彼女を見下ろして、思わず笑みを深めていく。
「やぁ、あっ、ああん」
「これは、気持ちいい?」
「は、い......っ!」
じゅぶ、じゅぶ、とはしたない音が部屋に響いて彼女の甘い嬌声と一緒になる。熱くねっとりと絡みつく腟内を揺すり、擦り、それから的確に奥を突く。時間をかけてグズグズにアリスを溶かしたオーウェンは、ずっと触れていなかった彼女の花芽に手を置いた。すると彼女の身体がビクリと跳ねた気もしたが、構わずにそれをギュッと摘む。
「ひぃいんっ!そこ、一緒やあ!は、あぁぁぁっっ!は、んっ!」
「ふふ、達してしまったね?」
「あ、あ......」
激しい快感に身体をガクガクと震わせるアリスは、オーウェンにギュッとしがみついた。それが堪らなく可愛くてオーウェンは止めるどころか、さらに刺激を強くする。摘むだけじゃなく、捏ねて、突いて、それから優しく撫でた。
そうすると彼女の中は更に湿っていき、下の口からはしたなく涎を垂らし続けた。自分のせいでドロドロと溶けていく彼女を見て、オーウェンはさらに大きく膨らんだ熱をそのまま彼女に叩きつけるように揺さぶった。
「ひ、う、んんっ!は、ぁあ、あんっ。~~~っ!」
「う、はっ、ぁ」
彼女のナカに白濁を出すと、彼女の中は痙攣しながらそれをしっかりと飲み込んでいく。じゅぶ、じゅぶと鳴る水音を大きく鳴らしながら、オーウェンは彼女の中に己を刻み込むように腰を動かし、それから浅い息を繰り返すアリスの頬にかかる髪を退かしてやった。
呆然とオーウェンを見上げてくるアリスの目はとろんと蕩けていて、オーウェンは思わずそっと彼女の頬に片手を置いた。
__こんな表情を見れるのは自分だけだ。
そう思うとオーウェンは堪らなく嬉しくなった。"あの見なれた表情"以外を沢山見ることができて、オーウェンの胸の奥にずっと留まり続ける棘がほんの少しだけ無くなってしまったような、そんな感覚がした。
「大丈夫?身体辛くない?」
「......はい」
もちろんオーウェンは、アリスが身体が弱いのは分かっている。今日は無理をさせてしまったが大丈夫だろうか?そんなことを考えながら彼女を見下ろした。
彼女の身体の弱さは魔力から来るものだから、と得意の"感知"で彼女の魔力に大きな乱れがないかを確認する。少しだけ魔力に乱れがあるように感じられたが、体調を大きく崩す程じゃないだろう。それを確認してから、オーウェンは自身を彼女のナカから引き抜こうとした。
「ん、ぅ、ぁあっ」
しかし、ヒクヒクとひくつく彼女のナカはまだまだ物足りないのか、それとも生理的な現象なのかオーウェンのモノを追い掛けるように絡みついた。大方後者であることは分かっていたが、そんな感覚を覚えるとまた欲望がムクムクと湧いてきて、自身の煩悩に思わず苦笑してしまった。
「.....アリス、これで最後にするから」
「ひ、あ、んんっ」
アリスはアリスでようやくこの行為の終わりが見えたと思ったのに、まだまだやる気のある様子オーウェンに正直戦いた。
(え、なんで?もう終わりじゃないの?)
虚ろな目で彼を見れば、やんわりと細められた目に捉えられる。それにゾクリとしたものが背を駆けて、やがてぼんやりと諦観が浮かんでくる。
王子様然としているし、というか本物の王子様であるし、顔も綺麗だし、声も聞きやすい低さであるし、普段は柔らかく微笑むのに、こういう行為をする時やアリスに悪戯を仕掛ける時は様々な顔を見せてくれる。
(仕方ない。.....諦めよう)
婚約してまだほんの僅かしか経っていないが、アリスはオーウェンにほぼ陥落していた。何が仕方ないのか分からないが、オーウェンのその表情を見てしまうと何だかまだまだ流されても良い気がしてくる。厄介な魔法にかかったような気分に浸りながら、アリスは小さく息をついた。
それからまたアリスはオーウェンの良いように揺さぶられる。アリスもできるだけ応えたかったが、如何せん身体が眠気と疲労でそろそろ本当に限界だった。
(オーウェン様はケダモノだわっ!)
