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14月のしずく採取
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宴席で、男の人たちは酒を飲んで懇親を深め出していた。みんなの笑い声を聞きながら、お酒の弱い私は宴席を後にした。
私は自分の部屋に戻ると、アンナにベッドの上にかける敷布を集めて持ってこさせた。私はそれを細かく裂いて、紐を作り出した。それを数本ごと重ねてよることで、さらに太い紐にしたのだった。これを山の頂上の岩にしばりつけ、もう一方を自分の体にしばりつけて、崖をおりようと思ったからだ。さらに、アンナに背負える竹かごを用意させ、竹かごの底に布をはりつけさせた。この竹かごには、摘んだ月のしずくを入れるためだった。
次の日、私たちは鶴山に向かった。
鶴山の頂上まで行くのは、カルゾ国の騎士たちと私だけだった。鶴山の登山口には自国の兵士とともにポーマル国の兵士たちが待機して、ソンド国の兵士や魔人が登ってくるのを阻止してもらうことにしていた。
二時間ほどかけて山路を登ると、私たちは鶴山の頂上につくことができた。
頂上にたち、南の崖下を見ると、たしかにイバラの木々がびっしりと茂って森のように見える。
さっそく、私は紐の端を頂上に突き出ている岩にしばりつけた。そして、もう一方の端を自分の腰に巻いてしばりつけた。その後、竹かごを背負った。
「じゃ、行ってみます」と言って、私は紐をつかみながら、崖をおりだした。
私がイバラの中に体を鎮めると、すぐにイバラの棘が私の体に突き刺さってきた。月のしずくを見つけるために、顏をイバラに近づけると、私の顔に行く筋もの傷ができていった。
突然、脇腹が痛んだ。
「いたっ」と、声をあげた。視線を落とすと、伸びたイバラの小枝が腹に突き刺さっていた。顔をあげると斜め上に小さな白い花が見えた。花の形は三日月だ。岩の上に手をおきながらも、体をずらした。イバラの間に生えている月のしずくを摘もうと思ったのだが、根はしっかりと岩の中にくいこみ、簡単に引き抜くことはできない。指に力を入れると、手の甲にもたくさんの傷が生まれ、血がにじみ出ていた。
それでも、月のしずくをひとつかみ、採ることができ、それを背中の竹かごの中に投げ入れた。薬草を薬にするためには、干したり、しぼったりして、そのエキスを抽出しなければならない。
そのためには、多くの月のしずくを採らなければならない。私はさらに崖沿いに体をずらしては、白い花がついている草を摘み続けていった。その度にイバラの枝先が私の体のどこかに突き刺さり、痛みが増え続けていた。
そんな時に、竹かごに何かが当たった。周りを見るとイバラギにも数本の矢が刺さっていたのだ。下から矢を放たれたことは間違いがない。
それは崖下に敵がいる証拠であった。だが、頂上にいる騎士たちは、下にいる敵の姿を木々の中にいるので見ることができない。
「ナターシャ様、もう引き上げますぞ」と、一番力のあるワキタが声をかけてきた。
騎士たちは、紐を引いて私の体は、五メートルほど、上に引き上げてくれた。
「これ以上あげるのは、もう少し待って」と言って、私はその場で、さらに月のしずくを摘み続けた。
運のいいことに、その場は下から放たれた矢が届かない所だったのだ。
夢中で、私は摘み続ける。
「ナターシャ様、もう十分ではありませんか。かごの中はいっぱいになっておりますぞ」
上から、私を見ていた騎士隊長のロバートが声をかけてきた。
「はい、わかりました。引き上げてください」
ロバートが声をかけてくれなければ、私はいつまでも摘み続けていたかもしれない。
騎士たちが力を合わせて私を引き上げてくれ、頂の上に立った私はほっとして胸を撫でおろしていた。
この後、私たちはここから降りなければならない。
「ナターシャ様が弓で狙われたとすれば、山下で敵が待っていることは間違いありませんな」と、ロバートは顔を強張らせていた。
「それも、山下から狙ったとは、おそるべき弓の使い手がいる」と、ワキタが眼下をにらみつけていた。
やがて、騎士たちに囲まれながら、私は下山を始めた。
登山口までくると、自国とポーマル国の兵士たちがゾンド兵士たちを相手に戦っていた。
それまで互角の戦いをしていた。カルゾの騎士たちは剣を抜くと戦の中に入っていた。すると均衡が崩れた。たちまちゾンド兵士は切られて倒れていく者が出てきた。
だが、ゾンド兵士の中に、ボーマル国の兵士四人を相手に戦っていた者がいた。
その兵士は他の兵士たちより頭ひとつ高かった。手が四本あって、それぞれの手に剣を持ち戦っていたのだ。背に弓を背負っていたところを見ると、私に向かって矢を射ったのは、この男に間違いはなかった。
男は、私を見つけると、自分の前にいる兵士たちを押しのけて、私の方にやってこようとした。
「王妃様を守るのだ」と騎士隊長ロバートは私の前に飛び出してきた。そして、男のふりおろした剣を自分の剣で受けてくれたのだ。その間に、ルイズは男の手に向かって、すばやく剣をふりおろした。すると、男の手が彼の体から切り離されて飛び、谷下に落ちていった。
それまで、強気だった男が「あっ」と叫び声をあげていた。悔しそうにルイズを睨みつけた後、「ひきあげるぞ」と叫んでいた。その声を聴いたゾンドの兵士たちは一斉に剣をさげて、しりぞきだした。
「このままで済むと思うなよ」と、男はルイズに向かって言うと、馬に飛び乗り走り出していった。すぐに、ゾンドの兵士たちは彼の後を追って逃げ出していた。
