カオル、白魔女になります!

矢野 零時

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竜人をさがして!

7下水道

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 カオルたちが街を歩いていると、走しってくる人たちがいました。逃げてきた人たちです。
 彼らを追ってくる人たちを見ると顔を赤くぬっていたのです。赤色のペンキを顔にぬることで、正体をかくし、同時に国のやり方を批判している者たちであることを示していたのでした。
 国側から見れば、彼らは反乱軍です。二十人はいるようです。
 彼らは、手に青龍刀をにぎり、それをふりまわしています。当然、青龍刀で切られた人もいて、その人は道路際に倒れていました。
 彼らが通り過ぎて行った後、すぐにカオルと玲子は彼を抱き起しました。
「しっかりしてください」
「大丈夫ですか」
 すると、路地裏から見知らぬ男が出てきました。
「これはひどい。すぐに医者のいるところに運ばなければ」
「反乱軍が来ない病院なんかありますか?」と、カオルが聞きました。
「ぼくはリード。ぼくも希望達成隊員の一人なんだ。彼らに気づかれない場所をみつけているんだ。そこへ運ぶよ」
「それはどこですか?」と玲子が不安げに聞きました。
「灯台下暗しと言うべきところだよ」
「どこですか?」と今度はカオルが聞いていました。
「反乱軍におさえられた病院。そこに怪我をした反乱軍の者たちを運んで治している所だよ」
「そんな所に行けるわけがないでしょう?」と、思わずカオルは声をあげました。

「そこは大きな病院なんだ。だから、かくれる所ができているのさ」と言って、リードはにやりと笑いました。
 リードは怪我人を背負うと、並んでいる家の一軒に入って行きました。二人は彼の後についていくだけです。
 リードはすぐに玄関ホールのわきを通ると、地下室におりて行きました。すると、地下室に穴があいていて、下水道のコンクリート管につながっていたのです。
 その下水道は、高さが8メートル、幅は7メートルはある四角タイプ。人なんか楽に通れる大きさでした。

「希望達製隊員の中には、もと下水道職員だった人もいるからね。こういう所があることもわかっているんだよ」
 リードは手に懐中電灯を持って先を歩きます。リードについて、二十分ほど歩いたでしょうか。やがて、広く明るい場所に出たのです。
「ここはどこですか?」
「病院の医療品を入れる倉庫さ。下水道との間の壁をこわして、応急に作ったんだよ」
「私、竜の国が地下にあるのに、どこでも明かりがついていることに驚いているんです」と、玲子が疑問を口にしていました。さすが、勉強ずきの学級委員です。
 すると、リードは、「竜国では地熱発電を行っているからね。だから、この国には電気は豊富にあるんだよ」と、教えてくれました。
「なるほど、それで科学を発展させることができたんですね」と、玲子は関心をしていました。
 
 病院の上から運び出してきたのでしょう。この広間にはベッドがいくつも並べられていたのでした。でも、それらのベッドすべてに人が寝ていたのでした。
 やがて、顎髭あごひげをはやした男が手に黒い革のバッグをさげてやってきました。
「私はコンボ。医者だよ。そこのベッドに寝ている奴を下において、ベッドをあけてもらった方がいい」
「先生、まだ、体が痛いですよ」と、ベッドで寝ていた男が言いました。
「そうだろうな。だが、傷口はふさがっている。後は寝ていればいいだけだよ。下にシーツはしいてある」
 コンボに言われて、周りにいた人たちは手伝って、その男を床にしかれたシーツの上においていました。そして、空いたベッドにリードが背負ってきた男をおいたのでした。
 すぐに、コンボはバッグから医療道具を出しました。まず傷口に消毒薬を吹きつけ殺菌をし、針と糸を出して縫い合わせていました。その後、注射を一本打ちました。
「キノコから作った薬が効いてくれば、もうだいじょうぶさ」と言ったコンボは他の怪我をした人の方に行ってしまいました。
 




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