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一章 同格の管理者
32話 攻めて攻められて
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俺達は先に進む。
あの3人は捨て駒だったのか、それ以降はSSSクラスのモンスターが現れる事無く、第一層のボス部屋へと到着した。
SSの時よろしくここで終わってくれたらありがたいんだが、気配的にそうでもないのだろう。
扉を開いて中に入ると、中には大きなムカデが存在した。
「⋯⋯パクリか?」
「パクリだろ」
「⋯⋯」
「パクリですね」
「同意します」
俺達のダンジョンは大百足族が第一層の階層守護者なのだ。
大きさは全く違うのだが、種族系列は同じだろう。
第一層のボスなので隠している訳でも無いし、相手が知っている可能性は十分ある。
鱗の色とかもそっくりだしな。
「ジャララララララ」
ムカデが叫び、地面の形が変わる。
地形操作が得意なのも同じだな。
「ここは私が行く!」
「分かった。皐月行ってら。俺達は下がって見ておくよ」
さっき全く戦ってない皐月は戦いたいだろう。
皐月はこっちのダンジョンで戦闘狂の一人に入るからな。
俺も体力回復したいし、任せよう。
皐月が地を蹴ってムカデに接近する。
地面が上がって壁を形成して、皐月に向かって倒れる。
皐月は大剣を払いその地面を切り離し通過する。
「アイツと比べると、大した事ないな!」
大剣を両手で持ち、空中でクルクル回転して遠心力を乗せる。
ムカデに向かってその大剣を放った。
紅い先行を放って大剣がムカデに向かって突き進む。
ムカデは地形を操作して壁を数枚形成する。
しかし、皐月が力任せに放った大剣を止めるには至らない。
壁を次々に貫通してムカデの体を貫いた。
外骨格など関係ないようにあっさりと貫かれてちぎれる体。
しかし、それだけではムカデは死ななかった。
口を開いてエネルギーを溜める。
空中に大剣を持たずに居る皐月に向かってエネルギーのブレスを直線的に放つ。
激しい光と轟音を撒き散らせながら空気を揺らし、皐月を呑み込む。
皐月を中心にブレスが固まり、激しく大きい爆発を生み出した。
煙に埋もれる皐月はゆっくりと落下して行く。
地面にドンとぶつかり着地する皐月。
「ゴホゴホ。煙たい」
よっこいしょ、と立ち上がる皐月。
ムカデの方はまだ生きている。
「無形刀【諸行無常】!」
半透明の刀を皐月は生成して構える。
地を蹴って抉り、急加速して皐月はムカデに肉薄する。
「ジャララ!」
「形無き剣を持って、形有る物を断つ」
無形刀を縦に一閃して体を真っ二つに切り裂いた。
無形刀を消して、大剣を持つ。
「終わったよぉー!」
「ああ、お疲れ。さ、次に行こうか」
出て来た宝箱は無視して俺達は次の階層に行く魔法陣に乗って、第二層に向かった。
◇
「⋯⋯侵入者かなぁ?」
マリカがホログラムの画面を見ながらそう呟く。
画面の先は第一層の迷宮の中である。
ゲートを通った気配を感じて見ていると、高速でボス部屋に向かっているモンスターを発見したのだ。
人間とは違う魔力の波長。
「⋯⋯あいつ、攻略本でも持っているのかな?」
ボーナスステージや分かれ道、それら全てを無視して一直線にボス部屋と向かっていた。
一層の迷宮は確かに広く、複雑な迷路に成っている。
しかし、きちんとした答えを知っている場合はいくら広くても関係ない。
一直線に進めばただの長い道にしか過ぎないのだ。
「ん~モンスターって事は、相手か。自称新世代。勝手に決めつけられた昔の存在の力を見せてやろうではないか。ガイス、やっておしまい!」
ウイルスを使うガイスならすぐに倒せるだろう。
そう、思っていたマリカ。
しかし、相手は足を止める事が無かった。
「⋯⋯連絡用魔法、メッセージ。聞こえるガイス?」
