135 / 165
結月
118.月夜と陽
しおりを挟む
夕暮れ時。皆が夕暮れを見ながら、夕暮れに向かいながら帰ってる時、ただ一人だけ夕暮れに背を向けている人が居た。俯いて太陽ではなく、月へ。明るいではなく、暗い方へ。
彼が初めて顔を上げた時、そこは夜だった。
星々と月が輝き、辺りは闇が来ている。
彼が走り出したのはすぐ後のことだった。
「俺の何が悪かったんだろうな・・・」
彼が走るのを辞めたのは、彼がもう一度ソラを見たのは、丘で寝転がった時だった。
「こんな夜更けにどうしたんです?」
声が聞こえた。女性の声だ。しかし彼は何故か声の出処を探そうとはせずに独り言のようにポツポツと話していく。
「それはそれは・・・おつかれだったでしょう」
彼女の声を聞いている間に眠くなったのかもう一度目が覚めた時、そこには明るくなる空があった。そして彼の近くに、1匹の猫がいた。珍しい色をした猫。
「見守ってくれたのか・・・俺は護られてばっかりだなぁ・・・」
丘の上で手を広げ、晴れ晴れとした表情で寝転がった彼が猫をもう一度見ようと視線を落とした時、そこには何もいなかった。
「貴方ならもう大丈夫」
そう聞こえた気がした。
彼が朝日に向かって走っていったのを確認した後、奥の木の裏から彼女が出てきた。
誰も見ていなかったが、誰も彼女を知らないが、彼女が彼に笑いかけた笑顔はきっと一番美しいものだっただろう。
彼が初めて顔を上げた時、そこは夜だった。
星々と月が輝き、辺りは闇が来ている。
彼が走り出したのはすぐ後のことだった。
「俺の何が悪かったんだろうな・・・」
彼が走るのを辞めたのは、彼がもう一度ソラを見たのは、丘で寝転がった時だった。
「こんな夜更けにどうしたんです?」
声が聞こえた。女性の声だ。しかし彼は何故か声の出処を探そうとはせずに独り言のようにポツポツと話していく。
「それはそれは・・・おつかれだったでしょう」
彼女の声を聞いている間に眠くなったのかもう一度目が覚めた時、そこには明るくなる空があった。そして彼の近くに、1匹の猫がいた。珍しい色をした猫。
「見守ってくれたのか・・・俺は護られてばっかりだなぁ・・・」
丘の上で手を広げ、晴れ晴れとした表情で寝転がった彼が猫をもう一度見ようと視線を落とした時、そこには何もいなかった。
「貴方ならもう大丈夫」
そう聞こえた気がした。
彼が朝日に向かって走っていったのを確認した後、奥の木の裏から彼女が出てきた。
誰も見ていなかったが、誰も彼女を知らないが、彼女が彼に笑いかけた笑顔はきっと一番美しいものだっただろう。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる