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巨人族の足跡
13 クルマで行ける巨人スポット
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「さて、本題に入るが……あんた、デイラボッチのことは何か知ってるか?」
孝介はそう切り出した。
「デイラボッチ……ダイダラボッチのことね? 日本全国にある巨人伝説の張本人。富士山を運んだり、琵琶湖や浜名湖を作ったり」
「そのデイラボッチについての記事を書く羽目になっちまったんだが、俺は迷信には詳しくなくってな……。ボス、あんたの知恵を貸してほしい。ここに行けばデイラボッチのことがよく分かる、って感じのスポットは何かないか?」
「ないどころか、腐るほどあるわよ」
山木田は小皿にクッキーを分けながら、
「相模原はダイダラボッチの足跡の宝庫だし、東京にも“代田”って地名があるでしょ? あれもダイダラボッチの足跡があるから“だいた”って名前がついたの。スポットには事欠かないと思うけれど?」
と、解説した。
「そりゃあそうだな。俺たちもさっきまで、相模原の鹿沼公園でいろいろと調べてたんだ。……真夜、お前のスケッチブック出してみな」
孝介にそう言われた真夜は、バッグからスケッチブックを出して「デイラボッチの足跡」の絵を山木田に見せる。
「あら、これ真夜ちゃんが描いたの? 上手ね!」
「俺も真夜にこんな特技があるなんてこたぁ知らなんだ」
「これなら松島くんの記事の挿絵にだってできるんじゃないかしら? 写実的だけど、同時にどこかエキゾチックな感じもするわね」
山木田は真夜の絵を見つめながら、
「……これだけ上手だと、あそこへ行ってもいい絵が描けるわね」
と、つぶやいた。
「あそこ?」
「ええ、ダイラボウというところ。ここもダイダラボッチの足跡で有名なんだけれど」
「どこだそこは?」
「静岡県静岡市にある、600m弱の山よ」
そう言われた孝介は、
「……山か」
と、少し残念そうに頭を掻いた。
「山も悪くはねぇし、真夜と富士山にも登ったことがあるけどな……。ただ、取材旅行はできるなら最初から最後までクルマで行きてぇ」
「松島くんはクルマが大好きだものね。あの2人乗りのオープンカー……なんて言ったかしら?」
「マツダ・NAロードスター。あんだけケツにしっくりくるクルマは、他にありゃしねぇさ」
「大丈夫よ、松島くん。ダイラボウはクルマでそのまま頂上に行けるから」
それを聞いた孝介は、
「マジか!?」
と、山木田に食いつくように反応した。
「ええ、あそこは林道が通ってるから。あなたの大事なクルマを麓で乗り捨てなくても、ダイダラボッチの足跡を見学することができるわよ」
「それなら話は別だ! おい、真夜」
孝介は真夜の顔に目をやり、
「お前、このあと家帰ったら鉛筆削っておけよ。早速明日、静岡に出かけてみようぜ」
と、告げた。
もちろん、真夜がそれを断る理由はない。この世界の高位魔操師が、ダイラボウとかいう場所を勧めたのだ。間違いなくこのダイラボウに、デイラボッチの謎が隠されているはず——。
孝介はそう切り出した。
「デイラボッチ……ダイダラボッチのことね? 日本全国にある巨人伝説の張本人。富士山を運んだり、琵琶湖や浜名湖を作ったり」
「そのデイラボッチについての記事を書く羽目になっちまったんだが、俺は迷信には詳しくなくってな……。ボス、あんたの知恵を貸してほしい。ここに行けばデイラボッチのことがよく分かる、って感じのスポットは何かないか?」
「ないどころか、腐るほどあるわよ」
山木田は小皿にクッキーを分けながら、
「相模原はダイダラボッチの足跡の宝庫だし、東京にも“代田”って地名があるでしょ? あれもダイダラボッチの足跡があるから“だいた”って名前がついたの。スポットには事欠かないと思うけれど?」
と、解説した。
「そりゃあそうだな。俺たちもさっきまで、相模原の鹿沼公園でいろいろと調べてたんだ。……真夜、お前のスケッチブック出してみな」
孝介にそう言われた真夜は、バッグからスケッチブックを出して「デイラボッチの足跡」の絵を山木田に見せる。
「あら、これ真夜ちゃんが描いたの? 上手ね!」
「俺も真夜にこんな特技があるなんてこたぁ知らなんだ」
「これなら松島くんの記事の挿絵にだってできるんじゃないかしら? 写実的だけど、同時にどこかエキゾチックな感じもするわね」
山木田は真夜の絵を見つめながら、
「……これだけ上手だと、あそこへ行ってもいい絵が描けるわね」
と、つぶやいた。
「あそこ?」
「ええ、ダイラボウというところ。ここもダイダラボッチの足跡で有名なんだけれど」
「どこだそこは?」
「静岡県静岡市にある、600m弱の山よ」
そう言われた孝介は、
「……山か」
と、少し残念そうに頭を掻いた。
「山も悪くはねぇし、真夜と富士山にも登ったことがあるけどな……。ただ、取材旅行はできるなら最初から最後までクルマで行きてぇ」
「松島くんはクルマが大好きだものね。あの2人乗りのオープンカー……なんて言ったかしら?」
「マツダ・NAロードスター。あんだけケツにしっくりくるクルマは、他にありゃしねぇさ」
「大丈夫よ、松島くん。ダイラボウはクルマでそのまま頂上に行けるから」
それを聞いた孝介は、
「マジか!?」
と、山木田に食いつくように反応した。
「ええ、あそこは林道が通ってるから。あなたの大事なクルマを麓で乗り捨てなくても、ダイダラボッチの足跡を見学することができるわよ」
「それなら話は別だ! おい、真夜」
孝介は真夜の顔に目をやり、
「お前、このあと家帰ったら鉛筆削っておけよ。早速明日、静岡に出かけてみようぜ」
と、告げた。
もちろん、真夜がそれを断る理由はない。この世界の高位魔操師が、ダイラボウとかいう場所を勧めたのだ。間違いなくこのダイラボウに、デイラボッチの謎が隠されているはず——。
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