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6大ウサギ退治
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大ウサギ退治の許可書を手にしたシルビアたちは、ギルドを出ると、賃貸馬車置場にいった。そこに預けておいた馬車にのり込むとシルビアたちはダイジ牧場にむかった。前よりはレベル上の大ウサギを倒すためだ。
街を離れて木々の多い道を走らせていると、やがて車窓からシルビアはダイジ牧場と書かれた木板を見ることができた。木板のたてられた所から広い敷地が柵で囲まれていた。
ダイジ牧場は牛用の大きな牧場だった。そこにいる牛たちの体重は少なくとも三〇〇キロはあると思われた。それも肉用なのか、黒い牛ばかりだった。
こんな牛に追いかけられたら逃げるしかないだろう。体当たりをされたら、シルビアも弾き飛ばされてしまうに違いなかった。しかし、牛はのんびりと草をかみ続けている。
ともかく、大ウサギはこの牧場のどこかにいるはずだ?
車窓からシルビアが目で捜していると牛と負けない大きさのウサギが牛たちに混じって草を食べているのを見つけた。牛と見分けがつかなかったのは、毛の色が牛と同じに黒かったからだ。
「大きいけれど、牛に負けないでのんびりしているみたいだわ」
シルビアは思わず笑いを浮かべていた。これなら、簡単に大ウサギを倒せると思ったのだ。
「トム、この辺で止めてちょうだい」
シルビアは、車窓から顔を出して、馬車を止めさせた。
「甘く考えてはいけませんぞ」
ロダンに声をかけられながら、シルビアは馬車から飛びおりた。なれてきたので剣を前ほど重く感じられなくなっている。きっと腕に筋肉がつきだしているのだろう。柵を飛び越えて、牧場に入ると大ウサギに向かって駈け出していた。
シルビアが大ウサギの前に行くと、ウサギは草を食べるのをやめ、驚いたようにシルビアの方に顔をむけた。大ウサギの目は顔の真ん中にはなく、左右に離れてついている。周りをみやすくなっているからだ。
大ウサギはつぶらな瞳でシルビアを見つめながら鼻をならした。シルビアが何者なのか、臭いで確かめていたのだ。やがて、口を大きく開け歯を見せて、シルビアに飛びかかってきた。大ウサギは牛を襲って食べているウサギだ。シルビアも牛と同じ肉の塊だと判断をしたのだろう。
だが、シルビアの腕もあがっている。剣を水平に構えると、念を入れた。たちまち、剣先に火の玉が生まれ、それが大ウサギの口の中に飛び込んでいった。たちまち大ウサギは苦しそうに頭をふり出した。すぐにシルビアは大ウサギに近づき、剣先を心の臓に向かって突きたてた。倒れた大ウサギに、恐る恐るシルビアは近づき、しばらく見つめていた。まだ起き上がってきそうな気がしたからだ。
「シルビアさま、ご油断めされるな」
ロダンが大声をあげた。シルビアはロダンが顔をむけている方に視線を走らせた。シルビアにむかって、三頭の大ウサギたちが駆け寄ってくる。シルビアを強い相手だと認めて、集団で戦いをしかけてきたのだ。三頭もの大ウサギを相手にしたことはない。
剣を構え直したが、正面ばかりではなく、左右からも攻められては、どれかの大ウサギに食いつかれてしまう。そんな時に、矢が飛んで、右にいる大ウサギの顔に刺さっていた。
「右は、まかせてくだされ」と、トムは言っていた。背中に背負ってきたボーガンで矢を放ってくれたのだ。その間に、ロダンは左の大ウサギの前に飛び出し、魔法袋から取り出した槍で突いた。左にいた大ウサギは、顔を左に曲げて槍をよけていた。その間に、シルビアは真正面の大ウサギにむかって走ることができ、念を込めながら剣を突き出した。すると、剣先から火柱でて、それは空を走りウサギの胸に突き刺さっていたのだ。毛が焦げる強い臭いがあたりに漂い、それはシルビアの火力が向上したことを示していた。
その後、ロダンが押さえてくれた大ウサギにむかって、シルビアは剣をむけた。剣からふたたび火柱がでて大ウサギを倒していた。しかし、右の大ウサギは矢が刺さったまま逃げ出していたのだ。
シルビアは、牧場を歩き廻るだけで、簡単に大ウサギをみつけられるようになった。矢の刺さった大ウサギもみつけ出し、剣の火柱をその大ウサギにあてていた。シルビアは完全に要領を覚え出し、次から次へと大ウサギを倒していった。
シルビアが倒した大ウサギをすぐにトムは解体を始めた。まず尾を切り取って麻袋に入れる。その後、皮と肉に切り分ける。ロダンは解体を終えた大ウサギに近づき魔法袋の口を大きく開けた。その中にトムは皮、肉を押し込むようにして入れていた。
やがてシルビアが頭をあげて牧場を見廻しても大ウサギの姿は見えなくなっていた。トムは休むことなく大ウサギの解体を続け、地べたに置かれた皮と肉をロダンは持ち上げて魔法袋に押し込んでいった。この日は四十体の大ウサギを退治できた。これで、魔法エネルギーを360ポイント増えたので、合わせて777になっていた。
さすがに、シルビアも全身から汗をかき出し、まるで水をかぶったように服を濡らしていた。それはロダンやトムも同じだった。大ウサギのいなくなった牧場の片隅に三人は集まり、池に落ちたような姿に笑い声をたてていた。ロダンはすぐに魔法袋に手を入れて、三本のタオルを取り出し、シルビアとトムに一本ずつ渡した。残った一本でロダンは自分の体をふいていた。
街を離れて木々の多い道を走らせていると、やがて車窓からシルビアはダイジ牧場と書かれた木板を見ることができた。木板のたてられた所から広い敷地が柵で囲まれていた。
ダイジ牧場は牛用の大きな牧場だった。そこにいる牛たちの体重は少なくとも三〇〇キロはあると思われた。それも肉用なのか、黒い牛ばかりだった。
こんな牛に追いかけられたら逃げるしかないだろう。体当たりをされたら、シルビアも弾き飛ばされてしまうに違いなかった。しかし、牛はのんびりと草をかみ続けている。
ともかく、大ウサギはこの牧場のどこかにいるはずだ?
