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天空魔人グール
4 転校生です
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カオルがこれから通うことになる学校は、啓明小学校という名前でした。啓明は金星のことだったのです。ここに通う生徒たちは星のように輝いて欲しいとの願いをこめられていたのでした。建物は、木造ですが、しっとりとした落ち着きのある二階建てでした。
夏休みが終り、二学期が始まる日がきました。
カオルの家から学校へは歩いて二十分で行くことができます。お母さんと学校に一度行って、道を覚えていましたので、自信を持って学校に行くことができました。
カオルは、まず職員室に行きました。
「東川先生、おはようございます」
「ちゃんと夏休みの宿題を持ってきてくれたのね」
両手にさげていた袋をあげて、へへへとカオルは思わず笑ってしまいました。
ベルがなり、カオルは東川先生について職員室を出ました。廊下に出ると、二階への階段を登り始めました。この学校の一階には一年生から三年生まで、二階には四年生から六年生の教室が置かれていたからでした。
5年2組は校舎の真ん中にあって窓から校庭のすべてを見まわすことができます。
教室に近づくと中から生徒たちのざわついている音が聞こえてきました。そんな物音を気にするふうもみせずに、先生は教室の前の出入口から入って行きました。カオルは先生の影だったかのように後について教室の中に入り、出入口のドアを閉めました。
先生はそのまま演壇を前に立ちました。すると、いままで騒いでいた生徒たちが静まり、先生の方に顔を向けたのでした。
「夏休みに、いい思い出を作ることができましたか?」
先生はクラスみんなの顔を見まわしました。
「今日から新学期が始まります。また楽しく勉強に運動にはげんでください。まず、始めに、新しい生徒をご紹介します。加藤カオルさんです。じゃ、自己紹介をしてもらいましょう」
カオルは演壇よりは少し前に出ました。
「都会に住んでいたのですが、いまは自然に囲まれた町に住むことができました。私の家は白い大きな船のようにも見える家の隣にある、かわら屋根の家です」
「私、学校に行くとき、白い家の前をいつも通っているのよ」と声をあげた女の子がいました。後で仲良くなるのですが、女の子は原田知世と言う名前でした。
親しげに笑顔を向けてくれる女の子がいました。図書館で顔見知りになった岩崎珠代でした。
「私のお父さんとお母さんが好きになった町で私も好きになりました。クラスの皆さんと仲良く楽しくやっていきたいと思います」
うまく話すことができたと思って、カオルは思わずにっこりとしました。
「カオルさんの席は、窓際に前から四番目の席が空いていますから、そこにします。カオルさん、そこにすわってください」
「はい」と言って、カオルは、その席に行ってすわりました。
「次に、夏休みの宿題の話に入ります。カオルさんは、皆さんと同じように夏休みの宿題をやってきてくれたそうですよ」と、先生は言いました。すると、生徒たちの中から「すごいな」とか「へえ~」という声があがっていました。
「それでは、皆さんに宿題を出してもらいます。まず学習ドリル、読書感想文、それに絵を演壇の上に置いてください」
先生にそう言われたので、前席の人から順番に並んで学習ドリル、読書感想文、さらに絵を演壇の上に並べて置いていました。カオルは一番最後の人の後について、宿題を提出しました。先生はテーマごとに積みあがったそれらを大きな紙袋に分けて入れていました。
「自由研究は、そこに置いてください」と言って、先生は壁際にくつけて置かれた長テーブルの上を指さしました。クラスのみんなは、先程と同じように並んで作品を置いて行きました。大きな木工品や箱に入った昆虫標本もありましたので、たちまちテーブルの上はあふれ出していました。カオルが紙粘土で作ったチラノサウルスも大きかったのですが、なんとか載せることできました。
「今日、持ってくることができなかった人は今週中でいいですから、提出してくださいね」
先生は優しい言葉でまだ宿題を出すことができなかった人たちに猶予を与えていました。
「それに自由研究は皆さん方に投票をしてもらって、投票点数の多い作品は例年のように職員室前に展示いたします。もちろん、他のクラスや学年の作品も展示されますので、どんな作品が置かれるか、楽しみですね」
そこで、先生は前にすわっている男の子の方に顔を向けました。
「荒川さん、後で投票箱と投票用紙を作ってください」
先生に荒川さんと呼ばれた男の子は学習委員のようでした。
「もう少ししたら、体育館で始業式が始まります。そこで校長先生からご挨拶がありますので、さあ体育館に行きましょう」
先生の言葉にクラスのみんなは立ち上がりました。
「それでは、高島さん、クラスのみんなを二列にしてください」
「はい」と高島と呼ばれた女の子の声がひびきました。
彼女が学級委員であることは間違いがありません。彼女の補助により二列に並んでクラスのみんなは教室の前出入口から出て体育館に向かいました。
始業式はどこの学校も同じです。教頭先生がマイクを前に立って司会を行い、校長先生が笑顔で挨拶をして、その後、校歌を歌いました。初めてこの学校の校歌を歌ったので、カオルはほとんど口パクをしていました。後で、先生から歌詞を教えてもらい、ちゃんと覚えなければならないなあと思っていました。
始業式を終えて体育館からカオルたちは5年2組の教室に戻ってきました。