『うむ』
「どったの?」
『かき消された。我がウイルスは我が『能力』だ』
「体の細胞のウイルスは?」
『それが、見事に躱されてますね』
「ふむ」
マリカは考える。
(ガイスの体は言わば『異能』でウイルスを生み出すのは『能力』。成程、劣化パクか。その程度の力じゃ、この階層はクリア出来ないなぁ)
マリカは高速演算で相手の能力は何なのかを導き出して、1つの結論に達した。
(なら、あの人に行って貰いますか。それで少しは戦闘能力を測りたいところ。勝てるならそれでよし)
マリカは他の人にメッセージを魔法を使う。
「十二星騎士、菜々美。聞こえる?」
『む? マリカ様か。どうしたんですか?』
「今から転送するから、目の前の『侵略者』と戦ってくれる?」
『侵略者? 挑戦者では無いのですか?』
「ああ。敵のダンジョンモンスターだからね~」
『ダンジョンラグナロクは無いようですが?』
「ああ、それは、ルールに乗っ取った戦争じゃないからよ。で、行ける?」
『はい! 頑張らせて頂きます!』
「じゃ、代理管理者権限、転送」
十二星騎士、速攻星の菜々美。
ショートソードを二刀流で扱う軽装の騎士である。
マリカを敬っている数少ない十二星騎士の一人。
「菜々美、もしもあの程度の能力だけなら勝てるかもだけど、もしかしたら負けるかもねぇ。安心してねぇ。死ぬ前に転送で逃がすから」
侵略者の魔力量と濃さが分かるマリカは考えている能力以外にも何かあると思っている。
だからこそ、回避型近接戦闘を得意とする菜々美にしたのだ。
階層守護者クラスなどを送れば勝てる可能性は十分にあるだろう。
しかし、すぐに倒すのではなく、成る可く長引かせて倒す。
「あの子にも一応、侵略者が来る可能性がある事を伝えておきますか」
マリカは最後の軽めの仕事を熟すのだった。
これからは大変だろうと予想しているマリカ。
(そろそろ直属の部下でも育てようかしらね。じゃないと、仕事が回らなくなりそう)
溜め息と共に背を伸ばすマリカ。そこに緊張感は一切無かった。
あの3人は捨て駒だったのか、それ以降はSSSクラスのモンスターが現れる事無く、第一層のボス部屋へと到着した。
SSの時よろしくここで終わってくれたらありがたいんだが、気配的にそうでもないのだろう。
扉を開いて中に入ると、中には大きなムカデが存在した。
「⋯⋯パクリか?」
「パクリだろ」
「⋯⋯」
「パクリですね」
「同意します」
俺達のダンジョンは大百足族が第一層の階層守護者なのだ。
大きさは全く違うのだが、種族系列は同じだろう。
第一層のボスなので隠している訳でも無いし、相手が知っている可能性は十分ある。
鱗の色とかもそっくりだしな。
「ジャララララララ」
ムカデが叫び、地面の形が変わる。
地形操作が得意なのも同じだな。
「ここは私が行く!」
「分かった。皐月行ってら。俺達は下がって見ておくよ」
さっき全く戦ってない皐月は戦いたいだろう。
皐月はこっちのダンジョンで戦闘狂の一人に入るからな。
俺も体力回復したいし、任せよう。
皐月が地を蹴ってムカデに接近する。
地面が上がって壁を形成して、皐月に向かって倒れる。
皐月は大剣を払いその地面を切り離し通過する。
「アイツと比べると、大した事ないな!」
大剣を両手で持ち、空中でクルクル回転して遠心力を乗せる。
ムカデに向かってその大剣を放った。
紅い先行を放って大剣がムカデに向かって突き進む。
ムカデは地形を操作して壁を数枚形成する。
しかし、皐月が力任せに放った大剣を止めるには至らない。
壁を次々に貫通してムカデの体を貫いた。
外骨格など関係ないようにあっさりと貫かれてちぎれる体。
しかし、それだけではムカデは死ななかった。
口を開いてエネルギーを溜める。
空中に大剣を持たずに居る皐月に向かってエネルギーのブレスを直線的に放つ。
激しい光と轟音を撒き散らせながら空気を揺らし、皐月を呑み込む。