アリスはぼんやりとした意識の中で思わずそう心の中で叫んだ。
◇◆
オーウェンは、眠ってしまったアリスの隣に横たわる。アリスの頭を軽く上げさせて、行為前に外しておいたロストブルーが埋め込まれたペンダントを首にかけ、それから彼女の長い髪をゆっくりと撫でる。
気が済むまでそれを楽しむと、オーウェンはその身体を抱き込んだ。行為が終わり、魔法で清めた身体はサラリとしていて、柔らかい。白くて細くてしなやかなその身体だとか、鼻をくすぐる甘い香りだとかを実感してオーウェンはほっとため息をつく。
彼女は相変わらず彼に唯一の安寧を齎してくれる、そんな気がした。
(まだ、......まだ遠いなあ...)
『......?__......っ』
「うん、分かってるよ」
オーウェンは、突然騒ぎ出した"それ"に思わずそう呟いた。いつもは気にしないが、今日は応える気分になったのだ。彼の視界にはぼんやりと淡く光る"それ"がチラチラと舞っていた。
「......分かっているから、___これが最後のチャンスだって」
『......__?』
「後悔?するわけないさ。良いんだ。決めていたからね。......アリスを1人だけ堕とすわけにはいかないだろう?」
オーウェンは眠気を覚えながらゆったりとそう呟いた。その顔には笑みすら浮かんでいる。彼の深い深い青い目は、いつだって彼女だけを見つめていた。そう、___。
「......__」
夜に同化していく意識の中でオーウェンはぽつりと魔法を唱えた。アリスに渡したロストブルーが淡い光を放つ。青色の光が部屋の中に溢れてからゆっくりと消失した。
(これで効果が持つと良いけれど......)
そう心の中で呟いて、眠るアリスの首筋にそっと手を置いた。細くて白い首をそっと撫ぜてからオーウェンは目を閉じる。
「まだその時ではない、よね?」
誰に言うでもなくそれを問うてから、彼は彼女の首から手を離す。そして、ようやく眠りにつくために目を閉じる。
「どうか俺の隣にいる時だけでもよい夢が見られますように」
彼女が笑っていられるような佳い良い好い善い夢が彼女に与えられたなら、それだけでもオーウェンにとっては僥倖だった。
(__誰にも俺たちの邪魔はさせてやらない)
そんなことを考えながら、オーウェンは淡い微睡みに落ちた。
__仄暗い部屋にアリスとオーウェンは居た。
身体をベッドへ沈ませてアリスは過ぎた欲望を一身に受ける。それから、愛おしいその人を見上げた。彼はゆったりと微笑みながら、キスをひとつアリスに落とした。ぽたりとオーウェンの汗が落ちてきて擽ったい。アリスは小さく身悶えた。
「__アリス」
オーウェンはアリスと目が合うと腰を揺さぶるのは止めないまま、彼女の名前を呼んだ。すると彼女のナカがキュンと締まるので、思わず笑みを零してしまう。
「......は、んん、お、おーうぇんさ、ま」
アリスは燻る熱に翻弄されながら彼の名前を呼んだ。オーウェンの吐いた息が首筋にあたり身体をほんの少しだけ強ばらせる。オーウェンはアリスの首筋に唇を寄せて、その白に吸い付いた。それを何回か繰り返されたが、身を捩ることすら許されないくらいに囲われたアリスの身体に逃げ道などなく、その狂うような感覚にひたすらに蹂躙されていく。
「はは、......蕩けた顔してる。かわいい」
「やら、そこやぁ!も、止めて......っんん!」
「やだ、じゃないよね?」
__この時間が始まってどれくらい経っただろう。
アリスは立てた足をガクガクと震わせながら甘い声を漏らす。オーウェンはそれを貪るように口付けを落としながら、柔らかい乳房に手を置き、焦らすようにさわさわと触れながら腰を彼女に打ち付け続ける。すると、彼女の細くて白い身体はシーツの海の中で厭らしく溺れていった。
「は、...ん、......っ」
「ひ、んんっ!?...ふ、ぁ、__~~~っ!」
オーウェンはそんな彼女をさらに沈めるように奥深くを抉るように押し上げる。オーウェンの口付けから解放されたアリスは彼にしがみつきながら身体を大きく仰け反らせて、もう何度目になるか分からない絶頂に声を上げた。
(オーウェン様はケダモノ。......間違いない、絶対そうだ......)
