滅んだ国の元軍人兄妹冒険譚〜魔王レベルの魔力保有者は自由に異世界冒険を満喫する〜

ネリムZ

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完結

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 俺達はヨツキと本当の最後の挨拶をしていた。

「今後はどうする予定なんだ?」

「そうですね。せっかくの自由ですから貴方達と同じ様に旅をしてみて、広い世界を見てみようと思います」

「そっか」

「また、どこかで」

「⋯⋯ああ」

「⋯⋯さようなら、ヨツキさん」

 俺達はとある場所に向かって進んで行く。
 俺達がヨツキへの返事に間があったのは、もしも目的が終わった後、俺達がどうなるか分からないからだ。
 生きる目的が出来るか分からないからだ。
 俺と同じ考えを、サナもしているようだった。

 俺達が向かったところはクラン、アルティメットバハムートである。
 その近くにキンジロウさんが居た。目立つので人に囲まれている。

「やぁ、ユウキ君、サナちゃん」

「うげぇ」

「⋯⋯」

 サナがすぐさま俺の背後に隠れ、嫌な顔をする。
 それに対して涙目のキンジロウさん。

「どうしたんですか?」

「いや、そろそろ行く頃合いかと思ってね、別れの挨拶をと思って。あの狂人を止めてくれて、本当にありがとう」

 頭を下げるキンジロウさん。

「サナがやったんですよ。サナに下げてください」

「サナちゃん⋯⋯」

「嫌だこのおじさんなんか怖い!」

「ふぇ!」

「失礼だろ!」

 チョップする。

「ひぷっ。ごめんなしゃい」

「可愛い」

「やっぱ無理ィ!」

 そんなこんなで、俺達はクランに入る。
 クランに加入するつもりは無い。来た理由はここでしか無いサービスを受ける為である。
 ここには飛竜車と呼ばれる飛竜を使って他国へと送ってくれるサービスがある。
 空を移動するのでとても速く、危険も少ない。
 この付近には飛行生物の魔物は少ないからだ。

 俺達の目的地は豊穣の国【カリメア】だ。
 山を超えた先にある農業が発展し、豊富な作物が手に入る国だ。
 この国とは対極に位置すると言って良い。
 森に囲まれた自然溢れる国である。
 料理が美味いらしい。