車窓からシルビアが目で捜していると牛と負けない大きさのウサギが牛たちに混じって草を食べているのを見つけた。牛と見分けがつかなかったのは、毛の色が牛と同じに黒かったからだ。
「大きいけれど、牛に負けないでのんびりしているみたいだわ」
シルビアは思わず笑いを浮かべていた。これなら、簡単に大ウサギを倒せると思ったのだ。
「トム、この辺で止めてちょうだい」
シルビアは、車窓から顔を出して、馬車を止めさせた。
「甘く考えてはいけませんぞ」
ロダンに声をかけられながら、シルビアは馬車から飛びおりた。なれてきたので剣を前ほど重く感じられなくなっている。きっと腕に筋肉がつきだしているのだろう。柵を飛び越えて、牧場に入ると大ウサギに向かって駈け出していた。
シルビアが大ウサギの前に行くと、ウサギは草を食べるのをやめ、驚いたようにシルビアの方に顔をむけた。大ウサギの目は顔の真ん中にはなく、左右に離れてついている。周りをみやすくなっているからだ。
大ウサギはつぶらな瞳でシルビアを見つめながら鼻をならした。シルビアが何者なのか、臭いで確かめていたのだ。やがて、口を大きく開け歯を見せて、シルビアに飛びかかってきた。大ウサギは牛を襲って食べているウサギだ。シルビアも牛と同じ肉の塊だと判断をしたのだろう。
だが、シルビアの腕もあがっている。剣を水平に構えると、念を入れた。たちまち、剣先に火の玉が生まれ、それが大ウサギの口の中に飛び込んでいった。たちまち大ウサギは苦しそうに頭をふり出した。すぐにシルビアは大ウサギに近づき、剣先を心の臓に向かって突きたてた。倒れた大ウサギに、恐る恐るシルビアは近づき、しばらく見つめていた。まだ起き上がってきそうな気がしたからだ。
「シルビアさま、ご油断めされるな」
ロダンが大声をあげた。シルビアはロダンが顔をむけている方に視線を走らせた。シルビアにむかって、三頭の大ウサギたちが駆け寄ってくる。シルビアを強い相手だと認めて、集団で戦いをしかけてきたのだ。三頭もの大ウサギを相手にしたことはない。
剣を構え直したが、正面ばかりではなく、左右からも攻められては、どれかの大ウサギに食いつかれてしまう。そんな時に、矢が飛んで、右にいる大ウサギの顔に刺さっていた。
「右は、まかせてくだされ」と、トムは言っていた。背中に背負ってきたボーガンで矢を放ってくれたのだ。その間に、ロダンは左の大ウサギの前に飛び出し、魔法袋から取り出した槍で突いた。左にいた大ウサギは、顔を左に曲げて槍をよけていた。その間に、シルビアは真正面の大ウサギにむかって走ることができ、念を込めながら剣を突き出した。すると、剣先から火柱でて、それは空を走りウサギの胸に突き刺さっていたのだ。毛が焦げる強い臭いがあたりに漂い、それはシルビアの火力が向上したことを示していた。
その後、ロダンが押さえてくれた大ウサギにむかって、シルビアは剣をむけた。剣からふたたび火柱がでて大ウサギを倒していた。しかし、右の大ウサギは矢が刺さったまま逃げ出していたのだ。
シルビアは、牧場を歩き廻るだけで、簡単に大ウサギをみつけられるようになった。矢の刺さった大ウサギもみつけ出し、剣の火柱をその大ウサギにあてていた。シルビアは完全に要領を覚え出し、次から次へと大ウサギを倒していった。
シルビアが倒した大ウサギをすぐにトムは解体を始めた。まず尾を切り取って麻袋に入れる。その後、皮と肉に切り分ける。ロダンは解体を終えた大ウサギに近づき魔法袋の口を大きく開けた。その中にトムは皮、肉を押し込むようにして入れていた。
やがてシルビアが頭をあげて牧場を見廻しても大ウサギの姿は見えなくなっていた。トムは休むことなく大ウサギの解体を続け、地べたに置かれた皮と肉をロダンは持ち上げて魔法袋に押し込んでいった。この日は四十体の大ウサギを退治できた。これで、魔法エネルギーを360ポイント増えたので、合わせて777になっていた。
さすがに、シルビアも全身から汗をかき出し、まるで水をかぶったように服を濡らしていた。それはロダンやトムも同じだった。大ウサギのいなくなった牧場の片隅に三人は集まり、池に落ちたような姿に笑い声をたてていた。ロダンはすぐに魔法袋に手を入れて、三本のタオルを取り出し、シルビアとトムに一本ずつ渡した。残った一本でロダンは自分の体をふいていた。
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