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19別邸建築
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四日後、レンズ王国の使者がやってきた。王の前にきて、レンズ王国からの確認書には、ナターシャをどのような位置付で婚約するかはリチャード王に任せると書かれていたのだった。
当然、確認書は、城にいて待っていたリデも見ることになった。
「ほう、これはレンズ国王からどうすべきであるとの命令は書かれておりませんね。つまりリチャード王のお気持ちしだい。ならば、婚約締結書は生きていますね」
リデは笑いながら、使者の方にふりかえった。
「ご苦労様ですね。お疲れでしょう。今夜は客間でお泊りいただき寛いでいただきたいと思っております」
「リデ様、物の怪の森に入る前に、そこで一泊をしてから、ここに来ておりますので、ご安心なきようお願い申し上げます」と使者は言って、まずリデに向かって頭を下げ、次に王に頭をさげると侍女に案内されて王の間から出て行った。
リデの父であるイダルはリチャードにとっては、祖父のような存在で国の経営手腕がある人だった。財政、商工業について、いろいろとリチャードも教わり、尊敬さえしていたのだ。だが、自分の娘リデには弱く甘やかしてきた所があった。イダルが死んだ後、イダルに任せていた金山の採掘事業をリデは自分の物のように扱い出している話はリチャードの耳にも聞こえていた。
次の日からリデは城の中を仕切り出した。
カンナに城の宮殿で働いている侍女たちを大広間に集めさせた。その場で、リデはリチャード王とマリーナとが結婚することの婚約協定書を掲げて見せた。
「リチャード王様が、健康を取り戻されたいま、リチャード王とマリーナが結婚するためへのご協力をお願いいたしますわ」
「ご協力とは、何をすればいいのでしょうか?」と、カンナは不満げな声をあげた。
「結婚の準備よ」
「まだリチャード王のお体から、呪いの毒素が完全に抜けておりません。それは体に吹き出物として残っておりますので、それの治療はいかがいたしますか?」
すぐにマリーナの額に三本の横じわができた。
「それは、今まで、お薬を塗って来られた方にやってもらいたいわ。私がすることじゃないわね。そうだ。あなたにやってもらえばいいのね」
「えっ、さようでございますか。それでは、そのようにさせていただきます」
婚約締結書で正当だと認められた婚約者マリーナの指示に従わない訳にはいかない。この話を聞いた私は王の治療のために、王の間に行くことを止めるしかなかった。
「リチャード王とマリーナのために新居を作ってあげたいのよ」と、リデは両手を大きくふっていた。
「それは、私らができることでしょうか?」と侍女の一人が困ったような顔して聞いた。
「宮殿の南側を改築すれば、いいのじゃないかしら? 改築の方が安くすむわ」
「そこは、いまナターシャ様がお住まいになっておられますが?」と、カンナは詰問をしていた。
「ナターシャには、そこから出て行ってもらうわ。他の部屋があるでしょう。そうだ。カンナ、あなたと同じ部屋でもいいわよ」
「宮殿の南側は死なれた王妃が使っていたお部屋ですので、リチャード王様は壊したくないと思っているはずですが」
「じゃ今私たちが泊まっている別棟を改築してもらえばいいわ。それなら問題はないはず、それで進めましょう」と言ったリデは満足げに微笑んでいた。
翌日には、下町にいる大工たちが城にやってきた。もちろん、王にはその旨をつたえているのだろう。リデは、別棟にある二つの部屋をつなぎ、大きくするとともにその上に積み重ねるような三階に部屋を作り出だそうと考えていた。改築が進むたびに、マリーナが王に会いに行っていた。建築の進捗状況を報告をするためだ。だが、王に会いに行くマリーナは、いつも香水を体中にふりかけてから、王に会いに行っていた。侍女たちの間を聞きまわっていた騎士のコリアが、それを知ることになり、リカードにそのことを報告していた。
すぐにリカードは、王の間から出てきたマリーナに近づき匂いを嗅いだ。間違いない。泥棒市場で売っている惚れ薬だ。前に泥棒市場に行った時に、その薬の匂いをかいだことがあったのだ。このままほっておく訳にはいかない。王の愛情さえもマリーナは握ろうとしているのだ。
リカードはすぐに騎士隊長のロバートを呼びつけた。
「何かがおかしい。すぐにレンズ王国に行って確認書がどのように出されたのか調べてくれ」
「はっ、わかりました」
すぐにロバートは馬に飛び乗り、レンズ王国に向かった。レンズ王国に行くと、同じ剣士仲間に聞きまわり、居酒屋にも言って情報収集を行った。すると、ナターシャをカルド国に送った警護隊長ゾラを始め警護隊員たちが、ナターシャの危機であることを知って、協力を申し出てくれたのだ。
警護隊の力を借りて、調べ出すと、ガンジー伯爵のところに金塊がリデから馬車で届けられていることがわった。届けられた金塊の一部は間違いなくレンズ国王の所にも届けられていた。
戻って来たロバートから話を聞いたリカードはすぐに金山の採掘事務所に行き、そこの帳簿を調べると二重帳簿であることが分かり、金塊の横流しをしていたのだ。
金塊の横流しに関わっていた者たちを逮捕して城内に連れてくる前に、それを聞き込んだリデたちは馬車に乗って逃げ出して行った。
騎士たちは、リデとマリーナを捕まえようとして馬で追った。だが、彼らの向かっている先を見るとゾンド国だったのだ。ゾンド国内まで追うのは大変なことになると考えて、騎士たちは追うのをやめていた。
