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しらふでは無理でした
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向井は入れ違いにシャワーを浴びに行ったため、織はひとまず判決を免れた気分になった。
が、よく考えたら悶々とする時間が増えただけだった。
(どこでどう過ごしてるのが正解なんだ…?)
迷った結果、お酒に逃げた織を向井は責められなかった。部屋に立てこもられないだけマシだった。
(ジンまだ残ってたのか…)
俺だって飲みたい気分だわ、と向井は思ったが、自分だけでも正気でいなければという使命感から思いとどまった。
向井はカウンターの隅に座る織の隣に腰掛けた。
「また飲んでんすか」
「はい。しらふでは無理でした」
「…すいません。勝手に開けて」
「……ううん」
向井はシャワーを浴びながら脳内で作戦会議をしたものの、結局どう対処するのが正解か、答えは出なかった。
(どうしたらいい?なんて言ったら警戒されない?浮かばない…)
「ほっとけない…」
「え?」
(やべぇ、口に出てた)
「俺、織さんを放っとけなくて、ついウザいくらい距離つめちゃいますけど、織さんが何してても、引いたりとかしないんで」
「うううう気ぃつかわせてごめんん」
織は耐えきれず真っ赤になった顔を両手で覆った。
「いや、織さん、トイレで用を足すのは普通じゃないっすか、大なり小なり」
「ん?うん…」
「風呂場で身体を洗うのもおかしくないっすよ。外なり中なり」
「…」
(さすがに苦しかったか)
向井が横にいる織の様子を窺うと、両手で顔を覆ったまま小刻みに震えていた。
「え、織さん」
「ふ……」
(泣いた…?)
「ふふっ…」
織のツボに入った。
「さすがに苦しい…けどありがと…外なり中なり…ひっど」
(深夜で良かった)
織はひとしきり笑った後、残っていた酒を一気に飲み干した。その勢いで、ようやく向井の方を見た。
「ありがとう。変なもの見せてごめん。一刻も早く忘れて」
「(忘れるわけにはいきませんが要望は)分かりました」
「僕も忘れたい…ほんと最低…」
しまった、と向井が思った時は既に遅く、織はカウンターに突っ伏して寝息を立てていた。
(このまま朝まで寝かすか)
「よっ」
向井は、ベッドにポイするために織を持ち上げた。うつらうつらしているだけだった織が、そこで急に声を上げた。
「あっ」
「何すか」
「あの…」
「どしたんすか」
織は両手で顔を隠しながら、なかなか答えなかった。
「うぅ…出てきちゃった…」
「出て?何が…あ」
両足をもぞもぞ擦り合わせている様子から、何が出て来たのかお察しだった。
(顔を隠すより下を隠した方がいいのでは?)
「抜いてこなかったんすか?」
「ぬ………うん」
「俺、ちょっと出て来ましょうか?」
「やだ、寝るから、行かないでぇ…」
仕方なく織をベッドに下ろしたが、織は落ち着くどころか苦しそうにシーツを握りしめていた。
「織さん」
「暑い…養命酒…いっぺんに全部飲んだら死ぬ…?」
「そこまで飲んでないし死なないし今酔ってんのはジンのせいっす」
向井は適当に答えた。
「あの、ソファで寝るから」
ベッドから這い出ようとする織を向井が抱きとめた。
「う、はなして」
「織さん」
流石にこの織を逃がす向井ではなかった。
「大丈夫。俺もちょっと限界…触らせて」
「限界?だいじょうぶ…え、何を?」
「織さんに触りたい」
「ぼく…?」
向井は背中から織を抱きしめた。
(本物の織さんのにおい)
織の首を吸い、胸から腰に手を這わせ、屹立した織の性器を手で包み込んだ。
「あぁっ!えっ?向井く、そこ、だめ…」
拒否の言葉を述べても、にじみ出ている快感の声に、向井が止まるはずも無かった。
邪魔くさい寝間着と下着を脱がせ、向井の手が織の敏感な部分を直接触った。
「やだ、汚い…だめ…」
「汚くないっす。織さん、嫌?」
「やじゃな、いっ…あぁ…あ…」
向井はゾクゾクと欲望が身体を貫く感覚に襲われた。
(嫌じゃない。織さんは俺に触られて嫌じゃない)
織の後ろへと指を伸ばし、向井はヌルヌルとした感触に突き当たった。
指先で穴の周りを撫でただけで、織からは甘い声が零れた。
前を弄る向井の腕にしがみ付きながら、甘えるようにその先をねだった。
「う、あぁ、後ろ、きもちいぃの、中…ほしい…」
「ここ入れて欲しいの?織さん」
(まだ正気に戻らないで)
向井は中指をじわじわと奥まで埋め、気付けば織は二本目の指も飲みこんでいた。中で指を広げられる感覚、敏感な場所を擦られる感覚に、織は限界まで上り詰めていた。
何より織は、背中越しでも分かる向井の張り詰めた性が擦りつけられるのを感じながら、彼が自分に反応している事実を突きつけられる程に興奮が高まった。
「あっ、もうっ、も、だめ、向井く、むかっ」
向井は涙で顔を濡らしながら叫ぶ織の口を自分に向かせ、口で塞いだ。
「んんっ?はっ、はぁ…向井君…?」
「名前で呼んで」
「っあ………龍…」
向井の目に射抜かれながら、織は言われるがまま囁いた。
「んん…はぁ、龍く…龍…っ」
再び向井からキスをされた。深く繋がったまま、織は一気に達した。
が、よく考えたら悶々とする時間が増えただけだった。
(どこでどう過ごしてるのが正解なんだ…?)
