超ゲーム初心者の黒巫女召喚士〜動物嫌われ体質、VRにモフを求める〜

ネリムZ

文字の大きさ
35 / 101
黒巫女召喚士誕生

35

しおりを挟む
 投げられ、不規則に動く短剣の動きを予測して棒で払い落としながら接近する。
 クソ女は再び後ろに下がりながら短剣を飛ばして来る。
 わたしは棒を振るい払い、体を捻って躱していく。

「ほんと、動きが変わったね?まるで別人だよ」

 正面から30本の短剣が迫って来る時には【風弾】によって落として行く。
【風足】も使って速度を上げて接近して来る。

「もしかしてさ、私の得意分野がコレだけだとか思ってないよね!」

 クソ女は木を蹴って接近するのと同時に背後からは30本の短剣が迫って来て、クソ女は短剣を投げて飛ばして来て手にも短剣を持っている。
 わたしは体を捻って地面に足を着けて【風足】で跳び、短剣を捌きながらクソ女の攻撃を防いで行く⋯⋯が手数が足りなかった。
 背中に5本程の短剣が刺さりHPを減らして行く。

「【スラッシュ】【パワー】【ラッシュ】」

 スキルを使ってクソ女は攻撃力を上げて短剣で連撃を放って来る。
 その時には浮遊している短剣は無いので目の前に集中して短剣を棒で防いで行く。
 初心者狩りよりも精度の高い短剣の攻撃にわたしは数回攻撃を受ける。

「ははははは!動きが変わっても変わらないモノはあるんだよ!」
「⋯⋯だから、どうした」

 わたしは霊符を取り出す。

「本当は使いたくなんだがな」

 霊符を利用しないと勝てないと踏んだのだ。

「そんな紙切れで何が出来るんだ!」
「お前を倒せる」

 わたしが取り出した霊符は【呪縛】だ。
 相手の動きを制限させる為の霊符なのだが、これは霊符から鎖が出て来て相手を捉える能力だ。
 そう、これは『プレイヤー』では無く『相手』である。

「解」

 わたしは木の枝に向かって【呪縛】を使って、木の枝に鎖を絡ませて、それを引っ張って木の枝の上に乗る。

「それになんの意味があるんだい?【加速】」

 不規則な短剣が再び襲ってくる。

「⋯⋯」

 わたしは【妖火】の霊符を取り出す。
 そして短剣に向かって放って短剣を弾いて、【風足】で加速して一気に肉薄する。

「それになんの⋯⋯!」

 クソ女は短剣を振るう。
 わたしはその短剣を真正面から受け止める。
 掌にダメージエフェクトが出て来るが気にする事無く、棒をインベントリにしまいクソ女の腕を掴んでこちらに引いて、そしてその腕に歯を立てる。

「まさか、お前も!」

 その瞬間理解したクソ女。
 クソ女はわたしに蹴りを入れるが無視して喰らいつく。

「ぐぬ、こっの!【パワー】」

 わたしは手を離して蹴られた勢いで背後に木にぶつかる。
 わたしは咀嚼して噛みちぎった肉を食らう。

「お前も屍食鬼だったのか!」
「だからなんだよ」
「再生する為に食らったのか?⋯⋯残念だったな~!屍食鬼は人間のみしかこの再生能力は作用されないんだよ!」
「関係ねぇ」

 わたしは棒を取り出して再び接近して、クソ女の目の前で棒を地面に立たせるように地面に突き刺す。

「解」
「なにを⋯⋯ぐふ」

 棒の地面に刺した方に霊符の【風弾】を付けていた。
【風弾】の勢いで加速した棒がクソ女の腹に命中する。
 そして棒を手に取ってひたすら殴る。
 回避行動を取ろうとするクソ女に対してわたしは回し蹴りをして、手の甲で防いだクソ女に【風刀】を使って攻撃していく。
 棒に【風刀】を維持させて高速で振るって与えるダメージを加速させて行く。


「ちょ、うしに乗るな!」

 飛んで来た短剣を揺らり揺らりと躱して再び棒で殴って行く。
 そろそろMPの限界になりそうだ。

「ちょ、クソ」

 ひたすら殴られるクソ女は時には短剣で防ぎ、徐々に動きに慣れたのか躱していく。
 浮遊する短剣を維持するにはある程度の集中力が必要なようだ。
 ひたすら棒の攻撃に対応している今ではなかなか出来ないようだ。

「【跳躍】【俊足】」
「展開」

 後ろにバックしながら短剣を再び飛ばして来るクソ女に短剣をいなしながら接近して行く。
 そして、崖に出る。

「しまった!」

 クソ女は崖の下に落ちて行く。

「行かせるか!」

 クソ女を逃がすか!クソ女はわたしの手で倒す!
 わたしは崖に飛び降りる。
 目の前に居たのは霧となって消えて行くクソ女と激しく流れる川であった。
 そして、薄い赤色のゾーンが存在していた。それは『即死エリア』である。
 踏み込んだ瞬間にHP0、つまりはゲームオーバーだ。

「あはは、私が幻覚使えるの忘れてた?」
「解!」

【呪縛】を使って何とか崖から脱出する。
 だが、目の前には30本の短剣とその後ろにはクソ女が居た。

「じゃあね」

 30本の短剣がわたしに向かって一斉に放たれる。

 ◆

 セカイ達の方はセカイが徐々にリードしていた。
 相手の動きの癖をどちらが速くどれだけ把握出来るかが勝負の肝である。
 その点はセカイの方が、貴美の方が一方上手のようだった。
 だからこそ相手の攻撃を躱して、ダメージが少ないように受け流せる。

「【俊足】」

 相手は自分のスピードを上げて踵落としを使うがセカイはそれを少し体の重心を動かすだけで躱して、反撃とばかりに正拳突きを突き出す。
 何度も見ている相手はそれを軽く躱したが、セカイは【俊足】と【跳躍】を使ってすぐに足を動かして回し蹴りを放つ。

「ぐぬ」

 だが、相手も武術家、重心を正してその足を掴んで防ぐ。
 セカイはその掴まれた足を使ってさらに横に体を倒して空中で回転して回し蹴りを放ったが、相手は手を離して【縮地】を使って後ろに下がって躱す。
 セカイは着地と共に地を蹴って接近してキックする。
 それを腕をクロスして防ぐ相手に対してセカイは体の重心や体制を上手くコントロールして地面に手を付けて回し蹴りを放つ。
 防御体制を取っていた相手は回し蹴りを受けて吹き飛ぶ。

 セカイは相手に暇を与えるような事をしない為に再び接近してその拳を下ろす。

「【衝撃波】」

 相手は【衝撃波】を飛ばしてセカイを足止めするがセカイは跳躍してそれをひらりと躱して【空力】を使ってさらにジャンプして、体を相手に向けて、【空力】を使って加速して相手に向かって落下する。

「【火拳】【メテオナックル】」

 セカイは拳に火を纏い、落下する高度が高い程威力の上がる【メテオナックル】を使う。

「【パワー】【パワーナックル】【正拳突き】【衝撃波】!」

 1つの攻撃に集中したスキルコンボを使った相手とセカイの拳が重なる。
 辺りに衝撃波と轟音が広がる。
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

処理中です...