聖女の強い力を持ったことをうとまれ、泥棒の汚名をきせられて、国を追放されたのだが、異国で聖女として大活躍をすることができた件

矢野 零時

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第二十三話 戴冠式 

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 突然、アンナはエルザに呼ばれた。
「王妃様、なにかごようでしょうか?」
「ライタルが正式に王となるための戴冠式が行われるそうよ。これを行うにあたり、各国の王たちが呼ばれることになる。それに私も呼ばれているのだけれど、ギルド利用者が急激に増え出してね。それにギルドのパーティからライタル、メリカ、ペラルの三人も抜けられたのよ。その補充をしなければならないわ。誰をえらべば、いいのかしら?  
 そこで、私のかわりにライタルの戴冠式には、あなたに行ってもらいたいのよ」
「私には聖女としての仕事がございます」
 すると、エルザはにやりと笑った。
「あら、あなたが連れてきた聖女たちも頑張ってくれているわよ」
「はい、確かに私を大いに助けてもらっております」
「じゃ、行ってくれるわね。何か起きると心配ですので、行くときにはメリカとペラルをつけさせるわよ」

 五日後、アンナは二人に付き添われてインガ国にいた。
 メリカとペラルはアンナにつききりで、着付け職人に言いつけて、これまで考えられない衣裳を着せていた。
 戴冠式は宮殿の大広間で行われた。
 各国からの王たちがライタルをとりかむようにたって、ライタルがトロ神に頭をさげてから司祭の方に向いた。司祭は王冠をライタルの頭にのせられると、集まった人たちから拍手が沸き起こっていた。 
 やがて、メリカは「こちらへ」と言ってアンナの手をとり先に立って歩き出し、アンナは後についていった。彼がアンナをつれ行った先は、ライタルのかたわらであったのだ。
「命の恩人には、いつも傍にいてもらわないと困るのでね」と言って笑いながら、ライタルはアンナの肩に手をおいた。すると、ふたたび集まった人たちから拍手が起きた。それは、まるでアンナが王妃に選ばれた者でもあるかのように、いや、すでにアンナは王妃として選ばれていたのだった。
                 
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