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第十三話 モリス捜査隊
その日、王夫妻はモリスの顔を見なくなったことに気づき、突然リカードに聞いてきた。
リカードは、これまでの経過とモリスを探すために捜査隊をガンダ国に派遣したことを話さざるをえなくなった。王夫妻に話をするリカードの額に脂汗が浮かび、その汗はしたたり落ちていた。だが、当然のようにそばについていたガーナルは違った。得意そうに王子の話に割り込んできたのだ。
「王様、ここでガンダ国の非を明らかにできれば、ギルドをフタ―ク国のものにできますし、ガンダ国の療養所をつぶすことがでれば、こちらで行っている治療所がふたたび活況になりますわ」
たしかに、フタ―ク国の聖女たちがやっていた治療所は人が来なく成っていた。
「なるほど、それならば、モリス捜査隊を出してもいいのう」
「もう出しているんですよ。ねえ、リカード様」
「はい、父ぎみ。すでに捜査隊を出動させております」
うなずいている王夫妻の顔を見て、ガーナルは笑みを浮かべていた。うまく言いくるめることができたと思っていたからだ。
同じ頃、ガンダ国にやってきた捜査隊たちは、すぐに診療所に行った。彼らは治療室に入りアンナの前に立っていた。
「モリスという者があんたを訪ねて来たと思うのだが、いまどこにいるのかね?」と、捜査隊の隊長は訊いていた。
「答える必要はないと思います」
「答えることができない。それはギルドの兵士たちを使って殺させたからではないのかね?」
他の捜査隊員の六人は剣に手をかけ、アンナを逮捕する気でアンナを取り囲んだ。
すると、治療台に寝ていた男が枕元に置いていた剣を手に治療台からおりてきた。
「アンナ様に、おかしなことをする者は、私たちがゆるさない」と、抜いた剣を隊長の胸につきつけた。すると、ギルドの兵士たちが次々とやってきて捜査隊たちを取りかこんだ。こんなことが起こるかもしれないと思ったギルド兵士たちは待合室に治療者に交じって待機していたのだ。
「待て待て、私は殺されてはいない」と言って囲みの輪の中にモリスは入っていった。
「ガーナル様のことだ。あれで済むわけがないと思っていたが、やはりその通りであったな」
ため息をつくモリスは、入れ墨の眉毛に痩せた体で別人にしか見えない。だが、その言い方や態度に、彼がモリスであることに捜査隊の者たちは気がついた。
「モリス様ですか? モリス様ですよね」
「その通りだよ」
モリスから話を聞いた捜査隊たちは、戸惑いの表情を浮かべていた。
「モリス様が生きておられるのであれば、この国でモリス様を殺した者を捜せるはずがない。当然、私たちがすべきことも無くなってしまった」と、捜査隊長は顔をさげていた。
「それに、これだけのギルド兵を相手にしては、勝てるはずはない」
捜査隊の面々は剣の上に置いていた手をさげていた。
「剣を抜きあえば、ここであなた方は死んでいる。ならば、新たな生き方をしてみるきはないかね」と、モリスは言いだしたのだ。
「どうすればいいのですか?」と捜査隊長が聞いていた。
「私に任せて貰いたい」
捜査隊員たちは、前はモリスの下で働いていた警備隊員たちばかりだ。こんな事態になっても、モリスは警備隊員たちに信頼されていたのだ。彼らはうなずいていた。
「それならば、ガンダ国の王妃エルザ様に会っていただこう」
モリスについて捜査隊員たちが二十分ほど歩くと、住居地域から外れた草地の中に学校のような建物が幾つもたっているのが見えてきた。それらの多くは、新しく建てられたギルド兵士たちの寄宿舎であった。その中心にあって少し高い屋根をもっているのが宮殿だった。
モリスは捜査隊たちをつれて宮殿の建物の中に入ると、すぐに王妃の間に彼らを連れていった。
「その者たちは?」と、エルザが聞いてきた。
モリスはエルザにここにいる者たちが自分を殺されたと考えて、その犯人を捕まえにきた話をした。
「モリスは死んではいない。どうするつもりですか?」
「本当のことを報告をすれば、ガーナル様やリカード様の面子をつぶすことになるだけです。どんな怒りにふれることか。私たちはどうすればいいのか、わかりません」と、捜査隊の面々は首を横に振っていた。
「まさか、アンナやモリスに死ぬような目にあわせたライタルを殺して、それを土産にフターク国に戻ろうなんて考えてはいないでしょうね?」
「いえいえ、そんなことを考えてもおりません」と、捜査隊長が代表して答えていた。
「ならば、私に仕える気はありますか?」
「エルザ様は私らに仕えさせてくれるのですか?」
「そうですよ」
「エルザ様さえ、よろしければ、仕えさせてください」と、捜査隊の者たちは声をあわせていた。
エルザは、笑っていた。
「エルザ様にお仕えするとして、私どもは何をすればよろしいのでしょうか?」
「他国からやってきてギルドに入りたいという者が増えております。だが、戦に参加したこともなく剣を手にしたことがない者さえいる。それでも採用をして欲しいと言ってくるのですよ。しかたがありません。まずは武器の使い方や兵士としての基礎t的な知識を教えてやらなければならない。だが、それを教える教師がたりない。そこで、あなたがたには、その教師役をやってもらうつもりですよ」
