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日曜日も、風月庵はヒマだった。いや、平日よりも、もっとヒマだったかもしれない。平日ならば、近くにある会社に人が出てきていて、その人たちが昼に風月庵にソバを食べにきてくれることがあったからだ。
それでも、父はいつもと同じに風月庵を十時に店を開けていた。客がこないと決め込んでいる正夫は店に顔を見せていた。それも、カウンターに必要な教科書やノートを並べて、宿題をやっていたのだ。とつぜん、店の引き戸が開けられた。
「いらっしゃい」と、父は声をかけ、正夫はお客がきたと思い丸椅子から腰を浮かせかけた。
だが、入ってきたのは、残念ながらお客ではなかった。入ってきたのは、孝英だった。
「へへへ、失礼します」と声をたて、右手で頭をかいて見せている。左手には、例の大学ノートをかかえていた。もう一度、正夫は丸椅子の上に腰をおろしていた。孝英がやってきて、そのとなりにすわった。
「正夫、こちらの方は?」
「お父さん、天龍さんとこの子だよ。孝英、ぼくと同じクラスなんだ」
「ほう、きみが孝英くん。うちの正夫と仲良くしてくださいね。ところで、お父さんの具合は、どうなんですか?」
「病院に入っているから、だいじょうぶだって」
「脳卒中だったんだろう。大変だったね」
正夫は孝英にねぎらいの言葉をかけた。
「親父の体も大変だけれど、もっと大変なことが起こっているんだよ」
「なにさ?」と、正夫は聞き、カウンター越しに父も耳をそばだてていた。
「親父がたおれたから、誰も親父と同じスープを作れないんだよ。親父に聞こうにも、いまだに話をすることはできないし」
「それで、どうしているのさ?」
「親父のスープと味が違うんで、兄貴たちはすぐに店を閉めてしまったんだよ。手米店の方も同じだよ。いまスープ工場にたてこもって、親父のスープを作ろうとしているんだ。こんな時期になんかしなくちゃと思って、スープ工場に行ってたんだけど、兄貴たちはイラついてさ。ぼくのことをじゃまにして、病院に行って親父のめんどうをみてろって言い出したんだぜ」
正夫はだまって、うなずいていた。
「だから、親父のいる病院に行ったさ。でも、かあちゃんが親父のめんどうをみていて、ぼくがいなくてもいいと言い出したんだよ。家に帰って勉強でもしてなさいってさ。一人で家にいて勉強なんかやってられないよ」
そこまで言うと、孝英は持ってきたノートをカウンターの上にひろげ、胸ポケットから鉛筆を出して、マンガを描き始めた。これが孝英にとって大事な勉強なのだ。
カウンター越しに、父は孝英のマンガを見て「うまいね。玄人はだしだね」なんて、ほめるものだから、調子にのって、「今日は5ページ描くぞ」と張り切り出していた。
そんな時に、ふたたび引き戸が開らいた。
「いらしゃい」と、父は声をかけた。正夫は、また椅子から立ち上り、引き戸の方を見て「あっ」と声をあげた。店に入ってきたのが、母と妹のエリだったからだ。
二人が、この風月庵にきたのは、これが初めてのことだった。母は洞窟の中にでも入ってきたように、顔をめぐらして店の中を見ている。エリはひさしぶりに兄の顔を見たせいか、うれしそうに近づいてきた。
「これが、あなたのデザインしたお店なの?」
「ひさしぶりだね。何か、用事があるのかな?」と、父は母に聞いていた。
「もう、お忘れですの。来月の末には、エリが習いに行っているピアノの発表会がございますの。エリはお父さんや正夫にも見にきてもらいたいそうですわ。それで、発表会へのお誘いにきましたの」
母に言われて正夫はエリが両手で前にかかえている物を見た。それはピアノの発表会を知らせるためのチラシだった。
「もちろん、エリの演奏は聞きに行くよ」
父はすぐに笑顔を作って、エリにその顔を向けた。エリはうれしそうに一歩前に出てチラシを差し出し、父もカウンター越しに手を伸ばして、エリからチラシを受けとっていた。
「今度は、ローレライをひくんだね」
