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イバラの森大戦
8 魔法学校
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カオルはトムといっしょに小屋に向かいました。
小屋に入ると、カオルは驚いてしまいました。外から見ていたのと違って、建物の中はひろく大きかったからです。学校の体育館か、大きな会社のロビーを思わせる広さでした。
真ん中に木のイスが四つおかれていました。
すでに二つのイスには人がすわっています。一人は緊張で強張った顔をした男の子。カオルから見て、高校生か、大学生ぐらいの年に見えました。もう一人は、フリルのついたスカートをはいた女の子。カオルと同じ年に見えました。トムが女の子の隣にすわったので、カオルは一番左端のイスにすわりました。
「カオル、こちらがニーナだよ。魔女ドナの娘さんだ」と、トムが教えてくれました。
「よろしくね」と言って、ニーナはにっこり笑いかけてくれました。
「よろしく」と、カンナも挨拶をかえしました。
「右端にすわっているのが、レイモンド。クニッパ国の王子だよ」と、トムがまた教えてくれました。
レイモンドは、カオルにむかって軽く頭をさげました。カオルも頭を下げながら、後ろを見ると、いつの間にか、たくさんのイスが升目上にならび、それらのイスにいろんな人たちがすわっていたのです。どうやら、生徒になりたい人が入ってくる度に、イスが増えていったのでしょう。百二十人はいるようです。これなら、普通の学校と変わらないわと、カオルは思いました。
カオルたちと向かい合うように、おばあさんを真ん中に五人の人たちが椅子にすわっていました。やがて、おばあさんが椅子から立ちあがりました。
「みなさんがお集まりになったようですので,魔法学校の開校にあたってご挨拶をしますね。私はサラ、学校建設に関わらせていただいたこともあって校長をさせていただいております。魔法学校が前に開かれたのは、別の空間でしたが、そこでは魔女を敵視する人たちがいたおかげで廃校にせざるをえなくなっておりました。ですが、この世界では魔法の力を信じ、それを生かすことができる世界です。すでにご存じかもしれませんが、魔法のことを少しお話します。魔法には黒魔術と白魔術があります。白魔術は神や精霊の力を借りて人を助けてあげたい、守ってあげたいと思う人たちが使う魔法です。人を呪ったり、自己の利益を得たいと思っている人は黒魔術を学びたがりますが、それは悪魔や魔人たちと服従契約を結ぶことですので大変な目にあってしまうことがあります。ここでは、白魔術に精通した各先生たちから、基本的なことから、高度なことまで学ぶことができます。練習をすれば、レベルはあがっていきます。継続は力なりですね。ともかく学ことを決めるのはあなた方しだいです」
そこで、おばあさんは左の方に顔を向けました。
「それでは、私の左にいる先生から紹介しますね。魔道具士シンド」
すると、おばあさんの左隣りにすわっていた銀色の髪をした男が立ちあがりました。
「シンドと申します。私はみんなからご注文をいただいた魔道具を作っておりますが、あわせて魔道具の使い方も教えております。また風の精霊の加護をいただいておりますので、風にかかわる魔法の指導をさせていただきます。私のカラーは桃色です」と言って、シンドは軽く頭をさげました。黒いマントを着ていたのでカオルはドラキュラを思い出していました。
「シンドの左隣りにいるのは、エルザ。動物たちの気持ちを一番よく知っている魔女よ」と、おばあさんは紹介を続けます。すると、エルザが立ちあがりました。
「よろしくね。たくさんの仲間がいるのは楽しいことなのよ。でも、私は水の精霊に守られているから、水にかかわる魔法を教えるつもり。私のカラーは水色です」と言って、エルザは青く長い髪をふって頭を右にかしげて見せました。
「今度は、私の右にいる先生たちを紹介するわ。私の右隣りにいるのはドナ。料理名人よ。ここにいる生徒たちの食べたい物はドナが作ってくれるわ」
ドナはにっこりと笑って立ちあがりました。髪は赤毛でパーマをかけたみたいに短い髪は、カールを巻いていました。
「ご紹介をいただきましたドナです。料理は火力が命よ。もうお分かりでしょう。私は火の精霊の守護を受けている魔女なのよ。火を使う魔法をお教しえしますわ。私のカラーは赤です」と言って、ドナはエプロンスカートの両端をつまんで見せました。
