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忠幸は、泣きながら家に帰ってくることが無くなった。ぼくはいい方に向かっていると内心喜んでいた。
その日、帰ってきた忠幸はやたらに笑みを浮かべていた。
夕食が終わるころに、忠幸は「ぼく、友だちができたんだよ。博くんと言うんだ」とうれしそうに両親に報告をしている。だが、ぼくは顔を強張らせた。忠幸が話をしている博を、ぼくは見ることができていない。
「それはよかったわね」と母が言い、「友だちを持つことはいいことだよ」と父も笑っていた。
「もう少ししたら、ぼくの家に遊びにきてくれるんだ」
さすがに、遅い時間の話に両親は顔をくもらせた。だが、今まで友だちのいなかった忠幸にできた友だちがきてくれると、言うのだ。両親はなにも言うことはできなかった。
「ほら、玄関のチャイムがなったよ」と言った忠幸は居間から飛び出していった。
父と母に玄関のチャイムは聞こえたのだろうか?
ぼくには、なにも聞こえなかった。
忠幸が友だちを居間に連れてきた。
「お父さん、お母さん、博くんだよ。大きい人でしょう」
父も母も驚いた顔をしている。だが、それは博が大きかったからではない。やはり、博の姿を二人にも見えていなかったからだ。
忠幸は、てれたように笑うと「ぼくの部屋に行こう」と言って、見えない友だちを二階にある自分の部屋に連れていった。
やがて、一時間もたっただろうか。
二階から博を連れて忠幸はおりてきた。その後、博を家から送りだした忠幸は幸せそうに自分の部屋に戻っていった。
しばらくして、母が階段をあがって部屋にいる忠幸を見に行くと、すでに忠幸はベッドで寝息を立てていた。
戻ってきた母が食卓テーブルを前にすわると、ぼくは両親に公園で忠幸がジャングルジムに登っていたときに博が現れたことを話した。
「たしかに、いじめにあって辛いのは分かる。だが、ちゃんと現実と向きあって生きてもらわんとな」
「お父さんから、忠幸に博は幻でいない人であることを話してくださいよ」と、母は言っていた。
「そうだな。きかいを見て、忠幸に話をしよう」と言った父は腕組みをして、天井の板目をにらんでいた。
その日、帰ってきた忠幸はやたらに笑みを浮かべていた。
夕食が終わるころに、忠幸は「ぼく、友だちができたんだよ。博くんと言うんだ」とうれしそうに両親に報告をしている。だが、ぼくは顔を強張らせた。忠幸が話をしている博を、ぼくは見ることができていない。
「それはよかったわね」と母が言い、「友だちを持つことはいいことだよ」と父も笑っていた。
「もう少ししたら、ぼくの家に遊びにきてくれるんだ」
さすがに、遅い時間の話に両親は顔をくもらせた。だが、今まで友だちのいなかった忠幸にできた友だちがきてくれると、言うのだ。両親はなにも言うことはできなかった。
「ほら、玄関のチャイムがなったよ」と言った忠幸は居間から飛び出していった。
父と母に玄関のチャイムは聞こえたのだろうか?
ぼくには、なにも聞こえなかった。
忠幸が友だちを居間に連れてきた。
「お父さん、お母さん、博くんだよ。大きい人でしょう」
父も母も驚いた顔をしている。だが、それは博が大きかったからではない。やはり、博の姿を二人にも見えていなかったからだ。
忠幸は、てれたように笑うと「ぼくの部屋に行こう」と言って、見えない友だちを二階にある自分の部屋に連れていった。
やがて、一時間もたっただろうか。
二階から博を連れて忠幸はおりてきた。その後、博を家から送りだした忠幸は幸せそうに自分の部屋に戻っていった。
しばらくして、母が階段をあがって部屋にいる忠幸を見に行くと、すでに忠幸はベッドで寝息を立てていた。
戻ってきた母が食卓テーブルを前にすわると、ぼくは両親に公園で忠幸がジャングルジムに登っていたときに博が現れたことを話した。
「たしかに、いじめにあって辛いのは分かる。だが、ちゃんと現実と向きあって生きてもらわんとな」
「お父さんから、忠幸に博は幻でいない人であることを話してくださいよ」と、母は言っていた。
「そうだな。きかいを見て、忠幸に話をしよう」と言った父は腕組みをして、天井の板目をにらんでいた。
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