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告白
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羽場と抱き合うのはいつぶりだろう。
こうしていると、彼の寂しさが伝わってくるようだった。
(今、羽場と友達に戻れてる気がする)
前は肩が触れただけでもドキドキしたのに、今はこんなに密着しても心は静かだった。
羽場が少しでも安心できるように、背中に回した手に少し力を込めた。
「辛いなぁ」
「…うん…」
どれ位そうしてたか、羽場が身体を離した。
「ごめん。もう大丈夫」
「うん」
羽場は向かいの席に戻り、また沈黙が続いた。
「…おる、恋人と同棲してんだよね」
「うん?あ、一緒にはうん、住んでる」
少々、目が泳いだものの、それでいくことにした。
「それって、男?」
「っ」
(心臓止まったかと思った)
それはそう。それはそうなんだけど、改めて言われると心臓が不吉に速く動いて、指先はガタガタ震えていた。
やることやっといて今更なんだよ。なんだよなんだけど、怖かった。
(これ乗り越えた向井君って本当にすごいな。しかも謎の文脈で)
そう思ったら、少し勇気がわいた。
持っていたグラスに貼り付いていた視線を上げて、羽場の目を見た。沼に逃げ込んだ卑怯な自分を終わりにしたいから。
「うん。ずっと男が好きだった」
勝手に涙が出た。
「ずっと友達のふりしてたけど、羽場のことも、いつの間にかそういう目で見てた」
罪を自白する犯人ってこんな気分なのか。ずっと隠してた後ろめたさがドッと押し寄せて来た。
羽場はこっちを見たまま、まだ話を聞いてくれるみたいだった。
「ちゃんと言う勇気も無いのに、酒のせいにしてあんな関係はじめてごめん」
(羽場が今、抱き合ったことを後悔してたらどうしよう)
見つめ合った羽場の顔は悲しそうだった。自分にはもう、ごめんしか言えなかった。
羽場が立ち上がった。思わず肩がビクッとした。
「うっ」
(これ、ハンカチ…?)
羽場は止まらない涙をハンカチで拭ってくれた。
「違う、謝んないで、俺だから。俺からだって、本当は覚えてる」
「え…?」
こうしていると、彼の寂しさが伝わってくるようだった。
(今、羽場と友達に戻れてる気がする)
前は肩が触れただけでもドキドキしたのに、今はこんなに密着しても心は静かだった。
羽場が少しでも安心できるように、背中に回した手に少し力を込めた。
「辛いなぁ」
「…うん…」
どれ位そうしてたか、羽場が身体を離した。
「ごめん。もう大丈夫」
「うん」
羽場は向かいの席に戻り、また沈黙が続いた。
「…おる、恋人と同棲してんだよね」
「うん?あ、一緒にはうん、住んでる」
少々、目が泳いだものの、それでいくことにした。
「それって、男?」
「っ」
(心臓止まったかと思った)
それはそう。それはそうなんだけど、改めて言われると心臓が不吉に速く動いて、指先はガタガタ震えていた。
やることやっといて今更なんだよ。なんだよなんだけど、怖かった。
(これ乗り越えた向井君って本当にすごいな。しかも謎の文脈で)
そう思ったら、少し勇気がわいた。
持っていたグラスに貼り付いていた視線を上げて、羽場の目を見た。沼に逃げ込んだ卑怯な自分を終わりにしたいから。
「うん。ずっと男が好きだった」
勝手に涙が出た。
「ずっと友達のふりしてたけど、羽場のことも、いつの間にかそういう目で見てた」
罪を自白する犯人ってこんな気分なのか。ずっと隠してた後ろめたさがドッと押し寄せて来た。
羽場はこっちを見たまま、まだ話を聞いてくれるみたいだった。
「ちゃんと言う勇気も無いのに、酒のせいにしてあんな関係はじめてごめん」
(羽場が今、抱き合ったことを後悔してたらどうしよう)
見つめ合った羽場の顔は悲しそうだった。自分にはもう、ごめんしか言えなかった。
羽場が立ち上がった。思わず肩がビクッとした。
「うっ」
(これ、ハンカチ…?)
羽場は止まらない涙をハンカチで拭ってくれた。
「違う、謝んないで、俺だから。俺からだって、本当は覚えてる」
「え…?」
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