「一番右にいるのは、グリス。男の子よ。大人だから男性と言った方がいいのかしらね。ここの庭園を世話してくれているわ。この城を守っているイバラの森の力もグリスのおかげなのよ」
グリスは、頭にかぶっていた麦わら帽子をとって、頭をさげました。
「土いじりが好きなただの庭師ですよ。もうおわかりでしょう。土の精霊の加護をうけておりますので、土の力を使う魔法をお教えいたしますよ。私のカラーは茶色です」
「それでは、みなさんに、授業を受けてもらいますが、同じ授業を全員いっしょに受けてもらうのは、多すぎて十分な指導をすることができません。そこで四つに分かれてもらいます」
校長であるおばあさんが、そう言ったので、立ちあがった生徒たちは少しの間、いりみだれていましたが、やがて四列に並んでいました。
「はい、それじゃ。紙をお配りしますので、一枚とって、残りは後ろに渡してください」と言って、おばあさんは紙のたばを各列の最初に人に渡しました。一番左端の列にいたカオルも一枚だけ細長い紙を手に残し、後を列の後ろの人に渡しました。
手にした紙を見ると細長い紙に、桃色、青色、赤色、茶色の順に色がぬってありました。
「お配りした紙の色の順に色のついたドアを開けて、そこの教室の授業を受けてください」
おばあさんが、そう言うと、壁に四つのドアが並んでできあがったのです。そのドアは、おばあさんが言ったように桃色、青色、赤色、茶色がぬってありました。そして、いままで生徒たちの前にいた先生たちは一瞬で消えていました。
カオルがドアの方をよく見ていますと、それぞれのドアに先生方の名前が書かれてありました。それに、ドアの数は五つあったのです。五つ目のドアは、白くぬられ、サラとおばあさんの名前が書かれていました。すぐに、カオルは手をあげました。
「はい、カオル」
「おばあさんの部屋では、何を教えてもらえるのですか?」
「その部屋は、図書室になっていますので、みなさんが知りたいことを調べることができます。それに、ご希望があれば、どんな相談ごともお聞きしますよ」
そう言ったおばあさんは笑いながら手を打ちました。
「さあ、みなさん。受講をしてください」
すると、生徒たちは四つのドアに向かって歩き出していきました。カオルがもらった紙の最初の色が桃色でしたので、カオルはシンドの教室に向かって歩き出しました。カオルと同じ列になったレイモンドは同じクラスでした。
小屋に入ると、カオルは驚いてしまいました。外から見ていたのと違って、建物の中はひろく大きかったからです。学校の体育館か、大きな会社のロビーを思わせる広さでした。
真ん中に木のイスが四つおかれていました。
すでに二つのイスには人がすわっています。一人は緊張で強張った顔をした男の子。カオルから見て、高校生か、大学生ぐらいの年に見えました。もう一人は、フリルのついたスカートをはいた女の子。カオルと同じ年に見えました。トムが女の子の隣にすわったので、カオルは一番左端のイスにすわりました。
「カオル、こちらがニーナだよ。魔女ドナの娘さんだ」と、トムが教えてくれました。
「よろしくね」と言って、ニーナはにっこり笑いかけてくれました。
「よろしく」と、カンナも挨拶をかえしました。
「右端にすわっているのが、レイモンド。クニッパ国の王子だよ」と、トムがまた教えてくれました。
レイモンドは、カオルにむかって軽く頭をさげました。カオルも頭を下げながら、後ろを見ると、いつの間にか、たくさんのイスが升目上にならび、それらのイスにいろんな人たちがすわっていたのです。どうやら、生徒になりたい人が入ってくる度に、イスが増えていったのでしょう。百二十人はいるようです。これなら、普通の学校と変わらないわと、カオルは思いました。
カオルたちと向かい合うように、おばあさんを真ん中に五人の人たちが椅子にすわっていました。やがて、おばあさんが椅子から立ちあがりました。
「みなさんがお集まりになったようですので,魔法学校の開校にあたってご挨拶をしますね。私はサラ、学校建設に関わらせていただいたこともあって校長をさせていただいております。魔法学校が前に開かれたのは、別の空間でしたが、そこでは魔女を敵視する人たちがいたおかげで廃校にせざるをえなくなっておりました。ですが、この世界では魔法の力を信じ、それを生かすことができる世界です。すでにご存じかもしれませんが、魔法のことを少しお話します。魔法には黒魔術と白魔術があります。白魔術は神や精霊の力を借りて人を助けてあげたい、守ってあげたいと思う人たちが使う魔法です。人を呪ったり、自己の利益を得たいと思っている人は黒魔術を学びたがりますが、それは悪魔や魔人たちと服従契約を結ぶことですので大変な目にあってしまうことがあります。ここでは、白魔術に精通した各先生たちから、基本的なことから、高度なことまで学ぶことができます。練習をすれば、レベルはあがっていきます。継続は力なりですね。ともかく学ことを決めるのはあなた方しだいです」
