カオル、白魔女になります!

矢野 零時

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竜人をさがして!

12元の世界に戻って

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 乙姫様に言いつけられたピノはカオルと玲子をつれて、二人が出てきた建物に戻ってきました。カオルたちが来た時には、壊されていた建物はすっかり修理がされ、建物の上に『願い受付対応所』と書かれた新しい看板がかかげられていたのでした。中では、すでに竜国の職員たちが働き始めていました。
 ピノは、二人をつれて二人が入ってきた場所にやってきました。そこは、やはりエレべーターの昇降口だったのです。壁につけられたスイッチをピコが押すと、エレベーターのドアが開きました。
「さあ、おのりください」
 ピノに促されて、二人はエレベーターにのりました。上昇のためのボタンを押す前にピノは玉手箱を開けて、中の仕掛けをいじっていたのでした。
「これで、お二人がここに入ってきた時間に戻って外へ出ることができますよ」
 やがて、ピノが上昇のためのボタンを押すとエレベーターは動きだし上につくことができました。ドアが開いたので、ピノが先におり二人は後に続きました。
 そこは、間違いなく、七城神社の社の中でした。
「正人さんを救うための薬はお持ちになっていますね」
 玲子がうなずくと、ピノは二人に笑いかけながら、エレベーターの中に戻っていきました。
 やがて、エレベーターのドアが閉まり、エレベーターは下におりだし、そこに穴が空きました。しばらくして、空いた穴から石板がせりあがってきて、いつもの位置までくると穴はふさがっていました。
 そして、社には間違いなく石板があるだけになりました。
「お兄ちゃんに急いで届けなければ」
「じゃ、ホウキにのって行こうよ」と、カオルが言って背中からおろしたホウキをまたいでいると、玲子はすぐにホウキにのってくれました。
「行くわよ」
 ホウキにのった二人は空に浮かび上がると、たちまちホウキはスピードをあげだしたのです。

 十分後には、大野総合病院の上に来ていました。やがて、人が誰も見ていない木陰にカオルはホウキを近づけ、二人はホウキからおりました。
 すぐに玲子は病院に向かって走り出し、カオルも後を追いました。

 病院の中に入ると、二人はエレべーターにのり五階でおりました。すぐにカオルは玲子をつれて給湯室に行って、そこにおいてあるコップに水を入れました、それを手にカオルは玲子とともに正人のいる病室に行きました。
 正人は、不安げにカオルたちの方に顔を向けました。
「約束どおり、薬はもらってきたわよ」
「よかった。来てくれないのではないかと思っていたんだよ」と、正人は泣き出していました。
「お兄ちゃん、ほら、これが薬だよ」
 玲子はバッグから紙に包まれた薬をだして正人の手にのせました。笑顔になった正人が紙を開くと、そこに粉薬が入っていました。紙を三角に作りなおして正人は口の中に粉を落としていました。すぐに、カオルが水の入ったコップを正人にわたすと、眉を八の字にして水で薬を飲み込んでいました。
「お兄ちゃん、苦かった?」
「いや、そんなことはないよ」
 正人が薬を飲んでくれたので、玲子はほっとしたようでした。













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