その後、薬を置いてある保管庫にポーションから作った薬を入れた瓶が五本なくなっていることに私は気がついた。さらに、薬草庭園から根つきのポーションが数株なくなっている報告をカンナから受けることになった。これも、リデたちが盗んでいったに違いなかった。
当然、確認書は、城にいて待っていたリデも見ることになった。
「ほう、これはレンズ国王からどうすべきであるとの命令は書かれておりませんね。つまりリチャード王のお気持ちしだい。ならば、婚約締結書は生きていますね」
リデは笑いながら、使者の方にふりかえった。
「ご苦労様ですね。お疲れでしょう。今夜は客間でお泊りいただき寛いでいただきたいと思っております」
「リデ様、物の怪の森に入る前に、そこで一泊をしてから、ここに来ておりますので、ご安心なきようお願い申し上げます」と使者は言って、まずリデに向かって頭を下げ、次に王に頭をさげると侍女に案内されて王の間から出て行った。
リデの父であるイダルはリチャードにとっては、祖父のような存在で国の経営手腕がある人だった。財政、商工業について、いろいろとリチャードも教わり、尊敬さえしていたのだ。だが、自分の娘リデには弱く甘やかしてきた所があった。イダルが死んだ後、イダルに任せていた金山の採掘事業をリデは自分の物のように扱い出している話はリチャードの耳にも聞こえていた。
次の日からリデは城の中を仕切り出した。
カンナに城の宮殿で働いている侍女たちを大広間に集めさせた。その場で、リデはリチャード王とマリーナとが結婚することの婚約協定書を掲げて見せた。
「リチャード王様が、健康を取り戻されたいま、リチャード王とマリーナが結婚するためへのご協力をお願いいたしますわ」
「ご協力とは、何をすればいいのでしょうか?」と、カンナは不満げな声をあげた。
「結婚の準備よ」
「まだリチャード王のお体から、呪いの毒素が完全に抜けておりません。それは体に吹き出物として残っておりますので、それの治療はいかがいたしますか?」
すぐにマリーナの額に三本の横じわができた。
「それは、今まで、お薬を塗って来られた方にやってもらいたいわ。私がすることじゃないわね。そうだ。あなたにやってもらえばいいのね」
「えっ、さようでございますか。それでは、そのようにさせていただきます」
婚約締結書で正当だと認められた婚約者マリーナの指示に従わない訳にはいかない。この話を聞いた私は王の治療のために、王の間に行くことを止めるしかなかった。
「リチャード王とマリーナのために新居を作ってあげたいのよ」と、リデは両手を大きくふっていた。
「それは、私らができることでしょうか?」と侍女の一人が困ったような顔して聞いた。
「宮殿の南側を改築すれば、いいのじゃないかしら? 改築の方が安くすむわ」
「そこは、いまナターシャ様がお住まいになっておられますが?」と、カンナは詰問をしていた。
「ナターシャには、そこから出て行ってもらうわ。他の部屋があるでしょう。そうだ。カンナ、あなたと同じ部屋でもいいわよ」
「宮殿の南側は死なれた王妃が使っていたお部屋ですので、リチャード王様は壊したくないと思っているはずですが」
「じゃ今私たちが泊まっている別棟を改築してもらえばいいわ。それなら問題はないはず、それで進めましょう」と言ったリデは満足げに微笑んでいた。
翌日には、下町にいる大工たちが城にやってきた。もちろん、王にはその旨をつたえているのだろう。リデは、別棟にある二つの部屋をつなぎ、大きくするとともにその上に積み重ねるような三階に部屋を作り出だそうと考えていた。改築が進むたびに、マリーナが王に会いに行っていた。建築の進捗状況を報告をするためだ。だが、王に会いに行くマリーナは、いつも香水を体中にふりかけてから、王に会いに行っていた。侍女たちの間を聞きまわっていた騎士のコリアが、それを知ることになり、リカードにそのことを報告していた。
すぐにリカードは、王の間から出てきたマリーナに近づき匂いを嗅いだ。間違いない。泥棒市場で売っている惚れ薬だ。前に泥棒市場に行った時に、その薬の匂いをかいだことがあったのだ。このままほっておく訳にはいかない。王の愛情さえもマリーナは握ろうとしているのだ。
リカードはすぐに騎士隊長のロバートを呼びつけた。
「何かがおかしい。すぐにレンズ王国に行って確認書がどのように出されたのか調べてくれ」
「はっ、わかりました」
すぐにロバートは馬に飛び乗り、レンズ王国に向かった。レンズ王国に行くと、同じ剣士仲間に聞きまわり、居酒屋にも言って情報収集を行った。すると、ナターシャをカルド国に送った警護隊長ゾラを始め警護隊員たちが、ナターシャの危機であることを知って、協力を申し出てくれたのだ。
警護隊の力を借りて、調べ出すと、ガンジー伯爵のところに金塊がリデから馬車で届けられていることがわった。届けられた金塊の一部は間違いなくレンズ国王の所にも届けられていた。
戻って来たロバートから話を聞いたリカードはすぐに金山の採掘事務所に行き、そこの帳簿を調べると二重帳簿であることが分かり、金塊の横流しをしていたのだ。
金塊の横流しに関わっていた者たちを逮捕して城内に連れてくる前に、それを聞き込んだリデたちは馬車に乗って逃げ出して行った。
騎士たちは、リデとマリーナを捕まえようとして馬で追った。だが、彼らの向かっている先を見るとゾンド国だったのだ。ゾンド国内まで追うのは大変なことになると考えて、騎士たちは追うのをやめていた。
その後、薬を置いてある保管庫にポーションから作った薬を入れた瓶が五本なくなっていることに私は気がついた。さらに、薬草庭園から根つきのポーションが数株なくなっている報告をカンナから受けることになった。これも、リデたちが盗んでいったに違いなかった。
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