超ゲーム初心者の黒巫女召喚士〜動物嫌われ体質、VRにモフを求める〜

ネリムZ

文字の大きさ
13 / 101
黒巫女召喚士誕生

式神契約

しおりを挟む
 
「とりあえず師匠として最初にやれるのは式神と契約させる事だな。式神言っても下級だがな。他にも教えたいが、ソナタが自ら強くなってからだな」
「それってLvが足りないって事ですか?」
「そうじゃな」
「式神とは?」
「巫女が契約して共に戦ってくれるパートナー的な者だ。決して道具では無い。それは忘れてはなるの事だ。良いな?」
「それは、当然では?生きている者は道具ではありませんよ」
「そうか、それではまずは下級の式神と契約しないとな。ほれ、これをやる」

 師匠は形式を1枚取り出して私に渡した。

「形式?」
「ただの形式では無い。ここに式が刻まれているだろう?」
「確かに」

 真っ白な形式と違って複雑な術式が書いてあった。
 ちなみに読めないので雰囲気は分かっている風にする。

「術式の内容は分からないだろうし、読めないだろうから分かっている風は出さなくても良いぞ」
「バレてました?」
「なりたての巫女と上級の巫女を一緒にするな。それよりもまずはこの形式をおでこに貼り、妾が術を唱える。そして、ソナタは異空間に行く事になる。勿論意識だけだ。そこで自分と契約してくれる式神を探し出せ。後は、その場のノリと勢いだ。じゃ、始めるぞ」
「え、速い!心の準備は!」
「戦争では1秒1秒を無駄にできん!と、ゆう事だ」
「ここは戦場じゃないし、もしかして戦争に出るの?」
「わからん、さっさとやりたいのだ。ソナタが選び選ばれた式神が気になるのだ。契約した式神はその形式に入るからな。では、やるぞ」
「はい」

 私は貰った形式をおでこに貼る。

 それから師匠は私の分からない言葉で術を唱え、それに合わせて形式が光る。
 私の視界がだんだんと暗くなり、完全に暗くなった後に意識が切り替わる。

 目が覚めると辺りは真っ暗で自分が地面に立っているのかは感覚でしか分からない。
 そして周りを見渡すと様々な生き物がいた。

「沢山居るな~」

 私と目があった生き物がビクンとして後ずさる。

「え、なんで、ここはゲームなんだし、そんな、嫌われるの?」

 結構メンタルが削られる。

「え、他も?」

 動物ではないだろうなって程の見た目な者も私が視線を向けると顔を背けて後ずさる。

「はは、私の体質はゲームでも健在ですか、そうですか」

 はは、速くハムちゃん達に会いたい。私を受け入れてくれるハムちゃん達に、その為には私と契約してくれる式神を探さないといけない。
 私はまっすぐ進む。
 私が歩くと道を開けるように式神達が左右に固まる。

 なんだよ、なんでだよ。どうしてVRの世界でもこんな思いをしないといけないんだ!
 どうしてこんなに精神攻撃されないといけないんだ!
 動物が好きな人が動物に嫌われる時の気持ちを分からないのかここの運営は!

「いや、これが私の日常だ」

 ハムちゃん達が例外であり、仲間なだけであって他は違うのだ。
 モンスターは私を敵だと思っているからきっと来てくれるのだろう。

 私は背後に振り返らずに走る。
 あそこに式神が固まっていたようで、そこそこの距離を移動したら誰も居ない暗闇の空間になった。
 とっても虚しい空間だ。

「私と契約してくれる式神なんているのかな?」

 これは詰んだのだろうか?

「あれは、なんだろ」

 辟易した気持ちになっている私の目の前に真っ白な毛玉があった。
 比喩でもなんでもない毛玉だ。
 私は無意識近づき、それに触れていた。
 骨格なんて有るのかと疑う程に柔らかく、見た目道理の毛であり、モフモフと出来る。
 この骨格も分からない程に手が沈むこの毛!これはハムちゃんやネマちゃん、イサちゃんの比では無い。
 私の沈んだ気持ちを晴らしてくれるこの毛玉!最高なり。

「こん!」
「フェ!」

 毛玉がピョンっと飛んで毛玉がモゴモゴして形を変えた。
 そこに現れたのは二尾白狐だった。
 尻尾が凄くモフモフそうだ。触って良いかな?

「こん?」

 白狐さんは気づいたのか尻尾を私に向けて来たのでそれを肯定の合図と受け止め触る。
 両手で触り色々な方向から撫で回す。
 幸せ。白狐さん本体も撫で回す。頭、顎、体、お腹、ひたすら撫で回す。

「キュルル」

 そんな喜んだ顔をしてくれるとさらにやりたくなる。
 白狐さんはされるがままに撫でさせてくれる。

「は!あ、白狐さん、わ、私から逃げないの?」
「キューン?」

 そのキョトンとした顔を見て、私は目からボロボロと涙が流れる。

「コン!(ペロベロ)」

 流れた涙を、慰めるように白狐さんが舐めてくれる。
 あんな大量の式神が居て、その全員から避けられた。
 なのに、なのにこの白狐さんは私から逃げる事も嫌う素振りもせずに、撫でさせてくれて、私を慰めてくれる。
 下げて上げてくるこのゲームの運営は神かもしれない。
 さらに、さっきの式神達よりもこの白狐さんは毛玉に成れるようなのでモフが圧倒的に高い。

「あ、あの、白狐さん、わ、わわ、わた、私と⋯⋯」

 上手く言葉が出さない。

「私と、け、契約、⋯⋯し、⋯⋯⋯⋯してくれませんか!」
「⋯⋯キュン!」

 肯定の意味なのか、白狐さんは毛玉になって私の頭の上に乗る。
 私はとても嬉しかった。
 私は頭から白狐さんを下ろして真正面に構える。
 そして、私の本心を、一言でぶつける。

「ありがどう」

 泣きながら言っているのでまともな言葉になってなかった。
 それでも私の気持ちは伝わっただろうか?
 そうだと嬉しいよ。

 それから視界が白く輝き、目を閉じる。

 意識が回復して目を開けると目の前には師匠とハムちゃん、ネマちゃん、イサちゃんが私を心配そうに覗き込んでいた。
 私は倒れているようだったので体を起こして立ち上がる。

「だ、大丈夫か?」
「ちゅん?」
「にゃ~?」
「くーん?」
「え、どうし⋯⋯」

 私は分かった。
 私の頬を一筋の涙が通ったからだ。

 私は巫女服の裾で涙を拭ってからニコリと笑う。

「問題ありません!」

 その顔は自分では分からない。
 それでも、とても晴れ晴れとした幸せそうな顔をしているだろう。
 ただ、泣いた事によって顔が赤いかもしれないが。

「あ、式神の形式は!」
「ああ、これだ。倒れた時に落としたのじゃよ」
「そうですか、ありがとうございます」
「礼を言われる程ではないよ。それよりも術式の色が変わっているな、これは⋯⋯相当レアだぞ」
「そうなんですか!」
「ああ、説明しよう」

 術式の色が赤色から銀色に変わっていた。
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します

miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。 そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。 軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。 誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。 毎日22時投稿します。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。 底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。 ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。 だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。 翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...