IRIAMクエスト

らい

文字の大きさ
2 / 39
戻ってきた夜

1、天使に愛されし街

しおりを挟む
ここはグロー・ウッドと言われる世界の、
シー大陸端の街、『魔王城サケライト』に一番近い街、「ライト」での物語。
その物語をここに書き記す。

今日も多くの冒険者がこの街を拠点として魔物を狩っている。
冒険者ギルド「海の雷霆らいてい」では多くの冒険者がクエストを受注している。

「みなみ~!酒~!まだまだくれ!」

「茶ふぃまだ飲むの~?そろそろ止めなー?儲かるから別にいいけど~」

冒険者ギルド「海の雷霆」専属の飲み屋「空の風」看板娘、朝倉みなみとベテラン冒険者のはずなのに酒飲みとして覚えられている犬の獣人、茶ふぃのやり取りもいつも通りである。ちなみに冒険者ギルドの2階のアトリエで『空間を切り取った様な絵を書く絵師』として絵を書いているのが朝倉みなみの姉の
朝倉梓である。

「おい、知ってるか?この街で信仰されている天使って本当に居て、時々街を歩いているってウワサ!」

「え?それ本当なのか?天使様ってほんとにおるんか!?」

この街で信仰されている天使とは、街の端にある教会で崇められている天使のことである。この天使の御言葉を代弁するシスターとその補佐が教会で祈りを捧げている。
一見シスターや補佐は絶えず祈りを捧げる為休みがないと思われるだろうが、教会の横に街の中では珍しい、植物に囲まれた家がある。その家にはよくシスターが出入りしているという。ある冒険者の話によるとそこは占いをしてくれる家であり、見たこともないような石や、鉱石が置いてあったと言う。その家の奥には占いをしてくれる女性が一人佇んでおり、その女性の占いはとても当たると言う。

さて、冒険者の仕事だ。魔物を倒すことで生計を立てているのだが、ほぼこの街の周りに危険な魔物は居ない。しかし、町外れの野原に、大量発生したスライムを狩ることが仕事である。スライムも言っても形はとても様々である。普通の丸いスライム、四角い壁のようなスライム、液体のような姿のもの、とても大きいサイズのスライムなど、様々姿をしたスライムが目撃、調査されている。冒険者ギルドでは冒険者を確認するためにある腕時計が採用されている。その腕時計には冒険者としての証明書、倒した魔物の数などが自動で記録されている。しかし、ある冒険者によると絶対にスライム達は同士討ちをせず、ある一定の距離を保っているという。
そして、全てのスライムを腕時計に記録するとあるスライムが冒険者をある場所に連れていくという。そこには人のような姿をした謎の獣とゲームをする青々とした木々のような髪色をした青年に会うことができる。その二人に会うことが出来れば森の恩恵を与えられるという。あるウワサによると飲み屋で飲んだくれているベテラン冒険者と森の獣は交流があるらしい・・・。

冒険者の武器関係を支えているのはやはり武器屋である。冒険者ギルド「海の雷霆」が認めた武器屋こと、「大地の恩恵」の作る武器は持つ人によって強さが変わる武器を作ることで有名である。四代目武器屋の店長をしている。りくは、この四代で最高の鍛冶師と呼び声の高い鍛冶師である。
他にも、魔術書など、本を扱う魔導書店もある。魔導書店「7つの本」は決まって同じ場所で本を読んでいる店長ことビーストテイマー「本好もとよし」がいる。そして彼の周りには彼のサポートをするスライムが居る。このスライムは野原にいるスライムと違い、意思疎通のできるユニークモンスターなのである。しかし、声を聞いた冒険者は居ないらしい。

カランカラン~

魔導書店「7つの本」に今日も誰かが入ってきた。いつもは動かないはずのスライムが急いで階段を降り、その来客へと飛びついた。

「やぁ、使さんじゃないか。今日はどんな本をお探しで?うちの子もとても嬉しがっているようで何よりです。」

スライムがぷよぷよ・・・ぷよぷよ・・・

「今日はゆっくり読めるような物語風の本を探しているの。何かないかな?」

ぷよぷよ・・・ぷよぷよ・・・

「あぁごめんねスラちゃん、はい約束のプリンだよ~。」

「いつもうちの子がすいませんね。」

苦笑する店主を尻目に彼女はスライムを抱き上げる。

「いえいえ、触らせてくれているのでこの位はですね~。あとは?今日は来てないの?」

「まだ来ていませんね。いつもお茶会の予定の時は早いはずなんですがね・・・」

その時だった。

カランカラン~

「すいません。先に俺が連絡しに来ました。冒険者が多いため少し回り道をしてくるらしいです。あのは顔が割れてますから・・・」

そう言って入ってきたのは緑の髪をした青年だった。普通なら誰も知らないその青年。しかし、二人と一匹には何を示しているのか、誰なのかを知っている。

「らいさん、お疲れ様です。三人については分かりました。今日も連絡ご苦労さまです。また面白そうな本を探しておきますね。」

「らいくんお疲れ様~。あとでお菓子届けるね~。」

「二人ともありがとう~。今日はラジオ聴きながら、占いしてもらおうかな~じゃ二人ともまたね~」

カランカラン~

「これであの三人のことは分かりましたね。らいさんが情報を届けてくれるのはとてもありがたいですね。先に始めときましょうか。」

「そうだね。」

緑の髪の青年こと「らい」は武器屋へと向かう。

「よう、希代の鍛冶師サマ!」

「うわ、まだ生きてやがったんかゲーム猫」

「久々やな!またボコしてやろう!」

「今度な!」

武器屋のりくと緑の髪のらいは仲が良い様だ。しかし・・・・・・?
何か睨まれた気がする。いや、そんなわけが無い。それだとの場所がバレたことになる。

「あ、じゃまた来るわ。ちょっと野暮用!」

「了解!また来いよな!」

武器屋の扉を開け、外に出たらいは武器屋横の路地裏へと入っていった。

「ちょっとほんとに遅れるよ!」

「私のせいでごめん~」

名過なすちゃのせいじゃないよ!ええっとどこだっけ・・・?」

「んなぁ~ん」

騒いでいる3人の元に猫の鳴き声が聞こえた。その声を三人は知っている。

「あ、らいさん?」

「「緑クソ猫!?」」

『はいはいいいから、遅れるよ。着いてきて御三方。』

傍から見たら路地裏で緑の猫を追いかける三人の図である。緑の猫が路地をぬけ、橋の下をくぐり抜け、着いたのは魔導書店「7つの本」だった。

『さっさと行ってきな!遅れてるんだから!』

三人は魔導書店「7つの本」の扉、店の横にある棚のあるの本を手前に引く。すると棚が横へとずれる。そこには店の中などではなく、
草原が広がっていた。

「早く行こう!が待ってる!」

「そうだね。急ごう。」

三人はその中へと入っていき、ひとりでにその棚と引かれた本は元へと戻った。何も無かったかのように戻されたその世界に一匹の猫は言葉を呟く。

「さて、俺のお仕事終わりっと、あとはだな!」

緑の猫はそう言ってその場から消えた。
不穏な言葉と空気を残して。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

処理中です...