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13イバラの森発見
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ポーマル国の兵士と話をしている時に、私は五剣山の方を見上げることになった。
五剣山の第4頂上、鶴山を見た時だった。頂上に向かって緑色の木々が張り付いていた。それは森にも見えたのだ。
「そう。あそこがそうなんだわ。いつも見ている場所であるのに、見えていなかった場所。そして、あそこに行くことはできないように思うけど、命がけで行けば、行けない所ではない」
私が何の話をしているのか、分からないポーマル国の兵士はエフセンに事情を聴いていた。彼らも、カルゾ国の王が人狼の呪いをかけられていることは聴き知っていた。
「いや、それならば、われらもお手伝いをいたしますぞ」と言ってくれた。
城に戻った私はすぐにリカードに言ってみんなを集めた会議を開いてもらった。
「疑うわけではありませんが、ナターシャ様の推理が正しいかどうか分かりませんぞ。それに、ナターシャ様の顔が敵国に知られてしまった。そちらの方が問題です」と騎士隊長のロバートがナマズ髭をふるわせながら声を大きくした。
私の推理については、エフセンが一緒に探していた経験を踏まえて賛成の意見を言ってくれた。
「ともかく、イバラの森であるかどうかを確かめる方法はないようですので、これで進めてみましょう」とリカードも、私の考えに賛成をしてくれた。
「確かに、ゾンド国は我々が何故動き回っているか注意を始めているはずですぞ。きっと斥候(せっこう)を出して聞きまわっていると思われます」と城を警護する隊長スカイが珍しく発言をしていた。
「ともかく我々が動くとゾンド国から兵隊がやってくるのは間違いはないでしょう。そこで、ポーマル国に協力をお願いするのはどうですか?」と、リカードが言った。
「たしかにポーマル国と親交を結んでおりますが、そこまで頼むのは難しいのでは?」とロバートが疑問をていじた。
「そうでしょうな。協力金を払うのはどうですか?金貨で五千枚ではどうですかね」
「確かに、それだけ出せば、協力をしてもらえると思いますが、鶴山の頂上に登り、イバラの森に降りていくのは誰にしますかね?」
「それは、私がやります。私が言い出したことですから。それに薬草のことは私が詳しいですから」
「ともかく、王妃であるナターシャ様をお守りしなけばなりません。私たち騎士隊はナターシャ様につき添って行きますぞ」とロバートが言った。
「お願いします。敵を相手に戦うことは私得意ではありませんもの」
次の日、リカードは、金貨で五千枚を用意させ、それを荷馬車にのせると、すぐにポーマル国に協力依頼を頼みに行った。
私はすぐに自分がもし死ぬことがあった場合の準備を始めた。
侍女のアンナに王の体に塗る薬を作る方法と薬草の育て方を教え出した。何かあったら、私がやってきたことを代わってやってもらわなければならないと思ったからだ。それをアンナにやり続けてもらえば、王は生き続けることができるはずだ。
そんな私の気持ちを分かったのか、アンナは青い顔しながら私の説明を聞いていた。
やがて、リカードはボーマル国の兵士20人を連れて戻ってきた。私はすぐに出迎えに城から出て行った。すると兵士の中の一人が笑顔で私に近づいてきた。
「前に一度、お会いしております。私はボンドと申します。その時には、我らを救っていただき有難うございました。この度は、警備役をおおせつかっておりますので、お役に立ちたいと思っております」
そう言われて、イバラの森を探していた時に、ゾンドの兵士たちと戦っていた者の中にいた一人であることを私は思い出していた。ボンドは首からサファイアで飾られたネックレスをさげていた。
「この度は、私の月のしずくを採るための作戦に参加していただき有難うございます。まず歓迎の宴を開かせていただきたいと存じます。それでは客人をご案内して」
私はアンナの下で働いている侍女に20人の兵士たちを宴会場に案内させた。
五剣山の第4頂上、鶴山を見た時だった。頂上に向かって緑色の木々が張り付いていた。それは森にも見えたのだ。
「そう。あそこがそうなんだわ。いつも見ている場所であるのに、見えていなかった場所。そして、あそこに行くことはできないように思うけど、命がけで行けば、行けない所ではない」
私が何の話をしているのか、分からないポーマル国の兵士はエフセンに事情を聴いていた。彼らも、カルゾ国の王が人狼の呪いをかけられていることは聴き知っていた。
「いや、それならば、われらもお手伝いをいたしますぞ」と言ってくれた。
城に戻った私はすぐにリカードに言ってみんなを集めた会議を開いてもらった。
「疑うわけではありませんが、ナターシャ様の推理が正しいかどうか分かりませんぞ。それに、ナターシャ様の顔が敵国に知られてしまった。そちらの方が問題です」と騎士隊長のロバートがナマズ髭をふるわせながら声を大きくした。
私の推理については、エフセンが一緒に探していた経験を踏まえて賛成の意見を言ってくれた。
「ともかく、イバラの森であるかどうかを確かめる方法はないようですので、これで進めてみましょう」とリカードも、私の考えに賛成をしてくれた。
「確かに、ゾンド国は我々が何故動き回っているか注意を始めているはずですぞ。きっと斥候(せっこう)を出して聞きまわっていると思われます」と城を警護する隊長スカイが珍しく発言をしていた。
「ともかく我々が動くとゾンド国から兵隊がやってくるのは間違いはないでしょう。そこで、ポーマル国に協力をお願いするのはどうですか?」と、リカードが言った。
「たしかにポーマル国と親交を結んでおりますが、そこまで頼むのは難しいのでは?」とロバートが疑問をていじた。
「そうでしょうな。協力金を払うのはどうですか?金貨で五千枚ではどうですかね」
「確かに、それだけ出せば、協力をしてもらえると思いますが、鶴山の頂上に登り、イバラの森に降りていくのは誰にしますかね?」
「それは、私がやります。私が言い出したことですから。それに薬草のことは私が詳しいですから」
「ともかく、王妃であるナターシャ様をお守りしなけばなりません。私たち騎士隊はナターシャ様につき添って行きますぞ」とロバートが言った。
「お願いします。敵を相手に戦うことは私得意ではありませんもの」
次の日、リカードは、金貨で五千枚を用意させ、それを荷馬車にのせると、すぐにポーマル国に協力依頼を頼みに行った。
私はすぐに自分がもし死ぬことがあった場合の準備を始めた。
侍女のアンナに王の体に塗る薬を作る方法と薬草の育て方を教え出した。何かあったら、私がやってきたことを代わってやってもらわなければならないと思ったからだ。それをアンナにやり続けてもらえば、王は生き続けることができるはずだ。
そんな私の気持ちを分かったのか、アンナは青い顔しながら私の説明を聞いていた。
やがて、リカードはボーマル国の兵士20人を連れて戻ってきた。私はすぐに出迎えに城から出て行った。すると兵士の中の一人が笑顔で私に近づいてきた。
「前に一度、お会いしております。私はボンドと申します。その時には、我らを救っていただき有難うございました。この度は、警備役をおおせつかっておりますので、お役に立ちたいと思っております」
そう言われて、イバラの森を探していた時に、ゾンドの兵士たちと戦っていた者の中にいた一人であることを私は思い出していた。ボンドは首からサファイアで飾られたネックレスをさげていた。
「この度は、私の月のしずくを採るための作戦に参加していただき有難うございます。まず歓迎の宴を開かせていただきたいと存じます。それでは客人をご案内して」
私はアンナの下で働いている侍女に20人の兵士たちを宴会場に案内させた。
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