カオル、白魔女になります!

矢野 零時

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竜人をさがして!

6乙姫計画

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「部屋にご案内して」
 オーナーは、モップで床掃除をしていた女性に言っていました。
「どうぞ、こちらへ」
 女性に案内をされ、階段をあがり二階の部屋に行きました。
 部屋に入った二人は、部屋でじっとしているきはありません。
「私たち、ここの知識がなさすぎるわね。情報収集が必要ね」と、カオルが言いました。
「やはり、ホテルのオーナーに話を聞くのがいちばん早いと思うわ」と言った玲子も同じ考えです。

 すぐに、二人は部屋をでて下におりると、オーナーにカオルは質問をしました。
「何か起きているようですけど、何が起きているんですか?」
「願い受付対応所のことかね?」
「壊されていたようですけど。ところで願い受付対応所ってなんですか?」
「きみらは、そこから入ってきたのではないのかな?」
 よくわからないカオルは首をかしげるしかありませんでした。
「竜国。そう、この国にいる私たちは、あんたらの世界にでていきたいと思い続けているんだよ。そこで、あんたらの世界に侵略をしかけた者たちがいた。だが、そんな者はドラゴンハンターが出てきて、退治されてしまった。そこで竜国は、そんな考えを持つ者たちをとりしまり、武器も持てないようにしてしまった。その代わり、乙姫様があんたらの世界と仲良くする計画をたて、それを実行し続けているんだね」
「乙姫様はまだ生きているんですか?」
「乙姫様は、自分の体からとった細胞で、いろんな臓器を作れるからね。だから、体の悪くなった所は、すぐに取り換えることができる。でも、体のいたる所を変えてしまったから、本当は昔の乙姫様と別人かもしれないけどね」
「そんな乙姫様がたてた計画って、なんですか?」
「私たちの方が、あんたらより科学のレベルが高い。それで人ができないことをやってあげている。つまり仲良し作戦だね。最初は河川などの水問題の解決が多かったけど、人の土木の知識が高まってきて、必要がなくなってしまった。今は病気や健康が人の関心事であることを知って、それを助けてあげることにしたんだよ。竜の力が人には必要であり、竜人と仲良くすることに意味があると知ってもらおうとしているんだ」
「なるほど」
「そこで竜に願いをかけてくれる場所、寺や神社がある。そこに私たちの仲間が言って、それを聞いてあげることにした。それをするのが希望達成隊員なんだよ。その隊員が待機している場所が願い受付対応所なんだ」
「乙姫様は、そんなことをすれば人間が住んでいる私たちの世界に入りこめると思っているんですか?」と、玲子が話に割り込んできました。
「乙姫様の構想ではね。海の上に皿のような大きな船をいくつも浮かべて、そこに住まわせてもらうつもりでいる。その船を浮かべる場所は大西洋の上を考えているようだけどね」

「そんないい計画を実施するための願い受付対応所がどうして襲われるのよ」と、カオルが大声をだしました。
「いつの世にも、反対の意見を持つ者たちが現れるものだよ。海の上などではなく、大陸を手に入れるべきだと言う者たちが出てきた。彼らは願い受付対応所を襲撃して希望達成隊員たちを地上にださせないようにしたんだ」

「じゃ、おばあちゃんが、話をした竜人はその希望達成隊員の中にいるのね」と言った玲子は目を輝かせていました。
「希望達成隊員はいまどこにいるか、オーナーはわかりますか?」とカオルは聞きました。
「さあ、どこにいるかな? 反乱軍があっちこっち、街中を見回りをしているからね」

 そこで、カオルはオーナーに部屋の鍵をあずけると玲子とともにホテルを後にしました。

 あてもありませんので、ともかく二人は街の中を歩き回ることにしました。これでは、のんびりと昼食をとっている時間も場所もありません。そこで…。
「玲子ちゃん、少しお行儀悪いけど、歩きながらランチ食べてしまいましょうよ」と、カオルが言いました。
「えっ、でも、そうね」と言って玲子も賛成をしてくれました。

 そこで、カオルはお母さんが作ってくれたお握りを一つ、玲子にわたしました。きれい好きの玲子は白いハンカチをだして、それにお握りをつつんで食べていました。カオルは素手でお握りをつかんで食べました。だって、カオルの手は汚れていなかったからです。それを食べ終わると、玉子巻きやソーセージを玲子にわたしました。さらに、もう一つづつお握りをだして二人で食べました。
 カオルのお弁当を食べ終わると、今度は玲子が昼用にもってきたサンドイッチをだして、カオルにもわけてくれました。
 それも二人できれいに食べてしまいました。













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