物理系魔法少女は今日も魔物をステッキでぶん殴る〜会社をクビになった俺、初配信をうっかりライブにしてしまい、有名になったんだが?〜

ネリムZ

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物理系魔法少女、キメ顔を晒す

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 実際にこの数は厄介だ。

 殴ってるだけじゃ全く突破できるビジョンが見えねぇ。

 『愉快愉快。無駄な努力を上から眺めるとはこれ程までに心地良いのか。知らなかったな』

 「性格悪いなお前! ブラック企業の社長かよ!」

 『再び不快になる言葉を⋯⋯なんだそれは!』

 部下を差し向けながら質問すんなし!

 拳や足だけじゃそろそろ限界が来そうだ。

 どうにかしてステッキを使わないと。

 「法律を無視した労働時間、それに合わない少ない給料、寝てても働け、風呂入っても働け、入院しても働け、死んでも働け、それがブラック企業だ!」

 『ふむ。我の下僕は初の侵入者がお前だから、今日初めて働くな。それ以外は基本自由時間だからな』

 「なん、だと」

 こいつは一年と口にしていた。

 つまり、一番最初の下僕は一年間、自由時間のフリータイムだったのか?

 アイツは魔法の研究やら色々と働いていただろうに⋯⋯自由時間だっただと?

 ふざけるな。

 なんで、なんでだよ。

 「なんでスケルトンの方が良い職場環境なんだよ! 許せねぇ!」

 職場かは分からんけど!
 
 俺はドローンを掴み、スマホを外した。

 弁当箱を支えにしてスマホを床に起き、ステッキをバットにする。

 走ってジャンプ。

 「ふんっ!」

 強烈な一撃が床にクモの巣状に亀裂を生み出した。

 バランスを崩したスケルトンに向かって、バットを投げ飛ばす。

 「ふはははは! 鬼に金棒、魔法少女にバットじゃ!」

 『おかしいだろ!』

 「おかしくねぇよ」

 俺はバットを手元に戻すイメージをする。

 すると、投げ飛ばされていたバットは空中で一度停止して、先程とは真逆のベクトルで戻って来る。

 それをキャッチ。

 「回転⋯⋯」

 『だからどうした! まだまだ下僕は残っているぞ!』

 「これだ。回転だ」

 俺がイメージするのはフリスビーだ。

 「必殺マジカルシリーズ、本気投擲円盤マジカルフリスビー

 骨共を粉砕しながら直線する。

 「オラどけ!」

 俺そのものは横に移動する為に、タックルで無理やり移動。

 「戻れ!」

 フリスビーが俺のところに戻るために加速する。

 その力はさっきと同等になるため、骸骨を瞬殺する。

 「数には範囲攻撃だ!」

 『そんなのアリ!?』

 「アリなんだよ。可能な事はな。それがマジカル」

 『⋯⋯ブルーファイヤーボール!』

 さっきのゴブリンが使っていた魔法よりも熱そうな火の球体が俺に迫る。

 「ステッキの盾」

 うん。

 問題なく防げるな。

 『その程度で我の魔法は防げんぞ』

 「何っ!」

 遠隔で操作されている様に軽やかに動き、盾を回避して来やがった。

 ⋯⋯だがな、俺は魔法を直接触れるんだよ!

 「キャッチするぜ⋯⋯くっ、さっきよりも全然熱いな」

 手が焼けそうだ。

 『ええええええええええ! 魔法の原型を留めたまま手で掴めるの! おかしいだろ!』

 「おかしい事ねぇよ。言ったろ。可能な事ならおかしくねぇ」

 それが事実だ。

 「ほら返すぜ、高速投球のファイヤーボール!」

 相手に向かって高速で投げたが、上手く命中はしなかった。

 『我が放った時よりも威力が高い⋯⋯なんて言う魔法への干渉力だ。本当に魔法が使えないのか⋯⋯』

 「使えねぇよ!」

 フリスビーを利用してスケルトンを粉砕するのがかなり楽になった。

 それでもまだまだ数が居る。

 『火がダメなら水はどうだ! ウォーターボール!』

 「ふんっ!」

 こっちの方が熱く無くて良いな。

 むしろ少しひんやりして、気持ちいいくらいだ。

 スケルトンはあの喋る奴の近くにある魔法陣から出て来てんだよな?