皐月を中心にブレスが固まり、激しく大きい爆発を生み出した。
煙に埋もれる皐月はゆっくりと落下して行く。
地面にドンとぶつかり着地する皐月。
「ゴホゴホ。煙たい」
よっこいしょ、と立ち上がる皐月。
ムカデの方はまだ生きている。
「無形刀【諸行無常】!」
半透明の刀を皐月は生成して構える。
地を蹴って抉り、急加速して皐月はムカデに肉薄する。
「ジャララ!」
「形無き剣を持って、形有る物を断つ」
無形刀を縦に一閃して体を真っ二つに切り裂いた。
無形刀を消して、大剣を持つ。
「終わったよぉー!」
「ああ、お疲れ。さ、次に行こうか」
出て来た宝箱は無視して俺達は次の階層に行く魔法陣に乗って、第二層に向かった。
◇
「⋯⋯侵入者かなぁ?」
マリカがホログラムの画面を見ながらそう呟く。
画面の先は第一層の迷宮の中である。
ゲートを通った気配を感じて見ていると、高速でボス部屋に向かっているモンスターを発見したのだ。
人間とは違う魔力の波長。
「⋯⋯あいつ、攻略本でも持っているのかな?」
ボーナスステージや分かれ道、それら全てを無視して一直線にボス部屋と向かっていた。
一層の迷宮は確かに広く、複雑な迷路に成っている。
しかし、きちんとした答えを知っている場合はいくら広くても関係ない。
一直線に進めばただの長い道にしか過ぎないのだ。
「ん~モンスターって事は、相手か。自称新世代。勝手に決めつけられた昔の存在の力を見せてやろうではないか。ガイス、やっておしまい!」
ウイルスを使うガイスならすぐに倒せるだろう。
そう、思っていたマリカ。
しかし、相手は足を止める事が無かった。
「⋯⋯連絡用魔法、メッセージ。聞こえるガイス?」
『うむ』
「どったの?」
『かき消された。我がウイルスは我が『能力』だ』
「体の細胞のウイルスは?」
『それが、見事に躱されてますね』
「ふむ」
マリカは考える。
(ガイスの体は言わば『異能』でウイルスを生み出すのは『能力』。成程、劣化パクか。その程度の力じゃ、この階層はクリア出来ないなぁ)
マリカは高速演算で相手の能力は何なのかを導き出して、1つの結論に達した。
(なら、あの人に行って貰いますか。それで少しは戦闘能力を測りたいところ。勝てるならそれでよし)
マリカは他の人にメッセージを魔法を使う。
「十二星騎士、菜々美。聞こえる?」
『む? マリカ様か。どうしたんですか?』
「今から転送するから、目の前の『侵略者』と戦ってくれる?」
『侵略者? 挑戦者では無いのですか?』
「ああ。敵のダンジョンモンスターだからね~」
『ダンジョンラグナロクは無いようですが?』
「ああ、それは、ルールに乗っ取った戦争じゃないからよ。で、行ける?」
『はい! 頑張らせて頂きます!』
「じゃ、代理管理者権限、転送」
十二星騎士、速攻星の菜々美。
ショートソードを二刀流で扱う軽装の騎士である。
マリカを敬っている数少ない十二星騎士の一人。
「菜々美、もしもあの程度の能力だけなら勝てるかもだけど、もしかしたら負けるかもねぇ。安心してねぇ。死ぬ前に転送で逃がすから」
侵略者の魔力量と濃さが分かるマリカは考えている能力以外にも何かあると思っている。
だからこそ、回避型近接戦闘を得意とする菜々美にしたのだ。
階層守護者クラスなどを送れば勝てる可能性は十分にあるだろう。
しかし、すぐに倒すのではなく、成る可く長引かせて倒す。
「あの子にも一応、侵略者が来る可能性がある事を伝えておきますか」
マリカは最後の軽めの仕事を熟すのだった。
これからは大変だろうと予想しているマリカ。
(そろそろ直属の部下でも育てようかしらね。じゃないと、仕事が回らなくなりそう)
溜め息と共に背を伸ばすマリカ。そこに緊張感は一切無かった。
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