エリは大きくうなずくと、今度は正夫の方に体を向けた。
「はい、お兄ちゃん」
そう言ってエリは正夫にもチラシを差し出してきた。
「ぼくもぜったい行くよ」
エリからチラシを受けとり手元に引こうとしたのだが、それができなかった。誰かが、すでにチラシをつかんでいたからだ。正夫はチラシをつかんだ手の持ち主の方に顔を向けた。持ち主は孝英だった。
「手をはなしてよ」
「このチラシいるんだ」
「どうしてさ?ぼくの妹が出る発表会だよ」
「ピアノだろう」
「そうだけど?」
「ぼく、ピアノ好きなんだ」
正夫は、まゆ毛を八の字にさげて、孝英をみつめていた。彼は少し赤い顔をしていた。つきあいが長いとは言えないけれど、ともかく、孝英がピアノが好きだなんて、今日の今日まで聞いたことがなかった。音楽の時間だって、ふざけているし、歌をうたっていても音程があっているとは思えなかった。
「お兄ちゃんのお友だち?」
「ぼく、田中孝英。正夫くんとは同じクラス。イラストみたいなものですが、絵を描くのが趣味なんです」
孝英は自己紹介までやりだしていた。
「じゃ、ピアノの発表会にきてくださいね」
そう言ってエリは手にもっていた別のチラシを孝英に手渡した。そのおかげで、正夫はつかんでいたチラシを自分の物にすることができた。
「そろそろ、お腹がすいてきたんじゃないのかな?何か作ろうか?」
父がそう声をかけてくれたので、皆は丸椅子にすわりだした。エリは正夫の左横にすわり、そのとなりに母がすわったので、孝英はしかたなさそうに、正夫の右どなりにすわっていた。
「何がいいかな?」と父はもう一度聞いてきた。
「エリ、ラーメンがいいな。ラーメン」
やっぱり、そうかと、正夫は思っていた。そうなのだ。ソバ作りにこり出す前は、父が家族のために作ってくれる料理はラーメンが一番多かったのだ。ここにきても、正夫は時々、父にラーメンを作ってもらっていた。それは父の作るラーメンは美味しかったからだ。
「あらあら、ソバ屋さんにきて」と母は声を出していたが、父は笑っていた。
「わかった。ラーメンね。でも、ラーメンのメンは二人分しかないから、分けて食べてね」
孝英は、不安そうな顔を正夫の方に向けてきていた。正夫は、ただ笑って見せるしかできない。
父は調理場に戻ると、冷蔵庫から保存をしていた具材を出してきて、それを使って鍋でスープを作り出していた。孝英は少し首を伸ばすように顔をあげて、父のやることをのぞいていた。
やがて、父は四つのどんぶりを調理台の上に並べだし、それにスープを入れた。次に、ゆでて湯切りをしたメンを入れる。最後にチャーシュの代わりにスープで軽く煮込んだ豚肉と細く切ったネギをその上にのせていた。
「どうぞ」と言って、父はどんぶりをみんなの前に並べた。
母もエリも、そして正夫も父の作る物は美味しいと知っているので、すぐに食べ出していた。
「お父さんのラーメン、美味しいね」とエリが声をあげる。
しかし、孝英は違った。おそるおそる数本のメンをハシでつかむと、口の中に入れていた。次にレンゲでスープをすくって、何かを確かめるように時間をかけて飲み込んでいた。
「こっ、これは、親父の味だ!」
ぼくは、顔だけを孝英の方にむけた。
「親父の味?」
「このスープは天龍の味と同じだよ」
そう言われて、正夫は天龍のラーメンを一度も食べたことがないのに気がついた。お父さんにも孝英の声が聞こえていたのだろう。
「前はよく天龍さんのラーメンを食べに行ったことがあったからね。真似をしてみたんだよ」
「これで真似!おじさん、おじさんのスープ、兄貴たちに飲ませてやりたいよ!」
「お父さん、スープ少し、わけてやったら?」と、正夫は言っていた。後から、考えたら余計なことを言い過ぎたと思っている。
「別に、かくすことではないからね」
そう言って、父はお酒を入れるトクリを棚からおろして孝英に手渡していた。孝英はレンゲで自分のどんぶりからスープをくみあげ、トクリにたっぷりと入れ、父からラップももらって、それをトクリの口にはりつけて漏れないようにしていた。それで満足をしたのか、孝英も安心したように父の作ったラーメンを食べ出していった。
