そこは夢の詰め合わせ

らい

文字の大きさ
28 / 165
咲月

28.紅い月と桜

しおりを挟む
夜。真っ暗では無い月明かりのある夜。
その日は紅い月であったがために淡い紅の月明かりが差し込んでいた。

今は春先であるので桜が咲いている。これを夜桜と言うのであろう。桜の花びらが夜の紅い月明かりに向かって翔ぶ。

「こんな夜更けにお散歩ですか?」

男性の声がした。少し丘になっている場所の上に座っていた。その丘には一際大きな枝垂れ桜しだれざくらが植わって居た。

私は一瞬『鬼』か何かと思った。少し大きな盃を持ち、オレンジ色の髪は月明かりと相まって紅い色に近かったからだ。数秒の後、彼が人であるということに気づいた。

「えぇ、紅い月とは珍しいと思ったもので」

私は何気なく彼に返事をする。
彼は噂になるほどの美形であり、この辺に住んでいる私も知らない顔だった。

風が吹く。桜の花びらが風で舞い、紅い月に向かって飛んでいく。私はそれを何気なく見ていたのだが、どうにもおかしい。紅い月に向かってしか花びらは飛んで行かないのだ。
別のところに行ってもいい筈なのに。

「気づかれましたか?ここがおかしい事に」

彼の声が響く。風は消え、音が消えた。彼の声しか聞こえない。枝が触れる音、葉が触る音、風の音、地面を踏みしめる音、何も聞こえない。

よく考えたら『

「気づかれましたか?貴女は。それは良かったですね。貴女は生きていられるのだから。」

口角を吊り上げ彼が盃の酒の飲み干すと私の視界は暗転し、気がついたら自分のベットの上だった。

「夢・・・・?」

そう言った時、手に何かが触れた。
そこには紅く染まった桜の花びらがあった。
窓は閉まっているはずなのに。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

処理中です...