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ぼくが家に帰ると、すぐに「忠幸が、まだ帰ってきていないの。公園にいるはずだから迎えに行って!」と、母に言われた。
前に泣かされた忠幸が公園から戻ってこないことがあったからだ。
ぼくが公園に行くと、たしかに母の言ったとおり忠幸は公園にいた。
だが、泣いてはいなかった。
忠幸は、こうふんで顔を赤くしてジャングルジムの一番上の鉄棒に腰をかけ、木の枝をふりまわしていた。
下にいる男の子たちは忠幸を面白くなさそうに見上げていた。
隙があれば、忠幸をジャングルジムから、ひきずりおろそうと男の子たちは考えているのだ。
それなのに何故か、男の子たちは、忠幸の背後からジャングルジムを登ろうとはしていなかった?
「今日は、いつものぼくとは違うぞ」と、忠幸は大声で言い、ジャングルジムを登ってきた男の子の頭の上に木の枝をふりおろしていた。頭を打たれた男の子は下にころげ落ちていった。
「なにをやっているんだ!」と、ぼくは叫んだ。
忠幸に対して言ったつもりだったが、下にいた男の子たちは自分たちが怒られたと思ったのだろう。四方に走り公園からでていった。
「お兄ちゃん、かったよ。やっぱり、友だちをもつと違うね」
「友だち?」
「お兄ちゃん、博くんだよ」と言って、忠幸は横を向いた。だが、忠幸の向いた先には誰もいない。
「誰のことを言っているのかな?」と、ぼくは聞いた。
「博くん、ぼくと友だちになると言ってくれたんだ」
忠幸は、明るい笑顔をぼくの方に向けてきた。
「ともかく、おりておいでよ。家に帰ろう。お母さんが心配をしているぞ」
忠幸は、うなずくと、ジャングルジムをおりてきた。
「お兄ちゃん、博くんだよ」
忠幸は、正式に博をぼくに紹介してくれた。だが、ぼくには誰も見えない。少し遠くにある公園のすべり台が見えただけだ。
ぼくが忠幸に誰もいないよと言おうとしたとき、忠幸は声をあげた。
「もう、帰るのかい? じゃ、明日またあおうね!」
ぼくは忠幸の視線を追った。忠幸は公園そばの道路を見ている。博が公園からでて行ったのだろう。
だが、ぼくには、なにも見えなかった。
前に泣かされた忠幸が公園から戻ってこないことがあったからだ。
ぼくが公園に行くと、たしかに母の言ったとおり忠幸は公園にいた。
だが、泣いてはいなかった。
忠幸は、こうふんで顔を赤くしてジャングルジムの一番上の鉄棒に腰をかけ、木の枝をふりまわしていた。
下にいる男の子たちは忠幸を面白くなさそうに見上げていた。
隙があれば、忠幸をジャングルジムから、ひきずりおろそうと男の子たちは考えているのだ。
それなのに何故か、男の子たちは、忠幸の背後からジャングルジムを登ろうとはしていなかった?
「今日は、いつものぼくとは違うぞ」と、忠幸は大声で言い、ジャングルジムを登ってきた男の子の頭の上に木の枝をふりおろしていた。頭を打たれた男の子は下にころげ落ちていった。
「なにをやっているんだ!」と、ぼくは叫んだ。
忠幸に対して言ったつもりだったが、下にいた男の子たちは自分たちが怒られたと思ったのだろう。四方に走り公園からでていった。
「お兄ちゃん、かったよ。やっぱり、友だちをもつと違うね」
「友だち?」
「お兄ちゃん、博くんだよ」と言って、忠幸は横を向いた。だが、忠幸の向いた先には誰もいない。
「誰のことを言っているのかな?」と、ぼくは聞いた。
「博くん、ぼくと友だちになると言ってくれたんだ」
忠幸は、明るい笑顔をぼくの方に向けてきた。
「ともかく、おりておいでよ。家に帰ろう。お母さんが心配をしているぞ」
忠幸は、うなずくと、ジャングルジムをおりてきた。
「お兄ちゃん、博くんだよ」
忠幸は、正式に博をぼくに紹介してくれた。だが、ぼくには誰も見えない。少し遠くにある公園のすべり台が見えただけだ。
ぼくが忠幸に誰もいないよと言おうとしたとき、忠幸は声をあげた。
「もう、帰るのかい? じゃ、明日またあおうね!」
ぼくは忠幸の視線を追った。忠幸は公園そばの道路を見ている。博が公園からでて行ったのだろう。
だが、ぼくには、なにも見えなかった。
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