それでも、父はいつもと同じに風月庵を十時に店を開けていた。客がこないと決め込んでいる正夫は店に顔を見せていた。それも、カウンターに必要な教科書やノートを並べて、宿題をやっていたのだ。とつぜん、店の引き戸が開けられた。
「いらっしゃい」と、父は声をかけ、正夫はお客がきたと思い丸椅子から腰を浮かせかけた。
だが、入ってきたのは、残念ながらお客ではなかった。入ってきたのは、孝英だった。
「へへへ、失礼します」と声をたて、右手で頭をかいて見せている。左手には、例の大学ノートをかかえていた。もう一度、正夫は丸椅子の上に腰をおろしていた。孝英がやってきて、そのとなりにすわった。
「正夫、こちらの方は?」
「お父さん、天龍さんとこの子だよ。孝英、ぼくと同じクラスなんだ」
「ほう、きみが孝英くん。うちの正夫と仲良くしてくださいね。ところで、お父さんの具合は、どうなんですか?」
「病院に入っているから、だいじょうぶだって」
「脳卒中だったんだろう。大変だったね」
正夫は孝英にねぎらいの言葉をかけた。
「親父の体も大変だけれど、もっと大変なことが起こっているんだよ」
「なにさ?」と、正夫は聞き、カウンター越しに父も耳をそばだてていた。
「親父がたおれたから、誰も親父と同じスープを作れないんだよ。親父に聞こうにも、いまだに話をすることはできないし」
「それで、どうしているのさ?」
「親父のスープと味が違うんで、兄貴たちはすぐに店を閉めてしまったんだよ。手米店の方も同じだよ。いまスープ工場にたてこもって、親父のスープを作ろうとしているんだ。こんな時期になんかしなくちゃと思って、スープ工場に行ってたんだけど、兄貴たちはイラついてさ。ぼくのことをじゃまにして、病院に行って親父のめんどうをみてろって言い出したんだぜ」
正夫はだまって、うなずいていた。
「だから、親父のいる病院に行ったさ。でも、かあちゃんが親父のめんどうをみていて、ぼくがいなくてもいいと言い出したんだよ。家に帰って勉強でもしてなさいってさ。一人で家にいて勉強なんかやってられないよ」
そこまで言うと、孝英は持ってきたノートをカウンターの上にひろげ、胸ポケットから鉛筆を出して、マンガを描き始めた。これが孝英にとって大事な勉強なのだ。
カウンター越しに、父は孝英のマンガを見て「うまいね。玄人はだしだね」なんて、ほめるものだから、調子にのって、「今日は5ページ描くぞ」と張り切り出していた。
そんな時に、ふたたび引き戸が開らいた。
「いらしゃい」と、父は声をかけた。正夫は、また椅子から立ち上り、引き戸の方を見て「あっ」と声をあげた。店に入ってきたのが、母と妹のエリだったからだ。
二人が、この風月庵にきたのは、これが初めてのことだった。母は洞窟の中にでも入ってきたように、顔をめぐらして店の中を見ている。エリはひさしぶりに兄の顔を見たせいか、うれしそうに近づいてきた。
「これが、あなたのデザインしたお店なの?」
「ひさしぶりだね。何か、用事があるのかな?」と、父は母に聞いていた。
「もう、お忘れですの。来月の末には、エリが習いに行っているピアノの発表会がございますの。エリはお父さんや正夫にも見にきてもらいたいそうですわ。それで、発表会へのお誘いにきましたの」
母に言われて正夫はエリが両手で前にかかえている物を見た。それはピアノの発表会を知らせるためのチラシだった。
「もちろん、エリの演奏は聞きに行くよ」
父はすぐに笑顔を作って、エリにその顔を向けた。エリはうれしそうに一歩前に出てチラシを差し出し、父もカウンター越しに手を伸ばして、エリからチラシを受けとっていた。
「今度は、ローレライをひくんだね」
エリは大きくうなずくと、今度は正夫の方に体を向けた。
「はい、お兄ちゃん」
そう言ってエリは正夫にもチラシを差し出してきた。
「ぼくもぜったい行くよ」