すぐに、先生は、学級委員の高島に司会をさせて後期のクラス役員を選ぶホームルームを行いました。カオルは、クラスメートの顔や名前をまだよく覚えてはいません。でも、前期と同じ人たちが役員に選ばれたようでした。
おかげで、学級委員のフルネームが高島玲子で、学習委員のフルネームが荒川義男であることがわかりました。
夏休みが終り、二学期が始まる日がきました。
カオルの家から学校へは歩いて二十分で行くことができます。お母さんと学校に一度行って、道を覚えていましたので、自信を持って学校に行くことができました。
カオルは、まず職員室に行きました。
「東川先生、おはようございます」
「ちゃんと夏休みの宿題を持ってきてくれたのね」
両手にさげていた袋をあげて、へへへとカオルは思わず笑ってしまいました。
ベルがなり、カオルは東川先生について職員室を出ました。廊下に出ると、二階への階段を登り始めました。この学校の一階には一年生から三年生まで、二階には四年生から六年生の教室が置かれていたからでした。
5年2組は校舎の真ん中にあって窓から校庭のすべてを見まわすことができます。
教室に近づくと中から生徒たちのざわついている音が聞こえてきました。そんな物音を気にするふうもみせずに、先生は教室の前の出入口から入って行きました。カオルは先生の影だったかのように後について教室の中に入り、出入口のドアを閉めました。
先生はそのまま演壇を前に立ちました。すると、いままで騒いでいた生徒たちが静まり、先生の方に顔を向けたのでした。
「夏休みに、いい思い出を作ることができましたか?」
先生はクラスみんなの顔を見まわしました。
「今日から新学期が始まります。また楽しく勉強に運動にはげんでください。まず、始めに、新しい生徒をご紹介します。加藤カオルさんです。じゃ、自己紹介をしてもらいましょう」
カオルは演壇よりは少し前に出ました。
「都会に住んでいたのですが、いまは自然に囲まれた町に住むことができました。私の家は白い大きな船のようにも見える家の隣にある、かわら屋根の家です」
「私、学校に行くとき、白い家の前をいつも通っているのよ」と声をあげた女の子がいました。後で仲良くなるのですが、女の子は原田知世と言う名前でした。
親しげに笑顔を向けてくれる女の子がいました。図書館で顔見知りになった岩崎珠代でした。
「私のお父さんとお母さんが好きになった町で私も好きになりました。クラスの皆さんと仲良く楽しくやっていきたいと思います」
うまく話すことができたと思って、カオルは思わずにっこりとしました。
「カオルさんの席は、窓際に前から四番目の席が空いていますから、そこにします。カオルさん、そこにすわってください」
「はい」と言って、カオルは、その席に行ってすわりました。
「次に、夏休みの宿題の話に入ります。カオルさんは、皆さんと同じように夏休みの宿題をやってきてくれたそうですよ」と、先生は言いました。すると、生徒たちの中から「すごいな」とか「へえ~」という声があがっていました。
「それでは、皆さんに宿題を出してもらいます。まず学習ドリル、読書感想文、それに絵を演壇の上に置いてください」
先生にそう言われたので、前席の人から順番に並んで学習ドリル、読書感想文、さらに絵を演壇の上に並べて置いていました。カオルは一番最後の人の後について、宿題を提出しました。先生はテーマごとに積みあがったそれらを大きな紙袋に分けて入れていました。
「自由研究は、そこに置いてください」と言って、先生は壁際にくつけて置かれた長テーブルの上を指さしました。クラスのみんなは、先程と同じように並んで作品を置いて行きました。大きな木工品や箱に入った昆虫標本もありましたので、たちまちテーブルの上はあふれ出していました。カオルが紙粘土で作ったチラノサウルスも大きかったのですが、なんとか載せることできました。
「今日、持ってくることができなかった人は今週中でいいですから、提出してくださいね」
先生は優しい言葉でまだ宿題を出すことができなかった人たちに猶予を与えていました。
「それに自由研究は皆さん方に投票をしてもらって、投票点数の多い作品は例年のように職員室前に展示いたします。もちろん、他のクラスや学年の作品も展示されますので、どんな作品が置かれるか、楽しみですね」
そこで、先生は前にすわっている男の子の方に顔を向けました。
「荒川さん、後で投票箱と投票用紙を作ってください」
先生に荒川さんと呼ばれた男の子は学習委員のようでした。
「もう少ししたら、体育館で始業式が始まります。そこで校長先生からご挨拶がありますので、さあ体育館に行きましょう」
先生の言葉にクラスのみんなは立ち上がりました。
「それでは、高島さん、クラスのみんなを二列にしてください」
「はい」と高島と呼ばれた女の子の声がひびきました。
彼女が学級委員であることは間違いがありません。彼女の補助により二列に並んでクラスのみんなは教室の前出入口から出て体育館に向かいました。
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始業式を終えて体育館からカオルたちは5年2組の教室に戻ってきました。
すぐに、先生は、学級委員の高島に司会をさせて後期のクラス役員を選ぶホームルームを行いました。カオルは、クラスメートの顔や名前をまだよく覚えてはいません。でも、前期と同じ人たちが役員に選ばれたようでした。
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