大人の絵本・おじさま

矢野 零時

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 おじさまのお見舞いに、私は青い顔をして病院に行きました。
「私は罪人です。どうして、私がおじさまを刺したことを誰にも言わないのですか?」と、私は聞きました。すると、おじさまは、「まだ成人式を迎えていない者のしたことを攻めるわけにはいかないよ」と言って、笑っていました。
                 
 おじさまがびっこをひいて歩くようになると、もう女の人は、おじさまの所にはこなくなっていました。
 やがて、おじさまは図書館につとめ、いつもカウンターのそばにすわっていました。

 私は二十歳になり、市が主催する成人式に出ることができました。式が終わると着飾ったままで、すぐにおじさまのところに行ったのです。
「もう私は大人です。おじさまの足にハサミを刺したのは、私であることを皆さんに言ってください。そして、罰をうけさせてください!」と、私は言いました。
 すると、おじさまは「大人になったこと、おめでとう。これからの未来があるきみに、傷をつけるようなことを言う気にはなれませんよ」と言って、笑っていたのでした。

                 


         



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