「そこに、居るんだね」

「あぁ。俺達の旅も大詰めだな」

 乗るのには金貨30枚必要だった。
 簡潔に言おう、流石は殆ど貴族様達が利用するだけの事はある。
 移動速度に期待しながら、俺達はカリメアへと向かった。

 そして三十分後、俺は狙撃銃を構えて空飛ぶ魔物の鳥に向かって放っていた。

「お客さんありがとうございます! なんでこんなに魔物が多いんだよ!」

 飛竜を手懐ける事に成功している唯一のクラン『AB』の運転手が泣き言を言う。
 泣き言を言いながらも、飛竜を正確に操りながら、魔法を飛ばしている。

「6時の方向に2体! ⋯⋯重なった!」

「おっけー!」

 魔力を流して弾丸を放つ。
 体を貫いて、貫通し二体の鳥型の魔物を落下させる。
 素材が⋯⋯言っている暇は無さそうだ。

「数が多すぎる。今度はセミオート式狙撃銃の用意も必要だな」

「でも、カリメアって優秀な鍛冶師居ないって聞くよ? 農業が発展している代わりに⋯⋯あ、4時の方向に亜種だよ! 赤色の鳥だね。硬そう⋯⋯」

「おっけー⋯⋯嘘、躱された」

 それから激戦を繰り広げながらも、ようやく攻めて来る魔物がいなく成った。
 流石に休憩の為に地に降りた。

「いや~本当に助かりましたよ」

「なんで急にあんな魔物の数が?」

「多分ですが、時期ですかね。今の季節って徐々に寒く成るじゃないですか? それで、暖かい方向に行くんですよ。それにかち合ったって感じです。災難でしたね」

 ワッハッハっと笑う運転手。俺とサナはジト目を向ける。

「な、なんですか?」

「「それ先に言ってくださいよ」」

「さっき思い出しました!」

 そして、三時間掛けて目的の国に到着した。
 そのまま国に入る。

「「おおおおお!」」

 目に入る作物の数々。
 他にも牧場があったりする。中心の街へと向かって歩いて行く。
 流れる風が心地よく感じる。

 どこに目的の人達がいるか分からないので、一応商業ギルドに向かう。
 あそこなら少しばかり情報がある筈だ。

「あ、全員名前知らねぇ」

「私もぉ。国名言う?」

「やめとけ。生き残りと知られる訳にはいかん」

 取り敢えずギルドに向かう⋯⋯既に夕日が登り始めている。
 先に宿を取る。

「宿安いね」

「ホントな」

 それから食事で有名な所を宿の店主に聞いて、向かう。
 その途中でとある人物に出会った。

「ゆ、ユウキ君」

「⋯⋯」

 俺の名前を知っている奴は前の国で二人見掛けた。
 もしかしたらその類かもしれないが、それにしては表情が変だ。
 感動を全面に出している。俺に向かって走って来る。
 咄嗟に技を使って受け流そうとすると、それをさらりと防がれた。

「もしかして、第二王女様!」

「アヤですよ! ユウキ君、お久しぶりです!」

「ちょっと! お兄ちゃんに近寄らいでよアヤ様!」

「久しぶりねサナ」

「えぇ、お久しぶりです」

 二人共睨み合いを始める。それを宥めて、家に案内されるので付いて行く。
 そこには王族と一人の使用が居た。

「生きていたんですね」

「はい。第一王女」

「君達の目的は何となく分かるよ。来たまえ。君達の目的はこの先に居る」

 この場に居ないのはたった一人、陛下のみだ。
 案内された奥の部屋にはベットに横になり、細くなっている陛下が居た。

「ん? ライハ、の、子か」

「お父様⋯⋯」

「陛下、お久しぶりでございます」

「何、が聞きたい? やは、り。ライハ、の事、か?」

「⋯⋯」

 俺とサナは目を合わせる。俺達の目的は、何故戦争をしたか。

「戦争の理由を」

「それは私の口から」

 アヤ様が口を開いて説明してくれた。俺達の国の事を。
 俺達の国は見せしめに使われたらしい。
 そこには大義も何も無い。ただの餌として使われた。
 ざっくりまとめたら、こうである。

「そう、ですか」

「⋯⋯」

 陛下は黙って俺達を見て来る。その顔の感情は分からなかった。
 だが、多分だが、ライハ兵長の事を聞いてくると思ったのだろう。
 ⋯⋯でも、俺達の目的はもう終わった。

 俺達は家を離れて晩御飯を食べて、観光地でのんびりしている。

「これからどうすっかなぁ」

「そうだねぇ」

 剣の道を進むか銃の道を進むか魔法の道を進むか。或いは全てか。
 強さを目指す⋯⋯必要はあるのだろうか?
 俺達は戦う兵士ではない。

「なぁ」

「これは第一王子」

「君達に依頼をしたい」

「はい?」

「お兄ちゃん流石に失礼」

「おっと」

「いや構わん。我々は既に失墜している。今更そんな態度は不要だ」

「そうですか。それで、依頼とは?」

「君達は冒険者なんだろ? 俺は、父様の病気を治したい。その為の薬が必要だ」

「⋯⋯」

「内容はエリクサー⋯⋯万能回復薬と呼ばれるアイテムだ。見つかったと言う情報はあくまで噂程度。噂の出処はダンジョン都市。報酬は⋯⋯未定だな。攻略の為のサポートは行うつもりだ」

 俺とサナは見つめ合う。どうする、かと。
 ダンジョン都市。依頼。
 サナは笑う。俺も笑う。
 決まりだ。

「「分かりました。その依頼、お受けします!」」
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感想 2

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みんなの感想(2件)

ゆき
2022.09.20 ゆき

決闘で、フェルトを掛けたじゃなくて、フェイントを掛けた、ですよね?
フェルトは布ですからね…。

他にも誤字多いけどまぁわかるとして、これはあんまりなのでご報告を…。

2022.09.20 ネリムZ

ありがとうございます!
誤字確認しているつもりが、そんなに多かったとは⋯⋯とてもありがたい。

解除
蒼さん
2022.09.18 蒼さん

ペットボトルて…、異世界なのに技術発展してて草
ホンニ…w一話目から旧型と新型で某神喰RPG過ぎった

2022.09.18 ネリムZ

感想ありがとうございます!!(マジ感謝)
まさか近い設定のRPGがあるんですね!
自分RPGって聞くと、〇神とか〇塔しか出てこないにわかです(勉強不足)
技術発展ですね。魔法スゲーから出来んじゃね? って言う安易な考えの元出来てます。
なのでカメラもあればボイスレコーダーもありますよ。少し仕様は違いますが。殆どが《魔力》絡みなので。

感想マジで嬉しいです!

解除

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