そこで、おばあさんは左の方に顔を向けました。
「それでは、私の左にいる先生から紹介しますね。魔道具士シンド」
すると、おばあさんの左隣りにすわっていた銀色の髪をした男が立ちあがりました。
「シンドと申します。私はみんなからご注文をいただいた魔道具を作っておりますが、あわせて魔道具の使い方も教えております。また風の精霊の加護をいただいておりますので、風にかかわる魔法の指導をさせていただきます。私のカラーは桃色です」と言って、シンドは軽く頭をさげました。黒いマントを着ていたのでカオルはドラキュラを思い出していました。
「シンドの左隣りにいるのは、エルザ。動物たちの気持ちを一番よく知っている魔女よ」と、おばあさんは紹介を続けます。すると、エルザが立ちあがりました。
「よろしくね。たくさんの仲間がいるのは楽しいことなのよ。でも、私は水の精霊に守られているから、水にかかわる魔法を教えるつもり。私のカラーは水色です」と言って、エルザは青く長い髪をふって頭を右にかしげて見せました。
「今度は、私の右にいる先生たちを紹介するわ。私の右隣りにいるのはドナ。料理名人よ。ここにいる生徒たちの食べたい物はドナが作ってくれるわ」
ドナはにっこりと笑って立ちあがりました。髪は赤毛でパーマをかけたみたいに短い髪は、カールを巻いていました。
「ご紹介をいただきましたドナです。料理は火力が命よ。もうお分かりでしょう。私は火の精霊の守護を受けている魔女なのよ。火を使う魔法をお教しえしますわ。私のカラーは赤です」と言って、ドナはエプロンスカートの両端をつまんで見せました。
「一番右にいるのは、グリス。男の子よ。大人だから男性と言った方がいいのかしらね。ここの庭園を世話してくれているわ。この城を守っているイバラの森の力もグリスのおかげなのよ」
グリスは、頭にかぶっていた麦わら帽子をとって、頭をさげました。
「土いじりが好きなただの庭師ですよ。もうおわかりでしょう。土の精霊の加護をうけておりますので、土の力を使う魔法をお教えいたしますよ。私のカラーは茶色です」
「それでは、みなさんに、授業を受けてもらいますが、同じ授業を全員いっしょに受けてもらうのは、多すぎて十分な指導をすることができません。そこで四つに分かれてもらいます」
校長であるおばあさんが、そう言ったので、立ちあがった生徒たちは少しの間、いりみだれていましたが、やがて四列に並んでいました。
「はい、それじゃ。紙をお配りしますので、一枚とって、残りは後ろに渡してください」と言って、おばあさんは紙のたばを各列の最初に人に渡しました。一番左端の列にいたカオルも一枚だけ細長い紙を手に残し、後を列の後ろの人に渡しました。
手にした紙を見ると細長い紙に、桃色、青色、赤色、茶色の順に色がぬってありました。
「お配りした紙の色の順に色のついたドアを開けて、そこの教室の授業を受けてください」
おばあさんが、そう言うと、壁に四つのドアが並んでできあがったのです。そのドアは、おばあさんが言ったように桃色、青色、赤色、茶色がぬってありました。そして、いままで生徒たちの前にいた先生たちは一瞬で消えていました。
カオルがドアの方をよく見ていますと、それぞれのドアに先生方の名前が書かれてありました。それに、ドアの数は五つあったのです。五つ目のドアは、白くぬられ、サラとおばあさんの名前が書かれていました。すぐに、カオルは手をあげました。
「はい、カオル」
「おばあさんの部屋では、何を教えてもらえるのですか?」
「その部屋は、図書室になっていますので、みなさんが知りたいことを調べることができます。それに、ご希望があれば、どんな相談ごともお聞きしますよ」
そう言ったおばあさんは笑いながら手を打ちました。
「さあ、みなさん。受講をしてください」
すると、生徒たちは四つのドアに向かって歩き出していきました。カオルがもらった紙の最初の色が桃色でしたので、カオルはシンドの教室に向かって歩き出しました。カオルと同じ列になったレイモンドは同じクラスでした。
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