 「だったら、こうじゃ!」

 相手の魔法をその魔法陣に向かってぶん投げる。

 俺の高速、文字通りの魔球は魔法陣を粉砕した。

 「この雑魚共に使う手もアリだが、やはり大元を叩かないと意味ないよな」

 『⋯⋯いや、それ意味ないだろ』

 「うそー」

 普通に新しいの出して召喚を再開した。

 うん。確かに意味ねぇわな。

 『面白い。どこまで魔法を防げるのか、試してやろう! サンダー!』

 「電気は掴め⋯⋯ない! ぐっ」

 身体が痺れる。

 なんで水は使えまたのに電気はダメなんだ?

 何が違うんだ。

 ゴブリンが使っていた魔法とも照らし合わせて考えろ。

 火、水、電気、ファイヤーボール、ウォーターボール、サンダー、⋯⋯種類ではなく形か?

 『明確な形』があれば俺は魔法を掴めるのかもしれない。

 さっきの電気の魔法は別に形がある訳じゃなかった。

 普通に電撃を飛ばす系の魔法だったから、掴めないのか。

 「あぁ、雑魚共は近寄るな! 結構不気味なんだよ!」

 フリスビーを投げて倒す。

 『次はコレだ。アイスブロック!』

 四角い氷の魔法!

 これは明確な形がある。

 しっかりと捕まえる。

 『ふむ。それには干渉できるのか』

 俺の仮説は正しいのか?

 とりま雑魚処理にこの魔法は使わせて貰おうか。

 『弱点は電気と見るべきか。サンダー!』

 形の無い魔法は俺に命中する。

 だがな、電気なら対策はあるんだよ。

 ステッキの見た目変更。

 床に突き刺す。

 「避雷針だ」

 電気が吸い込まれる様にそちらに移動して、電撃を無効にする。

 『⋯⋯魔力で作り出した電気も反応するのか』

 「ビリビリしてるの怖っ、触れなくても見た目は変えられるんだよな?」

 適当にゴム製の何かをイメージして、電気を消した。

 「もうお前の魔法は効かねぇ」

 『ならば、これならどうだ! ライトニングスピアー!』

 電気の槍か。

 ふん、相手は俺の建てた仮説まで行き着かなかったか。

 「知ってか。俺の一番強いとこはな、装備品だって事をよ!」

 ゴム手袋をイメージ。だけど表面は半導体にしない。

 それでも問題ないよなぁ。

 ライトニングスピアーの下の部分を掴み取る。

 『なんっ!』

 「これで雑魚狩りの意味は無くなったな!」

 俺は本気の跳躍で天井まで一気に跳び、足を着ける。

 「これで最後だ。必殺マジカルシリーズ、本気電撃槍マジカルライトニングスピアー!」

 俺が本気で飛ばした魔法が相手の頭に突き刺さる。

 『クソ、このまでか。最期に言わせて貰おう、その必殺絶対に適当だろ』

 バレた?

 その場のノリです。はい。

 だからどうした!

 「色々と実験になったよ。ありがとう。安らかに眠れ(キメ顔)」

 きちんと素材をイメージしたら、その機能も使えるのと、魔法を掴める条件とかね。

 サンダーの魔法もビビってああしたが、もしかしたら普通に殴り飛ばせたかもしれない。



 『おおおおお!』
 『まじか、倒すのか』
 『スゴすぎる』
 『これが魔法少女の力か(キリッ)』
 『チャンネル登録しました』
 『脳筋魔法少女!』
 『ゴリ押し少女!』
 『殴るだけじゃない!』

 『良かったぁ』
 『普通に強くて笑った』
 『必殺マジカルシリーズ、マジカル登録』
 『最期の魔物の遺言、必殺適当だろ』
 『知性の高い魔物だったけど、そこまで強くは無かったな』
 『ダンジョンのレベルが低いからだろ』
 『俺っ子女子だったか』

 『楽しかった』
 『やべぇ』
 『また見たい!』
 『まさかのレベル2説?』
 『レベル2でこのダンジョンはこんやろ』
 『お疲れ様!』
 『なお、生配信は継続中』
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