迷った結果、お酒に逃げた織を向井は責められなかった。部屋に立てこもられないだけマシだった。
(ジンまだ残ってたのか…)
俺だって飲みたい気分だわ、と向井は思ったが、自分だけでも正気でいなければという使命感から思いとどまった。
向井はカウンターの隅に座る織の隣に腰掛けた。
「また飲んでんすか」
「はい。しらふでは無理でした」
「…すいません。勝手に開けて」
「……ううん」
向井はシャワーを浴びながら脳内で作戦会議をしたものの、結局どう対処するのが正解か、答えは出なかった。
(どうしたらいい?なんて言ったら警戒されない?浮かばない…)
「ほっとけない…」
「え?」
(やべぇ、口に出てた)
「俺、織さんを放っとけなくて、ついウザいくらい距離つめちゃいますけど、織さんが何してても、引いたりとかしないんで」
「うううう気ぃつかわせてごめんん」
織は耐えきれず真っ赤になった顔を両手で覆った。
「いや、織さん、トイレで用を足すのは普通じゃないっすか、大なり小なり」
「ん?うん…」
「風呂場で身体を洗うのもおかしくないっすよ。外なり中なり」
「…」
(さすがに苦しかったか)
向井が横にいる織の様子を窺うと、両手で顔を覆ったまま小刻みに震えていた。
「え、織さん」
「ふ……」
(泣いた…?)
「ふふっ…」
織のツボに入った。
「さすがに苦しい…けどありがと…外なり中なり…ひっど」
(深夜で良かった)
織はひとしきり笑った後、残っていた酒を一気に飲み干した。その勢いで、ようやく向井の方を見た。
「ありがとう。変なもの見せてごめん。一刻も早く忘れて」
「(忘れるわけにはいきませんが要望は)分かりました」
「僕も忘れたい…ほんと最低…」
しまった、と向井が思った時は既に遅く、織はカウンターに突っ伏して寝息を立てていた。
(このまま朝まで寝かすか)
「よっ」
向井は、ベッドにポイするために織を持ち上げた。うつらうつらしているだけだった織が、そこで急に声を上げた。
「あっ」
「何すか」
「あの…」
「どしたんすか」
織は両手で顔を隠しながら、なかなか答えなかった。
「うぅ…出てきちゃった…」
「出て?何が…あ」
両足をもぞもぞ擦り合わせている様子から、何が出て来たのかお察しだった。
(顔を隠すより下を隠した方がいいのでは?)
「抜いてこなかったんすか?」
「ぬ………うん」
「俺、ちょっと出て来ましょうか?」
「やだ、寝るから、行かないでぇ…」
仕方なく織をベッドに下ろしたが、織は落ち着くどころか苦しそうにシーツを握りしめていた。
「織さん」
「暑い…養命酒…いっぺんに全部飲んだら死ぬ…?」
「そこまで飲んでないし死なないし今酔ってんのはジンのせいっす」
向井は適当に答えた。
「あの、ソファで寝るから」
ベッドから這い出ようとする織を向井が抱きとめた。
「う、はなして」
「織さん」
流石にこの織を逃がす向井ではなかった。
「大丈夫。俺もちょっと限界…触らせて」
「限界?だいじょうぶ…え、何を?」
「織さんに触りたい」
「ぼく…?」
向井は背中から織を抱きしめた。
(本物の織さんのにおい)
織の首を吸い、胸から腰に手を這わせ、屹立した織の性器を手で包み込んだ。
「あぁっ!えっ?向井く、そこ、だめ…」
拒否の言葉を述べても、にじみ出ている快感の声に、向井が止まるはずも無かった。
邪魔くさい寝間着と下着を脱がせ、向井の手が織の敏感な部分を直接触った。
「やだ、汚い…だめ…」
「汚くないっす。織さん、嫌?」
「やじゃな、いっ…あぁ…あ…」
向井はゾクゾクと欲望が身体を貫く感覚に襲われた。
(嫌じゃない。織さんは俺に触られて嫌じゃない)
織の後ろへと指を伸ばし、向井はヌルヌルとした感触に突き当たった。
指先で穴の周りを撫でただけで、織からは甘い声が零れた。
前を弄る向井の腕にしがみ付きながら、甘えるようにその先をねだった。
「う、あぁ、後ろ、きもちいぃの、中…ほしい…」
「ここ入れて欲しいの?織さん」
(まだ正気に戻らないで)
向井は中指をじわじわと奥まで埋め、気付けば織は二本目の指も飲みこんでいた。中で指を広げられる感覚、敏感な場所を擦られる感覚に、織は限界まで上り詰めていた。
何より織は、背中越しでも分かる向井の張り詰めた性が擦りつけられるのを感じながら、彼が自分に反応している事実を突きつけられる程に興奮が高まった。
「あっ、もうっ、も、だめ、向井く、むかっ」
向井は涙で顔を濡らしながら叫ぶ織の口を自分に向かせ、口で塞いだ。
「んんっ?はっ、はぁ…向井君…?」
「名前で呼んで」
「っあ………龍…」
向井の目に射抜かれながら、織は言われるがまま囁いた。
「んん…はぁ、龍く…龍…っ」
再び向井からキスをされた。深く繋がったまま、織は一気に達した。
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