アリスは頭の中でそんなことを考えた。情事が始まる前に思わず口にした"それ"を再確認させられる。オーウェンの熱い身体を近くに感じながら、アリスはまだまだ終わらない夜の逢い引きにそろそろ限界が来た気がして内心頭を抱えたかったが、それをする余裕すらないくらいにオーウェンに翻弄され続けている。
「あ、ァ、っんん、ふ、ううっ」
「アリス、は、ん、......気持ちいい?」
「あぁ、んむ、ひぁあんっ」
「アリス?」
「は、はひ、......きもちい、きもちい、です」
まだまだ夜が更けきらないくらいの時間に長い長い愛撫の末、彼のモノがアリスに入ってきた訳だが、オーウェンは、それからずっとこの前のように激しくではなく、まるで堪能しているようにゆっくりと丁寧にアリスの"良いところ"を的確に突いてくる。
すでに夜はとうに更け、二人は随分と長時間こうしている。激しくないとはいえ、これはこれで辛い。前回と違い、快感をよく拾うようになった身体は甘い刺激に簡単に解かされてしまった。
「あ、んっ、は、はぁ、ふぁあんっ」
「くっ......、凄い締めつけ」
ギュウギュウと伸縮を繰り返しすナカが、オーウェンのそれを包み込んでチュパチュパとキスをして、まるで食べようとしているかのように絡みつく。それでも負けずに一切変わらない速度で彼女の弱い所を擦って、押し潰すとまた彼女の身体が一層大きく跳ねた。どうやら、達してしまったらしい。
「止まって、ください。い、いってる!は、はぁ、ひぅん、ぁ、あんっ」
「......っ、はあ」
「ん、んんっ」
オーウェンは懇願する彼女にキスを落として、言われた通り止まる。しかし、先程から淫らに動く彼女の腰は止まっていないので彼女は相変らず快感に悶えた。
どうやら自分の腰がこんな風に動いていることに気付いていないらしい。そんなアリスに合わせてオーウェンはまた動き出した。
"良いところ"を一つ一つ覚えて善がる彼女を見下ろして、思わず笑みを深めていく。
「やぁ、あっ、ああん」
「これは、気持ちいい?」
「は、い......っ!」
じゅぶ、じゅぶ、とはしたない音が部屋に響いて彼女の甘い嬌声と一緒になる。熱くねっとりと絡みつく腟内を揺すり、擦り、それから的確に奥を突く。時間をかけてグズグズにアリスを溶かしたオーウェンは、ずっと触れていなかった彼女の花芽に手を置いた。すると彼女の身体がビクリと跳ねた気もしたが、構わずにそれをギュッと摘む。
「ひぃいんっ!そこ、一緒やあ!は、あぁぁぁっっ!は、んっ!」
「ふふ、達してしまったね?」
「あ、あ......」
激しい快感に身体をガクガクと震わせるアリスは、オーウェンにギュッとしがみついた。それが堪らなく可愛くてオーウェンは止めるどころか、さらに刺激を強くする。摘むだけじゃなく、捏ねて、突いて、それから優しく撫でた。
そうすると彼女の中は更に湿っていき、下の口からはしたなく涎を垂らし続けた。自分のせいでドロドロと溶けていく彼女を見て、オーウェンはさらに大きく膨らんだ熱をそのまま彼女に叩きつけるように揺さぶった。
「ひ、う、んんっ!は、ぁあ、あんっ。~~~っ!」
「う、はっ、ぁ」
彼女のナカに白濁を出すと、彼女の中は痙攣しながらそれをしっかりと飲み込んでいく。じゅぶ、じゅぶと鳴る水音を大きく鳴らしながら、オーウェンは彼女の中に己を刻み込むように腰を動かし、それから浅い息を繰り返すアリスの頬にかかる髪を退かしてやった。
呆然とオーウェンを見上げてくるアリスの目はとろんと蕩けていて、オーウェンは思わずそっと彼女の頬に片手を置いた。
__こんな表情を見れるのは自分だけだ。
そう思うとオーウェンは堪らなく嬉しくなった。"あの見なれた表情"以外を沢山見ることができて、オーウェンの胸の奥にずっと留まり続ける棘がほんの少しだけ無くなってしまったような、そんな感覚がした。
「大丈夫?身体辛くない?」
「......はい」
もちろんオーウェンは、アリスが身体が弱いのは分かっている。今日は無理をさせてしまったが大丈夫だろうか?そんなことを考えながら彼女を見下ろした。
彼女の身体の弱さは魔力から来るものだから、と得意の"感知"で彼女の魔力に大きな乱れがないかを確認する。少しだけ魔力に乱れがあるように感じられたが、体調を大きく崩す程じゃないだろう。それを確認してから、オーウェンは自身を彼女のナカから引き抜こうとした。
「ん、ぅ、ぁあっ」
しかし、ヒクヒクとひくつく彼女のナカはまだまだ物足りないのか、それとも生理的な現象なのかオーウェンのモノを追い掛けるように絡みついた。大方後者であることは分かっていたが、そんな感覚を覚えるとまた欲望がムクムクと湧いてきて、自身の煩悩に思わず苦笑してしまった。
「.....アリス、これで最後にするから」
「ひ、あ、んんっ」
アリスはアリスでようやくこの行為の終わりが見えたと思ったのに、まだまだやる気のある様子オーウェンに正直戦いた。
(え、なんで?もう終わりじゃないの?)