エリからチラシを受けとり手元に引こうとしたのだが、それができなかった。誰かが、すでにチラシをつかんでいたからだ。正夫はチラシをつかんだ手の持ち主の方に顔を向けた。持ち主は孝英だった。
「手をはなしてよ」
「このチラシいるんだ」
「どうしてさ?ぼくの妹が出る発表会だよ」
「ピアノだろう」
「そうだけど?」
「ぼく、ピアノ好きなんだ」
正夫は、まゆ毛を八の字にさげて、孝英をみつめていた。彼は少し赤い顔をしていた。つきあいが長いとは言えないけれど、ともかく、孝英がピアノが好きだなんて、今日の今日まで聞いたことがなかった。音楽の時間だって、ふざけているし、歌をうたっていても音程があっているとは思えなかった。
「お兄ちゃんのお友だち?」
「ぼく、田中孝英。正夫くんとは同じクラス。イラストみたいなものですが、絵を描くのが趣味なんです」
孝英は自己紹介までやりだしていた。
「じゃ、ピアノの発表会にきてくださいね」
そう言ってエリは手にもっていた別のチラシを孝英に手渡した。そのおかげで、正夫はつかんでいたチラシを自分の物にすることができた。
「そろそろ、お腹がすいてきたんじゃないのかな?何か作ろうか?」
父がそう声をかけてくれたので、皆は丸椅子にすわりだした。エリは正夫の左横にすわり、そのとなりに母がすわったので、孝英はしかたなさそうに、正夫の右どなりにすわっていた。
「何がいいかな?」と父はもう一度聞いてきた。
「エリ、ラーメンがいいな。ラーメン」
やっぱり、そうかと、正夫は思っていた。そうなのだ。ソバ作りにこり出す前は、父が家族のために作ってくれる料理はラーメンが一番多かったのだ。ここにきても、正夫は時々、父にラーメンを作ってもらっていた。それは父の作るラーメンは美味しかったからだ。
「あらあら、ソバ屋さんにきて」と母は声を出していたが、父は笑っていた。
「わかった。ラーメンね。でも、ラーメンのメンは二人分しかないから、分けて食べてね」
孝英は、不安そうな顔を正夫の方に向けてきていた。正夫は、ただ笑って見せるしかできない。
父は調理場に戻ると、冷蔵庫から保存をしていた具材を出してきて、それを使って鍋でスープを作り出していた。孝英は少し首を伸ばすように顔をあげて、父のやることをのぞいていた。
やがて、父は四つのどんぶりを調理台の上に並べだし、それにスープを入れた。次に、ゆでて湯切りをしたメンを入れる。最後にチャーシュの代わりにスープで軽く煮込んだ豚肉と細く切ったネギをその上にのせていた。
「どうぞ」と言って、父はどんぶりをみんなの前に並べた。
母もエリも、そして正夫も父の作る物は美味しいと知っているので、すぐに食べ出していた。
「お父さんのラーメン、美味しいね」とエリが声をあげる。
しかし、孝英は違った。おそるおそる数本のメンをハシでつかむと、口の中に入れていた。次にレンゲでスープをすくって、何かを確かめるように時間をかけて飲み込んでいた。
「こっ、これは、親父の味だ!」
ぼくは、顔だけを孝英の方にむけた。
「親父の味?」
「このスープは天龍の味と同じだよ」
そう言われて、正夫は天龍のラーメンを一度も食べたことがないのに気がついた。お父さんにも孝英の声が聞こえていたのだろう。
「前はよく天龍さんのラーメンを食べに行ったことがあったからね。真似をしてみたんだよ」
「これで真似!おじさん、おじさんのスープ、兄貴たちに飲ませてやりたいよ!」
「お父さん、スープ少し、わけてやったら?」と、正夫は言っていた。後から、考えたら余計なことを言い過ぎたと思っている。
「別に、かくすことではないからね」
そう言って、父はお酒を入れるトクリを棚からおろして孝英に手渡していた。孝英はレンゲで自分のどんぶりからスープをくみあげ、トクリにたっぷりと入れ、父からラップももらって、それをトクリの口にはりつけて漏れないようにしていた。それで満足をしたのか、孝英も安心したように父の作ったラーメンを食べ出していった。
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