逃げていく男を見なから、「手が四本もあるなんて、怪物だわ」と私は声をあげた。
「さよう、彼こそがゾンド国の魔将軍ヤガラですよ。もちろん、人ではありませんな」と、ロバートは言っていた。
私は自分の部屋に戻ると、アンナにベッドの上にかける敷布を集めて持ってこさせた。私はそれを細かく裂いて、紐を作り出した。それを数本ごと重ねてよることで、さらに太い紐にしたのだった。これを山の頂上の岩にしばりつけ、もう一方を自分の体にしばりつけて、崖をおりようと思ったからだ。さらに、アンナに背負える竹かごを用意させ、竹かごの底に布をはりつけさせた。この竹かごには、摘んだ月のしずくを入れるためだった。
次の日、私たちは鶴山に向かった。
鶴山の頂上まで行くのは、カルゾ国の騎士たちと私だけだった。鶴山の登山口には自国の兵士とともにポーマル国の兵士たちが待機して、ソンド国の兵士や魔人が登ってくるのを阻止してもらうことにしていた。
二時間ほどかけて山路を登ると、私たちは鶴山の頂上につくことができた。
頂上にたち、南の崖下を見ると、たしかにイバラの木々がびっしりと茂って森のように見える。
さっそく、私は紐の端を頂上に突き出ている岩にしばりつけた。そして、もう一方の端を自分の腰に巻いてしばりつけた。その後、竹かごを背負った。
「じゃ、行ってみます」と言って、私は紐をつかみながら、崖をおりだした。
私がイバラの中に体を鎮めると、すぐにイバラの棘が私の体に突き刺さってきた。月のしずくを見つけるために、顏をイバラに近づけると、私の顔に行く筋もの傷ができていった。
突然、脇腹が痛んだ。
「いたっ」と、声をあげた。視線を落とすと、伸びたイバラの小枝が腹に突き刺さっていた。顔をあげると斜め上に小さな白い花が見えた。花の形は三日月だ。岩の上に手をおきながらも、体をずらした。イバラの間に生えている月のしずくを摘もうと思ったのだが、根はしっかりと岩の中にくいこみ、簡単に引き抜くことはできない。指に力を入れると、手の甲にもたくさんの傷が生まれ、血がにじみ出ていた。
それでも、月のしずくをひとつかみ、採ることができ、それを背中の竹かごの中に投げ入れた。薬草を薬にするためには、干したり、しぼったりして、そのエキスを抽出しなければならない。
そのためには、多くの月のしずくを採らなければならない。私はさらに崖沿いに体をずらしては、白い花がついている草を摘み続けていった。その度にイバラの枝先が私の体のどこかに突き刺さり、痛みが増え続けていた。
そんな時に、竹かごに何かが当たった。周りを見るとイバラギにも数本の矢が刺さっていたのだ。下から矢を放たれたことは間違いがない。
それは崖下に敵がいる証拠であった。だが、頂上にいる騎士たちは、下にいる敵の姿を木々の中にいるので見ることができない。
「ナターシャ様、もう引き上げますぞ」と、一番力のあるワキタが声をかけてきた。
騎士たちは、紐を引いて私の体は、五メートルほど、上に引き上げてくれた。
「これ以上あげるのは、もう少し待って」と言って、私はその場で、さらに月のしずくを摘み続けた。
運のいいことに、その場は下から放たれた矢が届かない所だったのだ。
夢中で、私は摘み続ける。
「ナターシャ様、もう十分ではありませんか。かごの中はいっぱいになっておりますぞ」
上から、私を見ていた騎士隊長のロバートが声をかけてきた。
「はい、わかりました。引き上げてください」
ロバートが声をかけてくれなければ、私はいつまでも摘み続けていたかもしれない。
騎士たちが力を合わせて私を引き上げてくれ、頂の上に立った私はほっとして胸を撫でおろしていた。
この後、私たちはここから降りなければならない。
「ナターシャ様が弓で狙われたとすれば、山下で敵が待っていることは間違いありませんな」と、ロバートは顔を強張らせていた。
「それも、山下から狙ったとは、おそるべき弓の使い手がいる」と、ワキタが眼下をにらみつけていた。
やがて、騎士たちに囲まれながら、私は下山を始めた。
登山口までくると、自国とポーマル国の兵士たちがゾンド兵士たちを相手に戦っていた。
それまで互角の戦いをしていた。カルゾの騎士たちは剣を抜くと戦の中に入っていた。すると均衡が崩れた。たちまちゾンド兵士は切られて倒れていく者が出てきた。
だが、ゾンド兵士の中に、ボーマル国の兵士四人を相手に戦っていた者がいた。
その兵士は他の兵士たちより頭ひとつ高かった。手が四本あって、それぞれの手に剣を持ち戦っていたのだ。背に弓を背負っていたところを見ると、私に向かって矢を射ったのは、この男に間違いはなかった。
男は、私を見つけると、自分の前にいる兵士たちを押しのけて、私の方にやってこようとした。
「王妃様を守るのだ」と騎士隊長ロバートは私の前に飛び出してきた。そして、男のふりおろした剣を自分の剣で受けてくれたのだ。その間に、ルイズは男の手に向かって、すばやく剣をふりおろした。すると、男の手が彼の体から切り離されて飛び、谷下に落ちていった。
それまで、強気だった男が「あっ」と叫び声をあげていた。悔しそうにルイズを睨みつけた後、「ひきあげるぞ」と叫んでいた。その声を聴いたゾンドの兵士たちは一斉に剣をさげて、しりぞきだした。
「このままで済むと思うなよ」と、男はルイズに向かって言うと、馬に飛び乗り走り出していった。すぐに、ゾンドの兵士たちは彼の後を追って逃げ出していた。
逃げていく男を見なから、「手が四本もあるなんて、怪物だわ」と私は声をあげた。
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