「それならば、私どもでも、できることだと思います」と言って、捜査隊長は横にいた仲間と顔を見合わせていた。
リカードは、これまでの経過とモリスを探すために捜査隊をガンダ国に派遣したことを話さざるをえなくなった。王夫妻に話をするリカードの額に脂汗が浮かび、その汗はしたたり落ちていた。だが、当然のようにそばについていたガーナルは違った。得意そうに王子の話に割り込んできたのだ。
「王様、ここでガンダ国の非を明らかにできれば、ギルドをフタ―ク国のものにできますし、ガンダ国の療養所をつぶすことがでれば、こちらで行っている治療所がふたたび活況になりますわ」
たしかに、フタ―ク国の聖女たちがやっていた治療所は人が来なく成っていた。
「なるほど、それならば、モリス捜査隊を出してもいいのう」
「もう出しているんですよ。ねえ、リカード様」
「はい、父ぎみ。すでに捜査隊を出動させております」
うなずいている王夫妻の顔を見て、ガーナルは笑みを浮かべていた。うまく言いくるめることができたと思っていたからだ。
同じ頃、ガンダ国にやってきた捜査隊たちは、すぐに診療所に行った。彼らは治療室に入りアンナの前に立っていた。
「モリスという者があんたを訪ねて来たと思うのだが、いまどこにいるのかね?」と、捜査隊の隊長は訊いていた。
「答える必要はないと思います」
「答えることができない。それはギルドの兵士たちを使って殺させたからではないのかね?」
他の捜査隊員の六人は剣に手をかけ、アンナを逮捕する気でアンナを取り囲んだ。
すると、治療台に寝ていた男が枕元に置いていた剣を手に治療台からおりてきた。
「アンナ様に、おかしなことをする者は、私たちがゆるさない」と、抜いた剣を隊長の胸につきつけた。すると、ギルドの兵士たちが次々とやってきて捜査隊たちを取りかこんだ。こんなことが起こるかもしれないと思ったギルド兵士たちは待合室に治療者に交じって待機していたのだ。
「待て待て、私は殺されてはいない」と言って囲みの輪の中にモリスは入っていった。
「ガーナル様のことだ。あれで済むわけがないと思っていたが、やはりその通りであったな」
ため息をつくモリスは、入れ墨の眉毛に痩せた体で別人にしか見えない。だが、その言い方や態度に、彼がモリスであることに捜査隊の者たちは気がついた。
「モリス様ですか? モリス様ですよね」
「その通りだよ」
モリスから話を聞いた捜査隊たちは、戸惑いの表情を浮かべていた。
「モリス様が生きておられるのであれば、この国でモリス様を殺した者を捜せるはずがない。当然、私たちがすべきことも無くなってしまった」と、捜査隊長は顔をさげていた。
「それに、これだけのギルド兵を相手にしては、勝てるはずはない」
捜査隊の面々は剣の上に置いていた手をさげていた。
「剣を抜きあえば、ここであなた方は死んでいる。ならば、新たな生き方をしてみるきはないかね」と、モリスは言いだしたのだ。
「どうすればいいのですか?」と捜査隊長が聞いていた。
「私に任せて貰いたい」
捜査隊員たちは、前はモリスの下で働いていた警備隊員たちばかりだ。こんな事態になっても、モリスは警備隊員たちに信頼されていたのだ。彼らはうなずいていた。
「それならば、ガンダ国の王妃エルザ様に会っていただこう」
モリスについて捜査隊員たちが二十分ほど歩くと、住居地域から外れた草地の中に学校のような建物が幾つもたっているのが見えてきた。それらの多くは、新しく建てられたギルド兵士たちの寄宿舎であった。その中心にあって少し高い屋根をもっているのが宮殿だった。
モリスは捜査隊たちをつれて宮殿の建物の中に入ると、すぐに王妃の間に彼らを連れていった。
「その者たちは?」と、エルザが聞いてきた。
モリスはエルザにここにいる者たちが自分を殺されたと考えて、その犯人を捕まえにきた話をした。
「モリスは死んではいない。どうするつもりですか?」
「本当のことを報告をすれば、ガーナル様やリカード様の面子をつぶすことになるだけです。どんな怒りにふれることか。私たちはどうすればいいのか、わかりません」と、捜査隊の面々は首を横に振っていた。
「まさか、アンナやモリスに死ぬような目にあわせたライタルを殺して、それを土産にフターク国に戻ろうなんて考えてはいないでしょうね?」
「いえいえ、そんなことを考えてもおりません」と、捜査隊長が代表して答えていた。
「ならば、私に仕える気はありますか?」
「エルザ様は私らに仕えさせてくれるのですか?」
「そうですよ」
「エルザ様さえ、よろしければ、仕えさせてください」と、捜査隊の者たちは声をあわせていた。
エルザは、笑っていた。
「エルザ様にお仕えするとして、私どもは何をすればよろしいのでしょうか?」
「他国からやってきてギルドに入りたいという者が増えております。だが、戦に参加したこともなく剣を手にしたことがない者さえいる。それでも採用をして欲しいと言ってくるのですよ。しかたがありません。まずは武器の使い方や兵士としての基礎t的な知識を教えてやらなければならない。だが、それを教える教師がたりない。そこで、あなたがたには、その教師役をやってもらうつもりですよ」
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