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11イバラの森探索
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朝、日が昇る前に私は起き、庭に出ると薬草作りに専念をする。その後、前に作っておいた薬をアンナに渡し王の体に塗ってくれるのを部屋の外で見守った。
これは、今までやり続けてきたことだった。
イバラの森があることを知ったいま、私はイバラの森探しをしたいとリカードに申し出た。リカードは大いに困った顔をしていた。カルゾ国は、魔人を雇っているゾンド国と隣接をしていて、そこの国の兵士や、雇われている魔人と遭遇する可能性があるからだ。
「ナターシャ様。お一人で出かけられては困ります。何かあったら、私はリチャード様にどう申し開きしたらいいのでしょうか!」
リカードにそう言われたのだが、諦めることはできずに、私は何度もイバラの森探しに出たいと言い続けた。
「それならば、まずクリスタルで飾られたネックレスを首にかけていただきたい。そして、出かけるときには、馬車に乗っていただきたい。何かあれば、馬車の中に逃げ込むことができますし、御者に警護のできる騎士のエフセンをつけさせます」
そこまで言ってくれたので、私はその提案を受ける入れることにした。
その日から、エフセンが用意をしてくれた馬車に乗って、イバラの森探しを始めた。
「ナターシャ様、どこへ行きますか? たしか月のしずくという薬草を探すことが目的とか」
御者がわの馬車窓を開けて、エフセンが私に聞いてきた。
残念ながら、私は月のしずくを見たことはない。祖母から花の形の説明を受けていた程度だった。
そこで本でもっと調べようと思った。私の部屋はリチャード王の亡くなられた母が使っていた図書室に通じている。そこに入ってみつけた植物総合図録という本の中に月のしずくの絵が描かれていたのだ。
それは、花は白く三日月の形で、花から青いおしべが出て、花から水がしたたり落ちているようだった。
花の姿が分かっても、それがどこにあるかが問題なのだ。それは占いの言葉を頼りにするしかない。
「ともかくイバラがある所よ。この近くでは、どこがいいかしら?」
「そうですな。街道ぞいでは、フクロウの森はどうです?」
「フクロウの森とは、どんな所なのかしら?」
「そこは、大きな木がまばらに生えているので、その隙間に灌木がたくさん生えている。灌木には、甘い実をつけるものが多いせいか、ネズミが多くいる。すると、そのネズミを食べようとして、たくさんのフクロウが集まり住んでいる所ですよ」
「そこにはイバラがあるのかしら?」
「灌木の中にイバラがあったように記憶しておりますが」
「それなら、そこへまいりましょう」
私が、そう言ったので、エフセンはすぐに馬車を走らせ出した。
やがて、馬車がとまった。
「この辺ではいかがですか?」とエフセンの声がした。
私が馬車を降りていくと、たしかにまばらな白樺の間に灌木が茂り、赤い実をつけている草も見られた。私は中に入り込み、月のしずくを捜したが、やはり見つけることはできない。私の足音に鳴き声を立てて逃げ出していくネズミの姿を見ることができた。
だが、灌木の間に、薬草らしい草は生えてはいない。生えたとしても、ネズミたちに食べられてしまったのかもしれない。
「ここには、ないみたいよ。他に森はないのかしら?」
「それでは、木が多いこんもり森に行ってみますか?」
「そこにもネズミがいるんじゃないの?」
「ネズミはいますが、ネズミをとるキツネやアナグマがたくさんいますので」
「じゃ、行ってみましょう」
こんもり森につくと、私は馬車から降りて森に入ってみた。そこで顔を下げて足元の藪の中を捜してみたが、やはり、月のしずくを見つけることはできなかった。
次の日も翌日も、街道沿いの森を見てまわった。だが、月のしずくをみつけることができなかった。
やはり、占いの言葉通り、人が簡単に行くことができない場所を探さなければならない。
さっそく、そのことをリカードにつげた。すると、リカードはしばらく考えていたようであったが、やがて顔をあげた。
「ナターシャ様、馬に乗る練習をしていただけませんか?」
「えっ、なぜですか?」
「馬であれば馬車で行けない所にも行けますし、危ない目にあった場合には馬を走らせれば逃げることができますから。もちろん、お一人では行かせません。警護のできるエフセンを同行させます」
「でも、私は馬に乗ったことなどありませんよ」と、私は笑い出していた。
「そうではないかと思っておりました。まずはエフセンに馬の乗り方の指導をさせますので、乗れるようになってください」
どうやら、馬に乗れるようにならないと、私はイバラの森を探しに行けないようだ。
その日から、私はエフセンから馬の乗り方を教えてもらうことになった。
エフセンは馬の中で一番温厚な馬を選んでくれ、使われていない馬具を探し出して私のために用意してくれた。
まず馬の背に乗ることができなければならない。私は、その練習から始めた。次に馬を歩かせなければならない。馬のリードがうまくできないので、私は何度も落馬することになった。そんな夜は、私は体を痛めて眠ることもできなかった。
