風になった魔女

矢野 零時

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6プラタナスのそばで

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 ついに、お父さんと会う日がきました。ルミは、いまだにお父さんとくらすか、お母さんとくらすか、決めかねていました。
 でも、それなのに待ち合わせの時間はどんどんと近づいてきます。お母さんは、ルミに一番かわいい服をきせ、ルミの手をひっぱるようにして家をでました。タクシーにのったので、約束の時間までに待ち合わせのレストランにいくことができました。
 レストランはプラタナスのなみ木通りぞいにあって、なみ木通りにむかって大きなテラスがつきでている店でした。テラスにはたくさんのテーブルがならべられていて、その一つを前に、すでにお父さんがすわっていました。二人が近づいていくとお父さんは手をあげました。二人がお父さんの前に立つと、お父さんもイスから立ちあがりました。お父さんは笑っていて、すこしてれた少年のようにみえました。
「ルミ、魔女のおねえさんを知っているね」
「えっ」と、ルミはおどろきの声をあげました。お父さんが魔女のおねえさんをどうして知っているのでしょうか?
「たのまれたんだ!これをわたして欲しいと」
 そういって、お父さんは手紙をルミにわたしました。
「ルミ、あの木の下で手紙を読んできてくれないか。その間に、お母さんとすこし話がしたい。話がおわったら、よびにいくよ」
 ルミはいわれたとおり、木の下にいき手紙を読みました。手紙には、次のように書かれてありました。

ルミちゃんへ
 ルミちゃん、安心してください。お父さんは、お母さんともう一度いっしょにくらしてみると、いっています。これも、ルミちゃんの願いが水晶の精霊に通じたからなのでしょう。
 私も、ものすごい努力をしたのですよ。これだけはわかってください。私の使える魔法のすべてを使ってしまいました。どのくらい私がつかれているか、ルミちゃんにはわからないことでしょうね。つかれをいやすために、私は風になりたいと思います。風になって、なつかしいふるさとに帰ります。
                                     魔女のおねえさんより

 手紙を読みおわり、赤い服の魔女は白い服の魔女のおねえさんと同じ人であることにルミはきづきました。テーブルのほうをふりかえると、お父さんとお母さんは笑いながら話をしています。
 その時、夏のさわやかな風がふき、プラタナスの葉が手をふるようにゆれました。まるで、風になった魔女が別れをいって、通りすぎたようでした。


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