虚ろな目で彼を見れば、やんわりと細められた目に捉えられる。それにゾクリとしたものが背を駆けて、やがてぼんやりと諦観が浮かんでくる。
王子様然としているし、というか本物の王子様であるし、顔も綺麗だし、声も聞きやすい低さであるし、普段は柔らかく微笑むのに、こういう行為をする時やアリスに悪戯を仕掛ける時は様々な顔を見せてくれる。
(仕方ない。.....諦めよう)
婚約してまだほんの僅かしか経っていないが、アリスはオーウェンにほぼ陥落していた。何が仕方ないのか分からないが、オーウェンのその表情を見てしまうと何だかまだまだ流されても良い気がしてくる。厄介な魔法にかかったような気分に浸りながら、アリスは小さく息をついた。
それからまたアリスはオーウェンの良いように揺さぶられる。アリスもできるだけ応えたかったが、如何せん身体が眠気と疲労でそろそろ本当に限界だった。
(オーウェン様はケダモノだわっ!)
アリスはぼんやりとした意識の中で思わずそう心の中で叫んだ。
◇◆
オーウェンは、眠ってしまったアリスの隣に横たわる。アリスの頭を軽く上げさせて、行為前に外しておいたロストブルーが埋め込まれたペンダントを首にかけ、それから彼女の長い髪をゆっくりと撫でる。
気が済むまでそれを楽しむと、オーウェンはその身体を抱き込んだ。行為が終わり、魔法で清めた身体はサラリとしていて、柔らかい。白くて細くてしなやかなその身体だとか、鼻をくすぐる甘い香りだとかを実感してオーウェンはほっとため息をつく。
彼女は相変わらず彼に唯一の安寧を齎してくれる、そんな気がした。
(まだ、......まだ遠いなあ...)
『......?__......っ』
「うん、分かってるよ」
オーウェンは、突然騒ぎ出した"それ"に思わずそう呟いた。いつもは気にしないが、今日は応える気分になったのだ。彼の視界にはぼんやりと淡く光る"それ"がチラチラと舞っていた。
「......分かっているから、___これが最後のチャンスだって」
『......__?』
「後悔?するわけないさ。良いんだ。決めていたからね。......アリスを1人だけ堕とすわけにはいかないだろう?」
オーウェンは眠気を覚えながらゆったりとそう呟いた。その顔には笑みすら浮かんでいる。彼の深い深い青い目は、いつだって彼女だけを見つめていた。そう、___。
「......__」
夜に同化していく意識の中でオーウェンはぽつりと魔法を唱えた。アリスに渡したロストブルーが淡い光を放つ。青色の光が部屋の中に溢れてからゆっくりと消失した。
(これで効果が持つと良いけれど......)
そう心の中で呟いて、眠るアリスの首筋にそっと手を置いた。細くて白い首をそっと撫ぜてからオーウェンは目を閉じる。
「まだその時ではない、よね?」
誰に言うでもなくそれを問うてから、彼は彼女の首から手を離す。そして、ようやく眠りにつくために目を閉じる。
「どうか俺の隣にいる時だけでもよい夢が見られますように」
彼女が笑っていられるような佳い良い好い善い夢が彼女に与えられたなら、それだけでもオーウェンにとっては僥倖だった。
(__誰にも俺たちの邪魔はさせてやらない)
そんなことを考えながら、オーウェンは淡い微睡みに落ちた。
10
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?
山下小枝子
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、
飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、
気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、
まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、
推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、
思ってたらなぜか主人公を押し退け、
攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・
ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた
いに。
恋愛
"佐久良 麗"
これが私の名前。
名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。
両親は他界
好きなものも特にない
将来の夢なんてない
好きな人なんてもっといない
本当になにも持っていない。
0(れい)な人間。
これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。
そんな人生だったはずだ。
「ここ、、どこ?」
瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。
_______________....
「レイ、何をしている早くいくぞ」
「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」
「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」
「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」
えっと……?
なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう?
※ただ主人公が愛でられる物語です
※シリアスたまにあり
※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です
※ど素人作品です、温かい目で見てください
どうぞよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
おもしろい!
お気に入りに登録しました~
ありがとうございます!これからもどうぞよろしくお願いします!