私がなんとか馬に乗れるようになったのは、練習を初めてから五日目のことだった。
これで街道から離れた場所を見に行くことができる。
これは、今までやり続けてきたことだった。
イバラの森があることを知ったいま、私はイバラの森探しをしたいとリカードに申し出た。リカードは大いに困った顔をしていた。カルゾ国は、魔人を雇っているゾンド国と隣接をしていて、そこの国の兵士や、雇われている魔人と遭遇する可能性があるからだ。
「ナターシャ様。お一人で出かけられては困ります。何かあったら、私はリチャード様にどう申し開きしたらいいのでしょうか!」
リカードにそう言われたのだが、諦めることはできずに、私は何度もイバラの森探しに出たいと言い続けた。
「それならば、まずクリスタルで飾られたネックレスを首にかけていただきたい。そして、出かけるときには、馬車に乗っていただきたい。何かあれば、馬車の中に逃げ込むことができますし、御者に警護のできる騎士のエフセンをつけさせます」
そこまで言ってくれたので、私はその提案を受ける入れることにした。
その日から、エフセンが用意をしてくれた馬車に乗って、イバラの森探しを始めた。
「ナターシャ様、どこへ行きますか? たしか月のしずくという薬草を探すことが目的とか」
御者がわの馬車窓を開けて、エフセンが私に聞いてきた。
残念ながら、私は月のしずくを見たことはない。祖母から花の形の説明を受けていた程度だった。
そこで本でもっと調べようと思った。私の部屋はリチャード王の亡くなられた母が使っていた図書室に通じている。そこに入ってみつけた植物総合図録という本の中に月のしずくの絵が描かれていたのだ。
それは、花は白く三日月の形で、花から青いおしべが出て、花から水がしたたり落ちているようだった。
花の姿が分かっても、それがどこにあるかが問題なのだ。それは占いの言葉を頼りにするしかない。
「ともかくイバラがある所よ。この近くでは、どこがいいかしら?」
「そうですな。街道ぞいでは、フクロウの森はどうです?」
「フクロウの森とは、どんな所なのかしら?」
「そこは、大きな木がまばらに生えているので、その隙間に灌木がたくさん生えている。灌木には、甘い実をつけるものが多いせいか、ネズミが多くいる。すると、そのネズミを食べようとして、たくさんのフクロウが集まり住んでいる所ですよ」
「そこにはイバラがあるのかしら?」
「灌木の中にイバラがあったように記憶しておりますが」
「それなら、そこへまいりましょう」
私が、そう言ったので、エフセンはすぐに馬車を走らせ出した。
やがて、馬車がとまった。
「この辺ではいかがですか?」とエフセンの声がした。
私が馬車を降りていくと、たしかにまばらな白樺の間に灌木が茂り、赤い実をつけている草も見られた。私は中に入り込み、月のしずくを捜したが、やはり見つけることはできない。私の足音に鳴き声を立てて逃げ出していくネズミの姿を見ることができた。
だが、灌木の間に、薬草らしい草は生えてはいない。生えたとしても、ネズミたちに食べられてしまったのかもしれない。
「ここには、ないみたいよ。他に森はないのかしら?」
「それでは、木が多いこんもり森に行ってみますか?」
「そこにもネズミがいるんじゃないの?」
「ネズミはいますが、ネズミをとるキツネやアナグマがたくさんいますので」
「じゃ、行ってみましょう」
こんもり森につくと、私は馬車から降りて森に入ってみた。そこで顔を下げて足元の藪の中を捜してみたが、やはり、月のしずくを見つけることはできなかった。
次の日も翌日も、街道沿いの森を見てまわった。だが、月のしずくをみつけることができなかった。
やはり、占いの言葉通り、人が簡単に行くことができない場所を探さなければならない。
さっそく、そのことをリカードにつげた。すると、リカードはしばらく考えていたようであったが、やがて顔をあげた。
「ナターシャ様、馬に乗る練習をしていただけませんか?」
「えっ、なぜですか?」
「馬であれば馬車で行けない所にも行けますし、危ない目にあった場合には馬を走らせれば逃げることができますから。もちろん、お一人では行かせません。警護のできるエフセンを同行させます」
「でも、私は馬に乗ったことなどありませんよ」と、私は笑い出していた。
「そうではないかと思っておりました。まずはエフセンに馬の乗り方の指導をさせますので、乗れるようになってください」
どうやら、馬に乗れるようにならないと、私はイバラの森を探しに行けないようだ。
その日から、私はエフセンから馬の乗り方を教えてもらうことになった。
エフセンは馬の中で一番温厚な馬を選んでくれ、使われていない馬具を探し出して私のために用意してくれた。
まず馬の背に乗ることができなければならない。私は、その練習から始めた。次に馬を歩かせなければならない。馬のリードがうまくできないので、私は何度も落馬することになった。そんな夜は、私は体を痛めて眠ることもできなかった。
私がなんとか馬に乗れるようになったのは、練習を初めてから五日目のことだった。
これで街道から離れた場所を見に行くことができる。
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